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本田圭佑 漢気あふれる左足の一振り(2013/6/4 W杯アジア最終予選)

#サッカーの忘れられないシーン

 自分は、長くも短くもサッカーを13年間続けてきたわけだが、小学生の時、テレビの目の前で椅子にしがみついて、日本代表4番の一振りに祈りを捧げたことを鮮明に覚えている。自分の素直な記憶をそのまま示すため、何も下調べをせずに記憶に沿ってこの記事を書くことにする。そのため、細かい情報の間違いはあるだろうがお気になさらないでいただきたい。

 2013年W杯最終予選、日本vs.オーストラリア。僕は塾が終わり、急いで電車に乗り最寄り駅に着いた途端いつもの何倍もの速さで家に走って帰り、リモコンの電源ボタンを連打した。僕がテレビをつけたときには、後半40分。試合終盤だった。0-1日本は負けていた。小学生の僕には、細かいことはわからなかったが、一つ明確だったのが、引き分け以上でW杯へはいけない。逆に負ければいけない。試合終盤でリードされている日本代表は崖っぷち。僕は、固唾を飲んで瞬き一つせずにテレビの画面を見ていた。

 そして、その時が訪れた。後半ロスタイムに日本代表はpkを獲得したのだ。日本中の期待がキッカー本田圭佑に集まった。カメラが写した本田圭佑は漢そのものであった。ゴールをじっと見つめ、額から汗を垂れ流していた。pkの笛が鳴った途端僕は、不意に椅子に蹲って耳を塞いだ。本田圭佑の味わっている緊張感を勝手に共感して耐えられなかったのだ。10秒ほどしたら、耳を塞いでいても聞こえるほどの、解説者の歓喜の声が、テレビの向こうから聞こえた。僕は飛び跳ねて喜びながら、涙を流していた。

 あの緊張感の中、1億人の期待を背負った中でど真ん中に振り抜く本田圭佑の勇姿を僕は絶対に忘れない。

 

 


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