夜汽車とくちなし

汽車を待ち唱える呪文「itsunohika koko wo deteyaru」17の我

車窓には金の穂の群れ 苛立ちは消えゆく各停二両編成 

帰るたびモノは減りつつ実家でも密かに進むふたりの「シューカツ」

なんとなく母が買ったという「火花」寂聴の横にそっと並べる

この土地の女は何処か卑屈にてうんざりしておりそして自分も

くちなしの垣根の向こうをゆく夜汽車あの頃私は少女でしたか

さきのこと考えながら打ち消して「いつか」が遠くであれよと思う

結局はどこにも居場所はないような気もして虚ろに羽田空港

ふるさとを嫌いにならずに済んでいるそれは確かに君のおかげで

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