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愛知県立芸術大学で「ビジネス×デザイン」をテーマに課題をうけもちます

こんにちは。ビビビットでデザイナーをしている落合です。
先週より、愛知県立芸術大学のデザイン専攻にて非常勤講師として「ビジネス×デザイン」の授業をさせてもらっています。本来ならば4月からスタートする予定だった授業ですが、コロナウイルスの影響を鑑み大学の開講がGW開けからとなったことで、5月14日から、オンライン授業でのスタートとなりました。

受け持つのは「ビジネス×デザイン」をテーマとした授業で、愛知県芸大デザイン専攻で今年度から新設された、半期に渡るプロジェクト課題です。昨年の11月頃からミーティングを重ね、授業をつくり上げてきました。

ビビビットに入社して以来、様々な美大でレイアウトデザインやUX/UIデザインなどのセミナー講師をさせていただきましたが、単位となる授業で教えさせてもらうことは初めてのことで、わくわくする一方で身が引き締まる思いです。

今回この授業を担当するにあたっての想いをnoteに記そうと思います。

授業で届けたいこと

愛知県立芸術大学は、私自身の母校でもあります。ですから、愛知県芸大デザイン専攻の良いところも、足りていないところも、身を以て体感しています。

私はデザイン専攻を卒業後、新卒でヤフー株式会社に就職し、独立してフリーランスデザイナーとして活動した期間を経て、今は株式会社ビビビットというベンチャー企業でサービスデザイナーをしています。社会人生活でのいろいろな人との出会いを通して大学時代に知らなかったことをたくさん知りました。
それは、一言で言うとビジネスの側面からものごとを考える方法です。根本となる考える力が無かったわけではないと自負しているのですが、ビジネス上で活かされるような思考法に触れたことがなかったので、考える力をうまく使う方法がわからなかったのだなと気づかされることがたくさんありました。

もし、学生時代にそういった思考に触れられていたら。
考え方の方法論を知っていたら。
学生時代の制作は(とても楽しかったけれど)もっともっと楽しくなっていたのではないか。やれることはもっと広がっていたのではないか。発想力を鍛えられたのではないか。
そんな想いがあります。

この「ビジネス×デザイン」の課題を、思考法に触れ実践することで視野を広げられる機会にするぞ、という決意で作っています。

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デザイナーに求められる造形力と思考力

デザイナーに求められる能力は、大きく「造形力」「思考力」のふたつにわけることができると考えます。

造形力..."もの"をつくりあげる技術。グラフィックを構成する能力や立体物、空間をつくりあげる能力など。
思考力...そもそもどんな"もの"を何故作るのか考える能力。仮説立てやコンセプトメイキング、調査、作ったものがよかったのかよくなかったのか批評できる能力など。

デザイナーになる上で、この2つの能力を鍛える必要があると考えたとき、愛知県芸大は圧倒的に造形力を鍛えることが得意な大学でした。

それは、芸術大学でありデザイン以外の専攻ではアーティストとして生きる道を選ぶ学生が多い環境や、入試課題も(特に一般入試の場合は)主に造形力を見るものであることなど様々な原因が考えられます。しかし、それらの点は愛知県芸大の素晴らしい点であり、私自身この大学で学んだことが自分の大切な根幹になっていると感じています。

そこにさらに思考力を高めることに比重をおいた課題で切り込んでいくこと。それが今回非常勤講師をさせていただく上でのミッションだと思っています。

芸術大学を出たデザイナーだからこそできること

デザイナーとして活躍している人の中には、様々なバックグラウンドの方がいます。今回、芸術大学で教えさせてもらうという機会にあたって、芸術大学の美術学部でデザインを学んだ私たちだからこそ発揮できる価値ってなんだろうか、と、改めて考えてみました。

愛知県立芸術大学を卒業すると、「芸術」の学士となれるのですが、「芸術」ってそもそもなんだろう。わたしなりに考えみて、今持っているひとつの答えは
芸術は、
それに触れたら、頭で理解するよりも先に心がうごくもの
筋の通った理論で理解するにもまさる、感情の動きを作り出すもの
なんじゃないかなということです。

学問として「芸術」に4年間向き合うということは、ひとの心の動きや感情のうごきをつくりだすためにひたすらな試行錯誤をすることだったのかなと思います。

芸術を学んだデザイナーは、その心を動かす力を活かしてなにかを伝えたり、何かを解決するアプローチを考えることができる。それは、大学という環境でひたすらにものづくりに向き合い続けた芸大生の持つ最大の強みなのだろうと思います。

その力を活かして社会で活躍しようとするとき
今回の授業で鍛える思考力がその手助けとなって、より良いかたちで力を発揮することができるような、そんな授業にしたいと考えています。

これから3ヶ月

全13回の授業はまだはじまったばかり。

大学生だった頃、課題が出るたび先輩たちはどんな作品をつくったのだろうと例年の作品を参考にしていた自分を思い出すと、今年新設のこの課題に取り組む学生にも緊張があるだろうと思います。

コロナ禍の状況で、5月いっぱいはオンラインでの授業になることが決まっています。授業参加者全員で集まることもあれば、グループにわかれたり1to1でのコミュニケーションも発生するため、Teams、Zoom、Wherebyを駆使して授業をしていますが、今のところこまごまとしたトラブルはあるものの大きな支障はなく進められています。しかしこれからどんどんと密なコミュニケーションが大事となってくる内容を、オンラインで伝えきれるかどうか。毎回が挑戦のような授業です。

ここから前期最後の最終講評にむけ、計画は立ててあるもののどんなふうになっていくのか予想がつかないし、どんなアウトプットが生まれるか未知だし、楽しみと緊張とが混じっていてとても濃い13週間となりそうです。

この課題が終了したとき、きっと今までみられなかったなにかがみられるんじゃないかなと楽しみに毎週の授業を精一杯届けていきたいなと思います。

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記事中の写真は私が愛知芸大に入学してすぐの頃、父にミラーレス一眼をもらい、慣れないカメラを手に大学構内を撮ってまわった時のものです。自然に囲まれたとても良いキャンパスなので、リモート授業ではなく出張できるようになるのが楽しみです!

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