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なぜその蔵のお醤油が買いたくなるのか

奈良の醤油蔵

せんとくん、まだまだ活躍中

先日、奈良の京終(きょうばて)にある醤油蔵の井上本店さんの見学をさせてもらいました。井上本店さんへの訪問は今回で2回目です。前回も丁寧にご説明いただきましたが、2回目だともっと頭に入ってきた気がします。

京終はJR奈良駅から一つ目の駅。距離で考えると奈良の中心地から歩いて来られるほど近いのに(平城京の端にあることから「京終」という地名だそうです)、京終駅も井上本店さんのあたりものんびりとした雰囲気が漂っています。

井上本店さん の魅力3つ

井上本店、6代目当主の吉川社長

見学の案内をして下さったのは井上本店の社長の吉川さん。お茶目でお話し上手でステキな方です。井上本店の創業は1863年、吉川さんは現在6代目。奥様である専務の惠美子さんのご実家の事業を継がれたことになります。

扱っている商品は醤油、味噌、醤油加工品、米麹など。
井上本店さんの特長は多々ありますが、私が井上本店さんにお会いしたり、見学をさせてもらったりした中で特に記憶に残っていることは3つ。

①   天然醸造で添加物を使わない商品へのこだわり

木桶三兄弟。これからまだまだ増えるのかな。

国産の原料で添加物を使わず、自然に発酵・熟成させた商品の数々。原料処理から商品として出来上がるまですべて100%この蔵で製造。お醤油の専門家に聞くと、日本で千ほどある蔵のうち一貫生産が可能なのはわずか1-2割の蔵だそうです。

②   高い技術力

分離したお醤油と油

お醤油や出汁などの成分の分析を社内で行える体制がある、これは醤油蔵の中でも非常に珍しいそうです。惠美子専務や農大出身の息子さんたちが担当されているとのこと。

また、使用した丸大豆から出る油を捨てるのではなく、小麦の焙煎に再利用。技術にこだわっていた先代の開発の賜物で、前年度に使用した大豆で翌年度の燃料が賄えるとのことです。燃料として使うためには脱塩処理も必要で、水と油を混合し、(燃料エンジン用に使っていた)廃ボイラーを使用して再利用へとつなげていくそうです。

③   家族で醸した味が感じられるお醤油

木桶でつくったお醤油「木まじめ」

そして何と言っても井上本店さんのキーワードと言えば「家族」。吉川さんご夫婦と、実家の蔵を継ぎに家に戻って来られた20代の息子さん二人、家族で一緒に和気あいあいとお仕事をされている姿が印象的です。

息子さんによると、小さい頃から、お父さんとお母さんが喧嘩をしているのを見たことがないそう。部外者が見ていたら「この激しい言い合いはケンカ?」と受け取ってしまいそうな真剣な意見の交換はあるそうですが、息子さん自身は「これはお父さんとお母さんの話し合い」と受け止めていたそうです。

夫婦で一緒に仕事をするのは修羅場のもと、だから絶対やめておこう。そんな風に思ってきた私としては(そして同じく二十代の息子を持つ身としては)息子にそんな風に思ってもらえる吉川さんご夫婦はまさに尊敬の的です。

4年前から木桶も復活され、20代の息子さんたちが今後どんなお醤油蔵をつくっていかれるのかとても楽しみです。

井上本店さんのお醤油が美味しいことは間違いなしですが、家族で一緒にお醤油を醸す温かな井上本店さんの雰囲気に魅かれて、井上本店さんの商品が買いたいと思うのは確かです。

商品力や技術力、宣伝力、消費者が買いたくなる要素はさまざまあるでしょうが、その造り手さんのストーリーを知ることでコアなファンになって応援したくなる。少なくとも私はそんなことが多い気がします。

次なる私の企みは

チャーミングな吉川社長と

そして、私の次なる企みですが、
チャーミングな笑顔の吉川社長とのツーショットも嬉しいですが、クールビューティ(そして私が勝手に井上本店の影の実力者だと推測している)専務の惠美子さんとのツーショット、そちらを狙いたいと思います。楽しみです。

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