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SF素人が『三体』に挑戦するよぉ③ ~黒暗森林(上)~

こんにちは。三体感想記、改め「SF素人が『三体』に挑戦するよぉ」です。

この記事は読書家になりたい圧縮ロフトが非常に難解で現代SFの最先端に輝くという劉 慈欣の『三体』の読破に挑戦しようという試みです。
『三体』二巻  黒暗森林(上)を読み終えたのでさっそくいってみましょう!






二巻の上は一巻の主人公格であった葉 文潔ウェンジェ汪淼ワン・ミャオ達ではなく
「面壁者」ウォールフェイサーの一人である羅輯(ルオ・ジー)を中心に話は進行していきます。

いきなり専門用語が出てきて面壁者ウォールフェイサーとはなんぞやって話ですが、
この説明のためにまずは一巻で出てきた三体文明のビックリドッキリメカ、智子ソフォンのおさらいをする必要があります。



智子ソフォンとは

  • 三体文明のスパイメカである。

  • 監視範囲は地球全土。地上で行われるありとあらゆる会話が聞かれている。

  • そのサイズは陽子サイズ。

  • 性能は惑星サイズのスパコン並。

  • 光速で移動できる。

  • 地球の科学基礎研究にデバフをかけられる。

  • 量子通信で四光年半離れた三体星とタイムラグ無しで通話が可能。

  • 破壊できない(できてもそれほど間を置かず元通り修復してしまう)。

  • 攻撃性能はない。



ぼくが考えた最強のスパイ衛星みたいな書き方になってしまいましたが、これが一切話を盛っていない作中の智子ソフォンの性能です。
いやどーやってこんなもん作る異星人を倒すねんって感じなんですが、
そもそも三体人は地球人類と比べて文明発達の方向性がいびつで、科学に非常に大きく偏っています。

コミュニケーション方法も独特で、難しい計算式や複雑な科学知識を他人と簡単に共有できるため
天才が生まれたら一気に科学レベルが進歩したり、超技術を生み出すために惑星全土の資源リソースを全て科学開発に使えたりするので
話がある程度分かると案外納得の性能はしているのです。


この智子ソフォンと面壁者とやらがどう関係するのかですが、箇条書き2番目の地球全土盗聴装置であるという所が重要で、
例えば貴方は一国の大統領で、もし明日敵国と戦争が始まるとして、自国の作戦会議が全部敵に筒抜けだったとしたら貴方は敵に勝てるでしょうか。

恐らく勝てないでしょう。兵の数は知られ、どういう布陣を敷くかは丸裸にされ、陣形の何処から突出してくるのかは分かられ、待ち伏せなどの作戦は全部スカされます。

これを封じるべく地球人類が編み出したのが面壁計画で、
簡単に言うと異星人と戦うための作戦は超スゴい戦術家の頭の中だけに留めておいて誰にも話さないようにしようぜ、というものです。智子ソフォンが覗くことができないのは人の頭の中だけです。




面壁者・羅輯ルオジー

作中では「三体危機」として、全世界に異星人が攻めてくる事が公表されたのですが、
とりあえず目下の敵は智子ソフォンです。異星人襲来の450年後まで撃破のための戦略を練り続けるのは構わないとして、
作戦会議が筒抜けではたまったものではありません。


そこで選び出された面壁者ウォールフェイサーは4人。
元・米国国防長官、元・紛争地域を取りまとめた大統領など政治力も戦略指揮能力もずば抜けてそうな人間達ばかりです。

面壁者は人類を救うための超・戦略家であり、考えた作戦はどれだけ不可解であっても内容を説明しなくていいのです。智子ソフォンを通じて三体文明側に攻め方がバレない事が重要だからです。
資金もある程度の上限はありますが、いくらでも使う事ができます(これも使途を説明しなくて問題ありません)。


そんな中で二巻上の主人公である我らの羅輯ルオジーも面壁者として惑星防衛理事会より選出が全世界的に発表されます。
ここまで聞くとなるほど二巻の主人公も文潔ウェンジェ汪淼ワン・ミャオみたいな超頭脳か史強ダーシーのようなムキムキの軍人とかなのかと思ってしまいますが、
ヒョロッヒョロの学者です。そしてド級のキモオタです。本人もなんで選ばれたのか分かりません。


いやいやSFを読もうなんて読者はナードなんだから、そのくらい夢があるほうがいいじゃない、なんて思ったら甘い。



羅輯は学者として芽が出ずに無為に過ごしていた頃、付き合っていた彼女からプレゼントとして恋愛小説を書くことを要求されるのですが、
うまく書けずにいた所、その彼女から「想像上の理想の相手が実際に現実に存在するように、本当にリアルにイメージしてみて」とアドバイスを受けます。

すると作ってしまいました羅輯、究極のイマジナリー彼女を。休日には二人でドライブに出掛け、存在しない暖かな暖炉の前で語らった記憶も持ちます。

イマジナリー彼女を作り上げてしまった後は現実の彼女とは別れ、女性と遊んでも空虚で学者生活も変わらずパッとしません。
そんな中、羅輯は上記の対宇宙人超戦略家である面壁者ウォールフェイサーに選ばれるのです。


いやもう何言ってんだ感がすごい事になっていますが、安心して下さい ご使用のブラウザは正常ですよ。




羅輯とて突如与えられた王侯貴族特権に最初は贅の限りを尽くした生活をしては「これは面壁計画の一部だ」(こう言えば面壁者は贅沢出費の釈明をしなくていい)といってみたりするのですが、
錚々たるメンバーの中になぜ自分が選ばれたのか分からずそこはずっと悩んでおり、長い道の果てに解決の糸口を葉 文潔ウェンジェとかつてした会話に見つける事になります。


もう少し内容をイジッていきたいですが、長いのでここでいったん分割します。

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