2023年8月10日 La Cage Aux Folles 感想
2023年8月
ロンドン旅行にていくつかの舞台作品を観劇したので感想を書いていこうとおもおいます。
1本目はRegent’s Park Open Air Theatreの「La Cage Aux Folles」
そもそもこの旅行でこの作品を観るか別のを観るか散々悩んでいたのですが、やはりまたいつ来れるかわからない夏のロンドン旅行ということで野外劇場での体験を優先することにしました。
リージェンツパークオープンエアシアターといえば夏期限定でいくつかの演劇作品を上演していて、斬新な角度でのミュージカルリバイバルを毎年制作しています。
夏にロンドンに行くなら見逃せないとかねてから思っていました。
直前にチケットを予約したこともあり席はかなり埋まっていましたが前方4列目?の右端はかなり視界良好な席で満足度が高かったです。
到着日の夜回を予約していたのですが、飛行機の予想外の2時間ディレイによりショーに間に合うのかヒヤヒヤな状況。ヒースローに着いたのが17時ごろ、ホテルに行っている時間があるのか、劇場へ直行するのが良いのか迷ったが結局SOHOのホテルへ行って荷物を軽くしてから急いでベイカーストリートへ向かい、何とかスタート20分前ごろに着くことができました。ひゅう
劇場はリージェンツパークの奥に位置しているので、公園の景色を眺めながら歩いていくと草に覆われた甲子園球場のような劇場が…!
始まる前からお客さんたちは皆ご飯食べたりお酒飲んだりパーティをしていてすっかり盛り上がっている様子。バーにはラカージュをテーマにしたカクテルも売られていました。
ラカージュオフォールについて
日本でも何度も上演されているようで、昨年は観にいく予定でしたがコロナの関係で当日キャンセルになってしまったので、今回ラカージュを観るのは初めてとなりましたが観れて本当にラッキーだと思いました!!
作品の予告動画はこちら
劇場について感想
ロンドンに到着して観る1本目と言うこともあってか、感動が特大でした。(ずっとコロナ期間中は海外に行けず、ブロードウェイ・ウエストエンドでお芝居を観たいという夢だけを描き続けていたもので…)
こういう空間にずっと来たかったんだという気持ちが煌びやかなステージと喜びに満ちた客席でさらに高められ、、終演後は満たされた心地でした。
野外劇場は開放感があって素晴らしかった。お客さんもピクニックに来ているような感じというか、この環境自体が観劇を特別なものにしてくれていました。
1幕開始時はまだ陽が残っていて、ゆっくりと陽が落ちていくのに合わせてステージの雰囲気も変化していくのも何とも魅惑的でした。(しかも涼しい!というのが最高な点)
一つだけ途中上空をヘリコプターが飛んでいて、しばらく頭上に止まってブンブンしてたのが非常に迷惑でしたw(みんなめっちゃ上見てたし)まあ屋外ということでそれもそれ。鳥も飛んでるし虫もいるし。でも夏だけの特別な体験。また夏にロンドンに来ることがあれば必ず訪れたい、それぐらいこの劇場での観劇自体に価値がありました。
▼パンフレットのご挨拶に載っていた一文
この哲学が素晴らしいですよね!
ストーリーテリングの力と魔法
私もこの魔法から解き放たれることは無いと思っています
作品について感想
ラカージュは今の時代に自分が初めて観る作品としては、とても楽しくて心温まる作品というように感じられました。しかしこの作品の初演が1983年ということを考えると、当時はとんでもなくセンセーショナルな作品だったのだろうことが窺えます。
劇場で購入したパンフレットにも1988年〜2023年の40年間にわたるLGBTQ+の権利獲得への歩みが記されていました。1983年という時代に同性愛カップルとその息子を中心に据えたミュージカル自体が挑戦的で、ドラァグクイーンやカジェル(作品におけるアンサンブルメンバーで主にラカージュのダンサー、パフォーマー)達の存在も前衛的なものだったよう。
ラカージュは当時の社会的な規範に対する挑戦やLGBTQ+のアイデンティティを描
き、彼らの権利の探求がメッセージとしてあったのだけど、パンフレットには2023年の現在でも変わらずそれを訴えることが続いていると綴られていました。当時からすればオープンにはなってきたものの依然として与えられていない自由と平等に対するリマインダーのような作品とのことです。
そういった背景がこの作品にはありますが、非常に明るいコメディで、人々を明るくする作品だと私自身は観ていて感じました。自分自身を受け入れ、はっきりとこれが自分であると歌う曲(We are what we are)の清々しさや、誰もが持っている家族愛が作品の中心となっています。当然ジェリー・ハーマンの楽曲の素晴らしさは言うまでもなく、どの曲も喜びに満ちているのです…
だからこそ誰が観ても楽しく、心に響く名作として残っているんだと思いました。
他のプロダクションを観たことが無いので演出について比較はできませんが、リージェンツパークの雰囲気にぴったりマッチした作品で本当に心から楽しめました。
個人的にみどころに感じた曲3つ
「We are what we are」
オープニングとフィナーレはすごく良かったのだけど、とにかく冒頭の心の掴まれ方がすごかったのでやはりこの曲。比較的静かに始まるのだけど、カジェル達のメイク・衣装がとにかくゴージャス!!彼らの身体能力も素晴らしいし、あーもうこれ好きに決まってるじゃん!と冒頭で感じることができて嬉しかった。
アルバンが歌う「I am what I am」も本当に素晴らしかったです。
Youtubeに動画が上がっていましたのでぜひ。
アルバン役、カール・ムレイニーさんのこと自体はよく知らないのですが、所作が美しく女優としての貫禄みたいなのも感じさせられ流石のカリスマでした👏
「With Anne on my arm」
色恋少年のジャン・ミシェルが父親にアンがいかに素晴らしい女性で、愛しているかを語る歌です。個人的にとても楽しく感じた曲。曲自体も好きなんだけど、ダンスにバレエの要素が入っていて見応え!(ちなみにジャン・ミシェル役のベンクルトン君のキュートさはジャン・ミシェルのうざさを緩和してくれていたと思います)
「The best of times」
ジャクリーンのレストランで全てが明るみになる前に、両家で楽しくパーティをするシーン。ものすごい多幸感でこの空気にずっと酔いしれていたいと感じる曲。アルバンの歌い出しから後半の全員での大合唱は厚みがあり、ものすごく盛り上がりました。本当にこの瞬間を祝福しているようで素晴らしかったです。
みんなでギュッっと座るレストランのセットも良かった。
終演後に同性愛カップルと思われる方が手を取り合って感動を共有していました。誰かの心に響いた瞬間を目の当たりにして、とても印象的だったので写真とっちゃいましたブレてる後ろ姿だから許して。
そんなこんなでとても楽しい作品を1発目に観れてとてもいい気分で夜を過ごすことができました。
夏のロンドン、今後もリージェンツパークオープンエアシアターは見逃せない!
また行きたい!
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