Nocturne

火が吹き消される瞬間を
眠りに落ちるその手前で
夕の帳のしなやかな
蜂蜜の結晶
頬にかかった髪を
やさしく払いのけるときの

 君の負けだ
 それ以上に僕の負けだ
 古い香水の瓶を割れば
 戯れる目眩の
 誰ひとり勝ちびとにはなれない夜に

大気はゆるやかに
満ちて君たちを締め付ける
やわらかに階段を踏み外し
琥珀の散乱
擦れあう睫に
ふたたび蝋燭が灯るときの

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