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就活ー卒業後から劇団時代のお話。

就活について話を聞いてみたい、というリクエストを頂きました。
リクエストありがとうございます。
就活と言っても、私の場合はあまり為になる話ではないかもしれません。

当時、就職先として最も多かったのは、保育園や小学校の先生、学校関係の事務職員、大学院へ行って更に学びを深める、でした。
ミュージカル関係の職場に進んだ先輩もおりましたが、少数でした。

私はまずテナントを借りて生徒を募集。劇団を旗揚げしました。
80分ほどの音楽劇を、完パケで(最初から最後まで口パクで)芝居するという事もありました。
何故、完パケにしたのか?というと。
当時、ワイヤレスマイクのレンタルが今より高価でした。
人数分レンタルするだけの資金がなく、どうするか考えた末の完パケでした。
当時はとにかく、テナントの家賃・光熱費や劇場費用、最低限の広告費、舞台監督や演出家、照明さん方への費用で手一杯だったのです。

公演後、感動しましたと言って頂けた時は寧ろこちらが感動しました。

費用軽減のため、役者と音響を兼ねた事もありました。
私も出演していた舞台で、音の切り替わりのタイミングで音響ボタンを舞台袖で押すという無茶振り。
確実にボタンを押せるよう、選曲する際は音を入れるタイミングをよく考えました。
台詞だけではなく音響の記入も含めて、台本を頭に入れました。

演じる事とスタッフモードとの頭の切り替えは、この期間で訓練されたように感じます。
冷静であり、情熱的でなければ成立しない行動でしたので、単純に「舞台が出来て楽しい、嬉しい」と言うよりも、苦しい事が多かったように思います。
受験生なのか?と自分ツッコミを入れたくなる程度には、台本を覚えるのに必死でした。
芝居練習中に他の子が台詞を忘れた時は、私がプロンプターの役割も担いました。

最初は演出家がプロンプターも兼ねてくださっていたのです。
しかし、演出家は演者を見ている事が多かったので、改めて顔を下に向けて台本を見て、台詞を忘れた子の台詞が何処にあるのか探すと間が空きます。
すると、その時間で他の役者たちの士気が落ちてしまいます。
せっかく皆で作り上げている空気が壊れてしまう。
それなら私がやった方が良いだろうと思い…何時の間にか、自らプロンプターも兼ねていました。
今、同じ事をやれと言われても、恐らくやれないでしょうね。
状況次第ですが…それをやると苦しいだろうことは分かっているので。
もう、お腹一杯です。
何事も役割分担は大切です。

苦しいばかりではなく、良い面もありました。
客演先で役者として呼ばれた時に「与えられた自分の役だけに役者として集中出来る環境」にとても驚き、感激しました。心の底から感謝しました。
スタッフさんの有り難みをしみじみ感じる事が出来たのです。

それとストレートプレイならマイクは必要なかったので、演目によっては自分たちの生の声でリアルタイムにお芝居する事が出来ました。

ダンサーとして客演した舞台で、場内アナウンスを兼ねた事があります。
ひと組踊る毎に、その前後に名前やタイトル、曲名などをアナウンスし、休憩や入退場、開幕や閉幕などをお客様に伝える役割でした。
それまでもアナウンスは経験があり、出来ない事ではありませんでした。
しかし、不安もありました。
他のチームが踊る時だけではなく、自分が踊る直前も、
同じように落ち着いた声で名前やタイトル、曲名などを舞台袖のマイクで読み上げなければなりません。
読んだらすぐ席を立って舞台袖にスタンバイする、そしてダンサーとして集中して舞台で踊る。
踊り終わり、全力疾走したくらい息が上がった状態で、暗転と同時に舞台袖へ走ってマイク前へ戻り、次のアナウンスを落ち着いた声で言わなければなりません。
息を切らさずに通常の声で言えるのか?
ここは、リハーサルの時に入念にチェックしました。
完全に他と同じように言うのは難しくても、聞いている方に違和感を与えないレベルで言うためには、呼吸と腹筋が要でした。
ほんの僅かでも気を抜いてしまうと、途端に息が苦しくなり、ゼエハアどころか呼吸困難の発作のようになってしまい最早声にさえなりません。
踊る直前までイメトレをして、何とか、違和感の無いレベルで声を出す事に成功。

今こうして振り返ると、いつ倒れてもおかしくない無茶振りの連続でした。
心臓付近が強く痛む事が結構な頻度でありました。
しかし、それでも、その道で食べて行けるようになる為に必死でした。

活動を続ける内に、協力してくださるスタッフさんも増えて行きました。

以上は、学校を卒業してすぐ後から数年間の出来事の、ごく一部です。
リクエスト頂いた方の「就活」のイメージからは大分離れてしまったと思います。就活について、私から一つ言えるとしたら…。
「その人の道はその人にしか感じ取れないし、目の前の事を信頼して進めて行けば、その人の生きる道に入れるのではないか?」と、自分への希望も込めて、私は考えています。
就活で悩まれているのかな?と思ったので、つい、あれこれお話してしまいました。

次回は、コラボ企画第三弾として詩の朗読を、第四弾として記事のご紹介をさせて頂く予定です。


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