見出し画像

「玄米」から「イネの苗」をつくる方法

最近注目の「食育」の一環として、今年こそバケツ稲をやってみたいという親子も多いのではないかと思います。

でも、種籾や苗って、少量だとなかなか手に入りにくいもの。
そこで、農産物直売所などで手に入る「玄米」からスタートしてみるのはどうでしょうか。

「発芽玄米」なんてものがあるくらいですから、玄米はしっかり発芽します。でも、籾殻を外したお米は、細菌やカビなどに対して、とても無防備な状態になっています。

すなわち、最大の敵は「腐敗」。種籾と同じように種まきしてしまうと腐ったりカビたりして全滅します。

そこで、最近考えたのが、こんなやり方です。

玄米をプラカップなどに入れて、塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)を1000倍程度に薄めた水に浸し、温かいところに2~3日置いて発芽させます(私はヨーグルトメーカーで30℃に保温してます)。

容器はシャーレを使ってます。玄米は、もちろん「美食同玄米」です。

発芽を待つ間に、苗床を用意します。小さめの黒丸ポット(プラカップの底に穴を空けたものでもOK)に、土を入れます。
粒状の水稲用育苗培養土があれば理想的です。

土に漂白剤を1000倍希釈した水をかけてじゅうぶんに濡らしてから、発芽した玄米をピンセットで並べていきます。

出てきた芽を上に向けて、重ならないように並べるのがコツ。
根気が要る作業はここだけなので、がんばりましょう。

並べ終わったら、上から乾いた土を振りかけて、玄米が見えるか見えないかくらいに埋めて種まき完了。

この時点では、あまり深く埋めてはいけません。
芽がちらっと見えるか、すぐ出てこれそうなくらいで。
育ってきたら、苗が倒れない程度に土を足してあげましょう。

重要なのはここからです。

ポットより直径、高さとも少しだけ大きな容器を用意し、漂白剤を1000倍希釈した水を入れてポットをゆっくり沈めます。水面の位置は、「土の表面より少し下」。土の表面は、しっとり濡れているけど水没はしない状態にします。

容器は、ダイソーで購入した食品保存容器(5個入りで100円)を使用。
見えにくいですが、水位は「土より少し下」になっています。

日の当たる場所に置いて、漂白剤入りの水を毎日足します。土の表面に、端の方からそっと注いでひたひたにして、吸い込まれるのを待つようにすると、表面に生えかかってくるカビを退治できます。

玄米から出てきた芽が、緑色の葉っぱになれば(第一葉が展開すれば)、もう漂白剤は不要。普通の水に切り替えて、引き続き育てます。水位は土の上まで上げて大丈夫です。

数日たつとこのように育ってきます。

葉が数枚出て、高さ10~15センチくらいに育ったら苗は完成です。

このくらいまで育ったら「苗」の完成。田植えができます。

苗床から抜き、根をほぐして、4~5本ずつまとめて、バケツなどに作った田んぼに「田植え」をしてあげてください。

調べたところ、有機硫黄系粉剤(防カビ剤)を玄米にまぶせば、種籾と同じように苗づくりに使える、とする研究論文がありました。考え方は、全く同じです。要するに、いかにカビの攻撃をかわして苗の状態まで逃げ切るか・・・が勝負です。
他にも良い方法があればぜひ教えてください。

最後に宣伝。少量しか収穫できないバケツ稲には、玄米のまま少量だけ白米に混ぜて食べられる古代米が向いています。
ただ古代米は育てるのが難しい・・・。
その点、美食同玄米なら、コシヒカリとほぼ同じ要領で育てられて安心です。これから播種でもまだ間に合います。ぜひトライしてみてください。

実は2012年のブログにこんな記事を書いてました
(このときの歩留まりは非常に低かったです・・・)

バケツ稲については、参考にできるサイトがたくさんあります。
こちらはJAのサイトです。

この記事は、リーゾのメルマガ「すいすい通信」2022年5月号の記事に写真を足して掲載しました。
すいすい通信 vol.134 2022年5月号 株式会社リーゾ (rizo.co.jp)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?