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【N/S高政治部】高校生流?「一風変わった街頭演説の見方」

インターネットが普及した今日でも、街頭演説は選挙運動の象徴になっています。

人が多く行き交う繁華街で選挙カーの上から訴える姿、あるいは、田舎道でビールケースに登って訴える姿など、地域によって形は違えど、誰しも一度は目にしたことがある最も身近な選挙運動ではないでしょうか。

街頭演説に足を止める理由は、「政治家の話を聞くため」であることがほとんどだと思いますが、ここでは一風変わった街頭演説の見方をご紹介します。

街頭演説に興味をもったきっかけ

私はN/S高政治部で活動している高校2年生です。
中学生の頃から、地方選挙から国政選挙まで各種選挙の演説を聞いています。
しかし、未成年なので残念ながらまだ選挙権はありません。
それゆえに「演説を聞いて投票先を決める」などといった義務感がないため、これから紹介するような「一風変わった街頭演説の見方」を発見できたのだと思います。

まず、街頭演説を聞いて気づいた事があります。
今の時代はネット社会で、候補者側はひとりでも多くの有権者の目に留まるように、演説をインターネット配信するなど工夫を凝らしています。
つまり、政治家の話を聞くだけなら、わざわざ出向かなくても、インターネット配信を見れば十分であるということに気づきました。

しかし、せっかく実際に演説を聞きに行くのなら、行かないとわからないポイントを見つけたいと考えたところ、候補者ごとに大きく異なるポイントを見つけました。

見つけたポイントは、演説をしている政治家ではなく、演説を聞いている聴衆に注目することです。

参院選最終日「最後の訴え」に耳を傾ける人々(画像の一部をぼかし加工)

なぜ「聞いている側」に注目するのか

私が実際に見た某県知事選挙でのことです。
その選挙では、現職と新人の一騎打ちで、現職が先行する情勢でした。
現職候補の街頭演説では「〇〇政治連盟」といった業界団体の幟旗を掲げて演説を聞く人がいました。
また、国会議員や地方議員が応援演説をしていたことも印象的でした。

一方の新人候補は、勝手連*的に集まった運動員が目立ち、聴衆は個人単位で集まった人がほとんどで、応援演説をする議員の姿はありませんでした。
組織による手厚い支援と圧倒的影響力を見せた現職候補と、政党による支援は受けなくても、勝手連*によって支えられた新人候補。
このような、陣営ごとに全く異なる支持者層を目の当たりにしたことが、聴衆に注目したきっかけです。

勝手連*=候補者を応援する個人が自発的に集まった連合のこと。


一風変わった街頭演説の見方

私が注目しているポイントは、大きく分けて以下の3点です。

まず「どのような層が多いのか」という点です。
例えば聴衆に若者層が多いのか、シニア層が多いのかを把握することで、その候補者が「どの年代に支持されているのか(≒どの年代向けの政治をしているのか)」を推し量ることができます。

それ以外に、どのような団体に支援されているのか、どのような政党会派の政治家に支援されているのか、といった点からも、候補者の人物像や政治観を知ることができます。
特に参議院議員選挙の全国比例は、業界団体の組織内候補が数多く立候補しているため、支援している団体を目にする機会が多かったです。

街頭演説中に掲げられた業界団体の幟旗(画像の一部をぼかし加工)

次に「どのようにして集まったのか」という点です。
写真や映像では一律に「聴衆」として映されますが、演説を聞いている背景は人それぞれです。
演説を聞くためだけに集まった人が多いのか、演説が始まってから聴衆が集まったのか、この二通りの「聴衆」が意味することは大きく異なります。
例えば、演説を聞くためだけに集まった人が多ければ「熱心な支持者が多い」と捉える事ができます。
また、演説が始まってから聴衆が出来上がれば「世論の注目度が高い」と捉える事ができます。

そして「候補者の訴えに対する反応」です。
街頭演説は基本的に候補者が一方的に訴える場ですが、聴衆も拍手などで賛意を示します。
拍手の有無や大きさで、有権者が注目している政策や共感を呼んでいる訴えが目に見えてわかります。
ただし、その場のノリによって反応が大きく異なるため「今回の演説の反応はこうだった」程度に捉えておくべきでしょう。


高校生目線で街頭演説にひとこと

私が街頭演説を聞いていて非常に気になった点があります。

それは、政党を問わず、街頭演説に対して、高校生・中学生をはじめとした若者の好意的反応が皆無であることです。
耳を塞いだり、顔を背けたりするなど、迷惑そうにしている人も少なくありません。

同世代の一員として、これは主権者教育が不足しているわけではなく、選挙運動をしている側に大きな問題があると考えています。
「いいぞー!」「そうだー!」などの声出し、マイクを通じた大きな声での演説、相手候補への礼を失した言葉遣いなど、その一点だけをとっても「初見」の若者が参加しやすい環境であるとは言えません。

マイクを使って演説する以上、威圧感を与えてしまうことはやむを得ないのかもしれません。
それでも、聴衆からの質問に答える「対話型」の演説を行ったり、学生ボランティアが中心となって街頭活動を行うなどして、威圧感を和らげることで、「初見」の若者の政治参加が進むのではないでしょうか。


さて、参議院議員選挙が終わり、今後しばらく国政選挙は見込まれていませんが、2023年春には、統一地方選挙が予定されています。
統一地方選挙とは、日常生活に密接している地方議会や首長の選挙の中で、任期満了になるものを全国規模でまとめて行うものです。

統一地方選挙でも候補者同士の舌戦を期待して、今後の選挙運動に注目していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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