イギリスの産科医療4:産科医問診アポの目的
イギリスでは一般的な妊婦サポートは助産師がやりますが、特定の条件に当てはまる人は産科医が関与するようで、ある日予約が入りました。多分、20週エコーとセットになってるアポです。役割が完全に分担されていて、一回の受診でエコーも問診もセットでやるということはないようです。エコー予約はキャンセルしたけど産科医には会ってみたので、内容を記録しておきます。
アポ当日の流れ
こういう予約はバッチリ平日の勤務時間にかぶるのですが、健診等は妊婦の権利なので、有給を取る必要はありません。
上司によっては短い受診なら申請しなくてもOKなことも。
病院受付でチェックイン
採尿用ボトルを持ってトイレへ
看護師らしき人に私だけ呼ばれ、尿サンプルを渡してチェック、血圧・体重測定とメンタルヘルス・DVの質疑応答、10〜15分
産科医が来て夫同行で問診室へ
看護師問診
最高血圧が100未満。調べると妊娠20週が一番低いそうで、低血圧の症状に「あくび」があった。確かにここ数週間、よく出る。
脈拍は72。妊娠中は安静時心拍数が上がるのでこれは普通。
微量の尿糖が検査紙に反映されたものの、助産師に聞いたら食後なので心配には及ばない、とのこと。
4週間前より2kg近く体重が増えてて、人生最大体重。
産科医問診
研修中の助産師が同席する中、15分スロットのはずが30分強くらいかかりました。
予定日について
記録されてる予定日が2日ズレている!といらついておられました。移植日、何日目胚、とかから計算し直し。
私の心の声:予定日はあくまでも「Estimated Due Date、推定出産予定日」であって消費期限じゃないんだから、2日とかどうでもよくね?
(消費期限自体、過ぎてても余裕でいけるし)
イギリスの産科医療がいかに「日付」や数字、つまりお産の「管理」に囚われているのかをかいま見た感じでした。
卵の出どころ…ってまたかよ!
↑の会話の一環で、移植した胚は自分の卵子からできたものか聞かれました。GP、妊娠早期ケアユニット、そして産科医、これでもう3回目?
忘れたけど12週エコーで聞かれてれば4回目、なんか辟易してきます。
予定日算定に関係あるのかと聞いたら「いや、気になっただけ」
…興味本位でこういう立ち入った質問すんのって、けっこう失礼じゃない?
私が44歳だから聞いたんでしょ?
高齢で自前の卵で妊娠してるのが珍しいから?
患者ファイルに記録されてないんか?
記録してないんなら統計取ってるわけじゃないから聞く意味なくね?
精子が夫のものかどうかは「気に」ならないんか?
自分の卵だろうが他人のだろうが、妊娠継続してて免疫の問題起きてないんだからどうでもよくね?
次聞かれたら、患者ファイル見ろって言うわ。
20週のエコー検査を断った理由
20週健診に行かなかった理由を聞かれました。検査技師も、この先生も、そういやキャンセルした時の電話口の人も「あなたの自由ですが」って言う割には、食いついてきます。
本来、利用者側に説明責任はない。
さらに、このエコーでは何を調べるのか知ってるか、と。
口頭試験かよ!
素直に答えた私も私ですが。
健診内容を知ったうえでの選択で、無知・無責任ゆえではないことは理解したようですが、仮にそうだとしてもあちらの知ったとこではない。
多分、赤ちゃんに異常があった時に「20週でわかるって知ってたらエコー受けて堕ろしてたのに!」とかクレームがつくのを避けるためかな。
実際、NHS産科サービスは訴訟回避のために動いてる側面が強いといろんな方面から聞きます。例えば、このBBC記事。
妊娠糖尿病検査
妊娠糖尿病チェックとしてNHSではブドウ糖を飲んでから血中の糖を測る経口糖負荷試験と、自宅で毎日計測する自己測定法の二種類あります。先生いわく経口糖負荷試験のほうが正確だけど、とのことですが、砂糖水を飲むのは嫌なので後者を希望する、と以前助産師に言ったけどここでも繰り返し言いました。
血栓症
血栓防止に低量アスピリンは飲んでるかも聞かれました。
移植のときに低分子量ヘパリンと併用してたけど12週でやめた、助産師にすすめられたけど処方されてないし、妊娠前に脚の微妙な痛みをGPに触診してもらったら問題なしだった、と答えたら特に何も言われず。
胎児の心音確認(未遂)
ドップラーは嫌なので、心音確認は助産師のときと同じくpinard horn(トラウべ聴診器)でお願いしました。が、めったに使わないようで、最初は助産師研修生がやってみたところ聴こえない。お手本を見せようとしてか先生も挑戦しましたが、二人ともお世辞にも手慣れているとは言えない手つきで、聴こえずじまいでした。
「22週だと、ドップラーでもうまく行かないこともあるから」と言い訳してたけど、どんだけ電子機器に頼ってるんだ。
今日のアポの真の目的
一通りの問診のあと、先生が「さて、分娩方法の話をしましょう」と切り出し、39週での誘発分娩をすすめられました。
これが今日の目的だったのか。
提案理由は死産のリスクを39歳以下の女性レベルに下げるため。
25歳の妊婦は41週までで1/1000なのが、44歳だとそのうん倍くらいになるから、というご説明。
現在のイギリス産科医療の闇について、何冊か本を買ってすでに知識はあったので、「来たな」って感じ。
そして、助産師主導の併設産院ではなく産科医が管理する産科病棟でのお産をすすめられました。他の選択肢には一切触れず。
「お産の場所にはAとBとCがあります。それぞれにはこんな利点と欠点がありますが、あなたの場合はこういう要素があるので、産科としてはこれをおすすめします」っていう話のしかたならフェアだと思いますが、問診では何ら合併症リスクなど問題が発覚したわけでもないのに、高齢だからというだけでハナっから医療化度マックスな「産科病棟で誘発分娩」一本でした。
何を隠そう、現時点で私たちが計画しているのは自宅出産です。
法的には、どこで出産しようがNHSサービスを使おうが妊婦の自由で、許可はいらない。そして自宅を選択した利用者の元に医療スタッフ(主に助産師)を送る義務があちら側にはあります。
12週エコーのときみたいに変に説得を試みられることがあっては面倒だし、そもそもこの時点での話し合いは無意味なので、こちらの意思は懐にしまっておくことにしました。
次のステップのお話
今後は、32週と36週にエコーがあるけど、どうする?と言われ、一応バックアップとして入れといてもらうことに。
というわけで、産科アポが32週(エコー&問診)と36週(エコーのみ)に入りました。
32週は、それまでにはほぼ確定している胎盤の位置を知れるし、何かあればまだ分娩まで2ヶ月あるから対策ができるかもしれない。
36週は比較的新しく導入されたものらしく、前に助産師は「研究目的」と言っていたっけ。
実際、別の医療スタッフが「36週エコーが有益かどうか、まだはっきり証明されてないんだけどね」と来院した夫婦に話しているところにたまたま夫が居合わせたそうで。
ま、今は順調でも後から問題が起きるかはわからないし、そもそも妊娠は病気じゃないので、医療介入はいざというときの命綱としてとっておく、そういうスタンスで「予約は」受けました。キャンセル自由だし。
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