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SF素人が『三体』に挑戦するよぉ④ ~黒暗森林(上)~


破壁人ウォールブレイカー


面壁者の対となる存在、破壁人ウォールブレイカーの事もお話しましょう。
破壁人は地球三体協会(ETO)という、文潔ウェンジェのような簡潔に言えば人類の敵、「地球滅ぼして教」の構成員であり、メンバーは3人。
やがて来る彼らの救いの主、三体人のために文字通り面壁者を倒す事を人生の目標としており、一人一人に対応する面壁者がいて、それぞれがそれぞれの専用の死神です。


ゲーム「三体」を使ったETOメンバーの会議ではフォン・ノイマン、墨子、アリストテレスと名乗っていました。
一巻で汪淼ワン・ミャオがゲームにフルダイブした時にいた名前ですので、もしかしたらあの時から彼等はNPCではなかったのかも知れません。


二巻上では最も行動的な面壁者、フレデリック・タイラーが「フォン・ノイマン」の攻撃を受けます。
タイラーは元・米国国防長官であり、最も輝かしい経歴を持つ面壁者の一人ではありますが、三体人と戦うために編み出した戦法はあまりに直情的でした。

スーパー水爆と宇宙戦闘機を組み合わせるといったアイデアが主体で、確かに地球は智子ソフォンに基礎科学の発展を封じられているので、
現在(二巻上時点で)の状態で最終決戦に挑む事になるならこの攻撃もあり得ない訳ではないと思うのですが、


すまんタイラー、『三体』はエンタメなんだわ。もうちょっとワクワクする攻撃方法を考えてくれんか。



と言いたくなる直線っぷりで惑星防衛理事会にも手口が分かりやすすぎとダメ出しをされます。

本当にただの直線攻撃計画でなく、スーパー水爆を三体艦隊に当てるこの案を補助する隠し作戦もタイラーは考えてあったのですが、残念ながら彼の前に破壁人フォン・ノイマンが現れてしまいます。

タイラーは何だか元国防長官っぽくもアメリカ人っぽくもなかったような気がするのですが、とにかく
タイラーもノイマンももっとゆっくりやれないもんなのでしょうか?三体艦隊が地球に到達するまでまだあと400年以上あるんだけど。
『三体 』本編の5冊中2冊まで来たのに多分作中は25年くらいしか進んでない気がします。残りはどんなペースで進むんでしょうか。


ともあれ面壁者は羅輯ルオジーに加え、前ベネズエラ大統領のマニュエル・レイ・ディアス、欧州委員会委員長を務めた事もある脳科学者のビル・ハインズの残り3人となった訳なのですが、
『三体』は主人公が巻またぎくらいで入れ替わるようですから、この中の誰かの視点で進む事がまたあるかもしれません。
破壁人ウォールブレイカーとの戦いも期待できます。

ちなみに面壁者ウォールフェイサーは4人いるのに破壁人ウォールブレイカーが3人ってどういう事?と思うかもしれませんが、
少し話してしまうとタイラーにはノイマン、マニュエル・レイ・ディアスには墨子、ビル・ハインズをアリストテレスが担当しています。
羅輯ルオジーの破壁人はいったい誰なのか、ぜひ『三体 Ⅱ 黒暗森林・上』をみなさんも読んでみて下さい。



起動エレベータ完成・舞台は宇宙へ


ほぼ現代舞台で、実際の数学未解決問題である三体問題を惑星レベルに押し上げSFに昇華させた部分が肝だった一巻と比べ、
その一巻のストーリー展開を素地として、実際に宇宙人が戦争を仕掛けてきた場合、地球の情勢がどう変化していくかを二巻上は描いていったという感じでしょうか。さすが作家ってめっちゃ頭いいんだなって気がします。

また面壁者ウォールフェイサーも一挙手一投足すべてが欺瞞作戦の一部だと思われて誰からも信用されない、というロジックもすごく面白いと思ったのですが、
三体問題のように私が知らないだけでこれの元ネタになる数学的なパラドックスとかがあるのかもしれません。
羅輯ルオジー達を面壁者ウォールフェイサーに任命した者もいったい何者なのかというのも気になります。

二巻上のラストでは軌道エレベーターという、ようやく未来っぽいものが完成し、章 北海ジャン・ベイハイなど宇宙軍(とはいえ、宇宙船すらまだないのですが)のメンバーが衛星軌道に上がります。

ようやく戦いの舞台に足を踏み入れた人類の次の一手が気になります。基礎科学を智子ソフォンに封じられた状態で宇宙艦隊を作るのでしょうか?
面壁計画ウォールフェイサー・プロジェクトを主とした心理戦になるんでしょうか。
ここの表題に軌道エレベータ完成・舞台は宇宙へ、って書いたんですが、まだ先を読んでないしネタバレも踏まないように気を付けてるんで、本当に舞台は宇宙なのかは私には分かりません。

二巻上の感想はこのくらいにして、私も二巻下のほうに進みたいと思います。
それではまた、次の感想でお会いしましょう。

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