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童話ー赤いナイトキャップ2ー


深々と降る雪景色を、窓辺で見ている子がいました。

手には顔と同じ大きさほどもあるテディベアを強く抱きしめています。

月明かりだけがほんのりと窓に差し込み、その子の顔を照らしていました。

ガラス窓に鼻が着きそうなほど近づき、空から降る数え切れない程の雪を目で追っています。

吐息が窓を白く曇らせます。

いつしか暖炉の火も消え、部屋が薄暗くなっていました。

ベッドには剥いだ布団の跡があり、足元にはクリスマスの絵本が無造作に落ちています。

サンタクロースがやってくるのは、良い子のとこだと聞かされていましたから、誰よりも早く布団に入り眠りました。

深く眠って寝返りを打った拍子に、枕元に置いていた絵本が床へ落ちて、その音で目が覚めてしまいました。

耳を凝らすと、窓の外には雪の降る音と、たまに吹く風の音が聞こえるだけです。

ひんやりとした空気に、すっかり目を覚ましてしまいました。

誰もが眠りについている静かな夜は、まるでひとりぼっちになったかのようです。

テディベアの耳に、内緒話をするように小さな声で「みんな眠っているね」とか「雪が降っているよ」とか話していると、確かに誰もいないはずなのに、どこからか小さな可愛らしい喋り声が聞こえてきました。

へっぴり腰で薄暗い部屋を見渡しましたが、誰もいません。

でも、確かに誰かの声がしたのです。それも何人もの声が聞こえきたのです。

不思議と怖くはありませんでした。むしろ、楽しそうな声に聞こえたので興味津々です。

よく耳を澄ますと、声は窓の近くから聞こえてきます。

実は雪の妖精が、クリスマスをお祝いして舞い踊っていたのです。

声は聞こえるのですが、それでも、普通の人間には見えない妖精ですから、よく目を凝らしてみようとしても、見える物ではありません。

ただ、その子がたまに話しかけると、その声に反応して返ってくる妖精の声が、まるで小さなベルを転がしたようです。

小さくも楽しそうな笑い声がして、つい嬉しくなるのでした。

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