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Androidエンジニアあんざいゆき氏×RIZAPエンジニア座談会
最先端で活躍するAndroidエンジニアであるあんざいゆきさんが、このたびRIZAPテクノロジーズ社の技術顧問として就任しました!
今後、chocoZAPアプリの開発支援や若手育成に携わっていただくことになります。そこで今回は、RIZAPテクノロジーズのエンジニア2人と話し合っていただきました!
▶︎プロフィール
あんざいゆき/株式会社ウフィカ代表取締役社長。Google Developer Expert for Android。Android App Developer。Android 黎明期よりアプリ開発に従事し、長年の経験や知識をもとにさまざまな企業でアプリ開発の支援や技術顧問・アドバイザリーを行う。また、カンファレンスでの講演や著作などコミュニティ活動に力を入れている。著書「Android Pattern Cookbook マーケットで埋もれないための差別化戦略」(インプレス)、「わかる!ドメイン駆動設計」など多数
北村涼/プロダクト開発統括1部エンジニア
藤井賢太郎/プロダクト開発統括1部エンジニア
↓↓↓ RIZAPテクノロジーズ鈴木社長との対談記事はこちら ↓↓↓
RIZAPのAndroidエンジニア
入社理由は「面白そうだったから」
――自己紹介をお願いします。
北村涼(以下、北村):Androidエンジニアの北村と申します。
前の会社で新卒から10年勤めて、昨年秋にRIZAPテクノロジーズへ転職しました。
前職ではブログサービスを始め、ソーシャルブックマークサービスや、小説、漫画などのコンテンツ配信サービスも手掛けていました。Webエンジニアとして入社し、AndroidもiOSもやるフルスタックエンジニアのような状態になりましたが、今はAndroidをメインにやっております。
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あんざいゆきさん(以下、あんざい):なぜRIZAPに入ったんですか?
北村:chocoZAPのアプリを見て、「課題が多そうかな」と(笑)。いろいろできそうで面白そうと思ってきました。
あんざい:なるほど(笑)。
藤井賢太郎(以下、藤井):藤井といいます、よろしくお願いいたします。
僕はもともと学生の時にC/C++とJavaを勉強していたので、最初は組み込み系の開発を行っていました。音楽プレーヤーやディーゼルエンジン制御のソフトウェア開発、それとガラケーのプリインストールアプリの開発などですね。Javaがわかるということで一時期バックエンドの開発も行っていました。
Androidエンジニアになった経緯は、ガラケーのアプリ開発がスマホのアプリ開発に移り変わった流れがあったことと、あとJavaを扱えたことがきっかけです。「Androidというものがあるらしいよ」ということで、当時Javaを使用したAndroidアプリ開発案件に携わることになりました。本格的にAndroidエンジニアのキャリアを積み始めたのは、Android 4.0系からです。
その後、転職先でもAndroidアプリのエンジニアをやっていて、2024年の1月にRIZAPテクノロジーズに入社しました。
あんざい:Android4からというと、もう10年やっているんですね。
藤井:そうですね。そのぐらいになります。
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あんざいさんを知ったきっかけ
――北村さんと藤井さんは、あんざいさんのことをどこでお知りになりましたか。
北村:僕はあんざいさんが書かれた『Master of Fragment』(Fragment開発の指南書)からです。
あんざい:おお〜、懐かしい!
北村:懐かしいですね。
若い開発者の方のために補足すると、今でこそAndroidのアプリの作り方アドバイスというか指標はGoogleに書かれていますが、当時はそういうものがなかったんです。そのため、一つの画面に全部詰め込んで、コードがすごく長くなるといったことがありました。
それに対してGoogleが「もうちょっと分割しましょうよ」と、「Fragment」という部品のようなものを出したのですが、その使い方までは教えてくれないので、みんな思い思いにやって、結果クラッシュしてしまうこともあったんですよね。
そんなときにあんざいさんが『Master of Fragment』を執筆してくださったので、非常に助かりました。
あんざい:かなり前のことですよね。そもそもFragmentが出たのが10年前ぐらいですし。
北村 :そうですね。それから、あんざいさんはブログもよく書かれていましたよね。検索すると結構出てくるので「あ、またこの人だ」と思って見ていました。あと、DroidKaigiを筆頭に大きなカンファレンスには絶対いらっしゃっていたこともあって、前々から存じ上げております。
藤井 :僕もブログでよく拝見していました。
だいたい何か困ったときとか、ちょっと調べものをしようとすると、必ずと言っていいほどあんざいさんの記事がひっかかってくるので「こういう方がいるんだな」って思っていたんです。
著書も何冊か買わせていただいていますし、DroidKaigiもしかり、だいたい北村さんと同じ形でお見かけしていました。
――お二人とも、これまであんざいさんの知見から気づきを得ることが多かったんですね。それを踏まえて今回、Androidの技術顧問就任をお願いした、と。
北村:そうです。あんざいさんは技術をきちんと提供してくださる方という信頼感があったので、RIZAPで技術顧問をお迎えしようという話を聞いたときには、即座にあんざいさんにお願いしたいと思いました。でも、会社にそう言ってはみたものの、どうなるんだろうと思ったら、上司から「あんざいさん、決まったから」って言われて。「本当ですか! すげえ」ってなりました。
藤井:テンション爆上がりですよね(笑)。
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Android開発の面白さとは?
――皆さんが思うAndroid開発の面白さとはなんでしょうか。
あんざい:画面サイズやライフサイクルにもある程度制限がある中で、いいものを作るというのが面白いかなあ。お2人はいかがですか?
北村:そうですね。そもそもAndroidは アクティビティしかりFragmentしかり、非常に苦労してきた歴史があると思うんですけど…。
あんざい:(笑)
北村:とくにOSのバージョンが上がると、事業的に「バージョンを上げても、この古いバージョンを切ることはできない」というのが、昔はすごく多かったんですよね。そういう苦労もAndroidのデベロッパーはもう知っているので、バージョンを上げたとしてもバックポートができる仕組みというのが、かなり前からあって。
僕個人としては、そのおかげで結構いい思いができているというか。Androidエンジニアって、いい開発体験ができると思っています。
iOSだと、バージョンが上がるともう古いOSで使えないものは、基本的には使えませんから。
ただ、iOSユーザーはみんな結構OSのバージョンを上げてくれるので、そういう違いもあるのかもしれませんけど。
藤井:確かに、Androidは古いOSを使い続けている人も結構いらっしゃいますね。
北村:ですよね。ただ、そこでどう対応していくかというのも面白いです。
あと、今はタブレットはもちろんウォッチまであるので、スマートフォン向けのアプリをタブレット対応させるレイアウトの組み方や、ウォッチデバイス向けのアプリ作成などができるのも結構面白いと思います。
エンジニアの成長には「モブプロ」が有効
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――RIZAPテクノロジーズのAndroid開発チームは、今どのようなメンバー構成になっていますか?
北村:僕たちのほかに業務委託の方が4名いらっしゃるので、合計6人です(※2024年2月取材当時)。
各タスクを誰にアサインするかはプロダクトマネージャーの方々が主導して決定していますが、「ここを直すにはここを先に直さないといけないよな」など、エンジニアリングから見た視点でのタスクは、僕から各メンバーにお願いしています。
――技術顧問としてあんざいさんに参画いただくにあたって、相談したいことはありますか?
北村:一刻も早くコードを見ていただいて、どこから手をつけるべきかご相談したいです。
たとえば、次に来る機能開発に備えてその近辺をきれいにするのか、それとも何かもっと別なところから…「実はここが根幹なので、ここからきれいにした方がいいですよ」とか、そういう話ができたらなと思います。
藤井:僕はあんざいさんのこれまでの知見から「今はこういう形がいいよ」とか、「これだったらこうしたらいいよ」という「ゴール」を1回定めた上で、そのゴールに効率よく到達するためのやり方などを随時ご相談できればと思います。もし可能であれば勉強会などを通して、いろいろ知見を共有いただけるとうれしいです。
あんざい:そうですね。ただ、私が一方的に話すだけだと、果たして効果があるのか疑問に思うところもあるので…。個人的に1番効果があると感じるのはモブプロです。
北村:モブプロ、めっちゃいいですね。
あんざい:私がコードを書くよりも、エンジニアさん自身がコードを書く方が効果はありますからね。実際に教育の一環で実施しているところもあります。
――たとえばどのようなときに、モブプロを行うのでしょうか。
あんざい:「こういうふうに書きましょう」ということはドキュメントでも伝えられますし、見本のコードもお渡しできるのですが、ドキュメントでは伝えられないことをお教えしたいときですね。
たとえばAPIを理解するためにサンプルコードを書いたり、元のソースのコメントとか実装を見に行ったり、そういうところはドキュメントでは伝えられないのでモブプロを実施しています。
実際にエンジニアさんにコードを書いてもらった後で、呼んでいるAPIのコードの方に飛んでみて、そこでどういうふうに実装されているのか読んでみよう、とか、コメントを読んでみよう、とか。いくつか動作を確認するようサンプルコードを書いてみるとか、そういうことを行っています。
藤井:なるほど…!ぜひお願いいたします。
成長途中のアプリだからこそ
「フルコミット」できる!
――採用に関してのお話です。Androidエンジニアは、iOSエンジニアに比べて数が少ないと言われていますが、実際そうなのでしょうか。
北村:少なくとも前職では採用に苦労していましたね。
藤井:僕も同じ肌感です。
あんざい:業界全体として、そう言われていますよね。ですので、正直、採用は大変だと思うんです。
ただ、chocoZAPのアプリはまだそこまで大きくないのですぐにいろいろ修正ができますし、自分の書いたところが全体に影響するので、非常にやりがいのある環境だと思います。
北村:確かに、今来ていただいたら全員が主役になれます(笑)。
あんざい:有名どころはすでにアプリがめちゃめちゃ巨大なんですよ。そうすると1人のエンジニアが把握できる部分は限られてきますし、簡単にリファクタリングできなかったりもするので、そこに物足りなさを感じている方にはぴったりなのではないでしょうか。
藤井:そうですね。今のRIZAPなら、全部にコミットできます!
――では、それらを踏まえて最後に、どんな方と一緒に働きたいかお聞かせください。
北村:あんざいさんの引用になりますが、まさに現状に物足りなさを感じている方ですね。QAの方も全員主役みたいな感じなので、今は「主役になりたい人、来てください」っていう感じです。
藤井:個人的にはめちゃくちゃ大変なプロジェクトを踏み倒してきたような人ですね(笑)。あと、エンジニアの姿勢としては、新しい情報とかもちゃんとキャッチアップして、仕事とか勉強ではなくて、遊びとして開発をやっているぐらいの人が来てくださったら一番いいかなと思います。
これまでの自分の経験から「こういうのはどうだろう」って提案していける人ですとか…。
職場の雰囲気自体は非常にフレンドリーで、メンバーはみんなそれぞれの意見にちゃんと耳を傾けてくれるので、そのあたりの心配はないと思います。
あんざい:まあ、要は開発好きな方ですよね。
北村:ですね! あんざいさん、今日はありがとうございました。
あんざい:こちらこそ。これからどうぞよろしくお願いします。
北村&藤井:よろしくお願いします。
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(了)