恥の少ない生涯を送ってきました 【小説】

 恥の少ない生涯を送ってきました。

 休日に何をしているのかと聞かれたとき、特別何か言えることがない人生だったと気づいた。
 幼少期から恥の少ない人生だったとは思う。
 言ってしまえばそれは挑戦がない人生だったと後悔の念を抱いたときには余計なものが自分の人生には付属していた。
 大学受験の失敗は恥と言えることなのかもしれないが、その失敗は見ないようにして自分の中で捨てられた出来事だった。
 そのままどうにかこうにか就職をして数年がだったのだが変わりばえしない退屈な生活であったが、しかしそれを変えようなどとは思わず日々を淡々と過ごしている。
 友達が華やかな人生を送っているのはSNS上で感じて羨ましいと思う気持ちを押し殺して写真に残すでもない日々を送っていた。
 そんな日々に変化があったのは偶然であった。いや変化などしてなくて私の目線が変わったのかもしれない。なんてことない好きな女性が出来たのである。
 そこから変わろうと思ったが、変わろうとすると色々見えてくるもので自分が周りと比較したとき取るに足らないどうしようもない人物に見えてきたのだ。
 そこから自分のなかでましな人間になろうと努力をしていくがどうにもこうにも変わった気がしない。
 僕は恥を持っているのだ。
 挑戦もしなければ失敗もしない人生を送ってきたという。
 そんな恥ずべき人間の私が人に好かれようとして努力するというのは私にはひどく滑稽に見えた。
 でもその恥ずべきことをしなければいけないのはどうしようもない人生経験で予想は出来た。

 そして僕はーー


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