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「フードテックでグローバルカンパニーを目指す」 ゴーゴーカレーグループ社長 西畑男児さん 〜モトヤフインタビュー〜

-お名前とご年齢を教えてください。

西畑 男児(にしはた だんじ)です。本名は誠(まこと)ですが、九州男児なので学生時代から「だんじ」と呼ばれていました。今年で50歳です。

-お生まれはどちらですか、また現在どちらにお住まいですか。

生まれは福岡・北九州の小倉です。ふるさとの小倉にはヤフーの北九州センターがあります。地元に雇用を生んで頂きありがたいです。現在は東京の港区に住んでいます。

-これまでのプロフィールをご紹介ください。

日本の大学を卒業後渡米し、米国MBAを修了しました。ヤフー、Apple、Google、メルカリなどのテック企業の成長期に参画し、2021年から米国デリバリー最大手のDoorDashで日本の経営メンバーとして加わり、翌年買収が完了したWoltに転籍し事業拡大に携わりました。

その後、23年1月にゴーゴーカレーグループ(以下ゴーゴーカレー)に入社し、3月にCEO兼代表取締役社長に就任しました。ゴーゴーカレーは、国内外に約100店舗を展開する創業20年目の外食チェーンで、「金沢カレーブーム」の火付け役と言われています。

ちなみに、ヤフー・ジャパンは01年1月の入社で、06年4月まで在籍していました。社員番号は371番でした。10年にGoogleに転職した時も、日本法人の社員数は300人くらいだったと思います。

日本の大学を卒業後に、シアトルの大学に海外留学された理由は何でしたか?

高校の文化祭で、福岡県立戸畑高校OBの故徳永晴美さん(ロシア語通訳者、元上智大学外国語学部教授)の講演会があり、ロシアに留学されていた時の話を聴いて感激し、自分も海外で学びたいと思いました。

そして日本の大学を卒業後、96年にシアトルに留学したのですが、当時のシアトルは地元企業のMicrosoftが「Windows95」を発売した翌年で、そして同じくシアトル発のベンチャーだったAmazonが本格的に事業をスタートし、急成長している頃でした。

両社の社員が同じクラスでMBAの授業を受けていて、彼らと会社やビジネスについて直接話すことで大いに刺激を受けました。さっそく自分のパソコンを購入してAOLでネットに接続して、これからのインターネットビジネスの可能性を強く感じた記憶があります。この体験がのちに、ヤフーをはじめテック企業で働くきっかけになりました。

-ヤフーに入ったきっかけは何でしたか?

「Yahoo!オークション(現・ヤフオク!、以下ヤフオク)のトップページに、「プロデューサー募集」と書かれていて、好きなネットのサービスに関わりたいと思って応募しました。実はプロデューサーという職種がよくわかっていなかったり、ヤフー・ジャパンは米国企業の日本支社だと思い込んで、日常的に仕事で英語を使うと勘違いして入社しました(笑)

当時の採用プロセスでは、一次面接でプロデューサーの上司であった殿村英嗣さん、二次面接で社長の故井上雅博さんと常務取締役の有馬誠さんとお会いしました。成長期のテック企業でキャリアをスタートすることができたのは、採用してくださったみなさんのおかげと心から感謝しています。とくに有馬さんとは、その後転職したGoogleや取引先の楽天でもお付き合いがあり、たいへんお世話になりました。

-ヤフーでのお仕事はどんな内容でしたか?

ヤフオクのプロデューサー(企画室)として、今思えば様々な事をしました。入社時のヤフーオフィスは当時表参道で、しかも青山パラシオタワーの隣の銀行の支店が入っている雑居ビルの5階で、毎日終電までやっても仕事が片付かず、毎月締めの時期は徹夜で朝を迎える事も多々ありました。

チャリティーオークションを入社当初から任せて頂き、芸能界やスポーツ各種団体(日本プロ野球、JOC等)と会議する事もあり様々な貴重な体験をさせて頂きました。

-ヤフーで学んだことはどんなことでしたか?

ヤフーにはたくさんのサービスがあり、その企画業務を担うプロデューサーたちが毎週集まって夜な夜な勉強会をやっていたのですが、まだ一般的でなかったウェブプロデューサーについていろいろな角度から学ぶことができました。

「なんでも屋さん」という役割だったプロデューサーの仕事ですが、Yahoo!スポーツのプロデューサーだった宮坂学さん(後にヤフー・ジャパンの社長、会長と歴任し、現・東京都副知事)が、「みんながやっている(プロデューサーの)仕事はまだかなり少人数しかやっていないけれど、将来きっと他の会社でも周りを引っ張っていく役割になるはずだから、今頑張っていればきっと大丈夫!」とプロデューサー仲間を鼓舞していました。

City-Tech.Tokyoにて、宮坂学東京都副知事に社長就任の報告

あのときは、半信半疑で聞いていたけれど、今思えば宮坂さんの言ったとおりになっていて、ヤフーで仕事のいろはが学べて本当に良かったと思っています。

-ヤフー時代のエピソードはありますか?

いまだから、笑って言える話ですが、当時は冷や汗をかいた思い出がいくつかあります。

一つは、ヤフオクのトップページのHTMLを手作業で調整していた時に、変なタグが紛れ込んだままアップしてしまい、数分間ヤフオクが完全にぶっ壊れた状態になったことがあります。あの時は、かなり焦りました。

もう一つは、ヤフオクの本人認証のために郵送ハガキが届く機能をテストしていた時、ダミーの氏名の「矢風太郎」と住所「北青山」とだけ入力して試したところ、本当にその郵便が会社に届いたことがあります。「矢風太郎」は誰ですか?と、全社メールで犯人探しをされたときもかなり焦りました。

-辞めたから分かるヤフーの良さというものはありますか?

ヤフーを通じて知り合った同僚や先輩とは、今でも繋がっていて頻繁に連絡を取り合っています。みなさんとても優秀で素晴らしい方ばかりだと、つくづく感じます。さまざまな業界や職業で活躍されていて、私自身の刺激にもなりますし、そういう人脈に恵まれたことも誇りに思っています。

元ヤフー執行役員でディップ代表取締役COOの志立さんがご来社

会社や立場が異なっていても、仕事で連携することもありますし、ヤフーでの出会いはかけがえのないものになっています。

-ネクストキャリアを選んだ決め手は何ですか?

ヤフーからApple
海外留学の経験から、せっかくなら英語のスキルを活かした仕事をしたいと考えていたところ、Appleのセールスポジションが見つかり転職しました。当時は、Macintoshが主流の製品でしたが、その後iPhone、iPad、MacBook Airと次々に人気製品がリリースされ、Appleが急成長していく過程を社員として中から目の当たりにすることができたのは貴重な体験でした。

Apple米国本社キャンパスにて。Appleロゴが立体的なバージョンの頃。

AppleからGoogle
ヤフーでのインターネットサービスのプロデューサー職と、Appleでの英語を使った営業職の二つの経験を活かして、キャリアアップできる次のステージとしてGoogleを選びました。約8年間在籍しましたが、その間にGoogleは圧倒的なグローバル企業に成長していきました。

Google米国本社にて。米国出張へは年に数回行くチャンスがありました。

Googleからメルカリ
メルカリの創業者でCEOの山田進太郎さん直下の部署で、アライアンス事業の統括ができるポジションでしたので転職しました。ちょうど18年に東証マザーズに上場したタイミングでの入社でした。

メルカリからDoorDash
「デリバリーのDoorDashが日本でビジネスを始めるが興味はないか?」と、後に私の上司になる方からLinkedinでメッセージが届き、興味を持ちました。ちょうどコロナ禍の真っ只中で、海外からの入国制限があり、米国本社からは誰も来られない状態でした。日本の立ち上げスタッフだけで予定通りサービスをローンチできたことはよい経験になりました。その後DoorDashが、フィンランドのデリバリー会社で欧州大手のWoltを買収したので転籍しました。

DoorDash共同設立者兼CEO Tony Xu

Woltからゴーゴーカレー
22年末に旧知の仲だったゴーゴーカレー創業者の宮森宏和さんから、「ゴーゴーカレーをフードテック企業にしたい」という熱い思いを聞いて感銘を受けました。同い年の二人ですが、お互いが55歳になるまでに、ゴーゴーカレーをグローバル企業にするのが目標です。

日経MJに掲載されたゴーゴーカレーグループ社長就任記事

-今回ご就任された正式なポジション名とその目標を教えてください。

23年3月8日に、ゴーゴーカレーのCEO兼代表取締役社長に就任しました。ゴーゴーカレーは03年に創立され、04年に新宿に1号店、07年に米ニューヨークのタイムズスクエアに初出店し、海外ではアメリカ、ブラジル、インドネシアに展開しています。M&A(合併・買収)や事業承継にも力を入れ、金沢の老舗インドカレー店「ホットハウス」や金沢カレーの元祖「ターバンカレー」など、多様なブランドを持つ「カレーの専門商社」として事業を拡大してきました。

ゴーゴーカレーグループ会長 宮森宏和さん

目標として、ゴーゴーカレーは「フードテックでグローバルな企業」を目指しています。ゴーゴーカレーが唱える「フードテック(FoodTech)」とは、食の「フード」と「デジタル技術=テクノロジー」を掛け合わせた造語で、テクノロジーでフードに関する課題解決や飲食業界の可能性を拡大させる概念やサービスを総じて「フードテック」と称しています。

具体的には、IT活用で社内業務の効率を上げたり、店舗運営のデジタル化を促進して、成長スピードの加速化をすすめています。そして世界の市場に挑戦していきます。日本の国民食「カレー」は海外でも人気です。世界のグルメ情報サイト「Taste Atlas」が昨年発表した「世界の伝統料理ランキング」で「日本のカレー」が1位になりました。カレーは今や日本の食文化として浸透し、海外でも注目をあつめています。

-今、特に力を入れていることは何ですか?

子供の教育に関心があります。現在、高校1年生の息子がいるのですが、私自身が学生の時にやっておけばもっと仕事の幅が広がっただろうなと思うことを、息子が学べるようにしています。

一つは語学で、英会話の家庭教師を小学生の時からつけたり、中高は英語教育が優れている学校に行かせたり、オーストラリアやカナダへの留学をさせています。

もう一つはファイナンスで、ジュニアNISAに息子が小遣いで貯めた20万円を使って、自由に株式運用を体験させています。どのような状況で株価が変動し、どのタイミングで売買すると利益が出るのか、息子自身に実践させています。自分が中高時代にやっておきたかったことを、息子に託しています(笑)

息子よ、大志を抱け

-ご家族以外で尊敬している方がおられたら教えて下さい。

私の人生を変えてくれた尊敬するお二方は、初めて英会話を教えてくれたアメリカの生物学者で元筑波大学教授のDeMar Tayler(デマー・テイラー)さんと、空手を通して基礎体力と健康な身体を鍛えること、そして世界中に仲間を作ってくれた新極真会代表の緑健児さんです。

-ご趣味は何ですか?

メジャーリーグや日本のプロ野球を観戦することです。体を動かすことも好きなので、10年以上続けている新極真空手では黒帯を取得し、最近になってテニスも始めました。

新極真会の空手着姿

-コロナで変わったことはありますか?

働き方が大きく変わりました。21年のコロナ禍にDoorDashのサービスをローンチしましたが、完全にリモートワークの環境で、Zoom、 Slack、 Google Workspaceなどのビジネスツールを活用してチームがつながり、すべての仕事を進めることができました。困難な状況下でもなんとか目標を達成することができると実感できたので、その時の経験は大きな収穫となりました。

現在、ゴーゴーカレーも、金沢の本社と東京の本部機能はリモートワークを推奨しています。ちょうど今東京で入居しているビルの取り壊しがあるので、固定費がかかるオフィスは縮小して、今夏にシェアオフィスのweworkに移転することを決めています。

-ライフワークは何でしょうか?

ゴーゴーカレーの社長として、コーポレートミッションである「カレーで世界に元気を届ける!!」を実現することです。いち早くグローバルなフードテック企業に成長させるためにも、これまでテック企業で働いた知見や経営手法を活かしていきたいと思っています。

沢山のお客様が訪れるゴーゴーカレー金沢駅総本山

-イマヤフやモトヤフや読者にひとことメッセージをお願いします。

今こうして好きな仕事ができているのは、今まで出会った方との縁のおかげだと強く感じています。ヤフーで学んだ事、培った人脈が日々の仕事に生きていて、ヤフーを退職して17年経った今でも、その経験や繋がりは私の大切な財産になっています。

ゴーゴーカレーの社長に就任したことをニュースで知って、激励の言葉をくださったり、祝花をお贈りくださったり、諸先輩や元同僚と出会えた素晴らしい会社だったと心からヤフーに感謝しています。ぜひみなさんもヤフーでの縁を大切にしていってもらえたらと思います。

そして、ぜひゴーゴーカレーを食べてみてください。日本のおいしいカレーを世界に広めるために、フードテックでグローバル企業を目指していきますので、ゴーゴーカレーをどうぞよろしくお願いいたします。

金沢駅鼓門の前で

-西畑さん、本日はありがとうございました!

(本日のインタビュアーは飯島聡美と川村英樹が担当しました)

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