撮影

俺はカメラマン。
様々な被写体を探し旅に出ている。
今日の依頼はとある小学校での行事を撮影して欲しい。との事だ
詳細までは記述されていなかったが
学校の行事となれば絞れられる。
身支度を済ませ玄関の扉に手をかけた。
...............
......

『ここが依頼の小学校か』
門をくぐり抜けると懐かしい気持ちと
幼き頃の視点と今の視点の高さにギャップを感じてしまう。

「佐藤さんー!こちらです!」
少し遠くから先生らしき人が手を振って
手招きをされ俺は足を進めた。

.....................
.........
...

運動場でもない。運動会では無いのか。
そう思いながら足を進めていると
懐かしい、柔らかな物を何かにぶつける音が聞こえる
これは──。

『餅つき...』

「そうなんですよ!佐藤さんにお伝えしてませんでしたよね!写真撮りながら楽しんでもらおうと思って(伝え忘れとか言えない)」

『良いですね。俺もぜひ楽しませて頂きます』
《小声は聞こえないようにして欲しい物だ。》

子供達を見ると髪色が黄色の子や
奇抜な髪型の子、様々な子がいる。
先生によれば、家庭の環境があまり良くない子や海外の子、養子縁組の子
家で愛を受け取らない子や、あまり馴染めない子の為の小学校らしい。

その話を聞き、自分のエゴの為他人を巻き込んでるのか。そう思いながらも仕事の為カメラを構える。
レンズ越しに映った世界は──。
心の底から楽しんでいる子供達だった。
家庭環境、生まれた国さえ違う子供達が
餅をつき、幸せそうに餅を頬張り
楽しそうに笑いあっている。

『先生...!これは』
「佐藤さん。人は同じ幸せの共有ができる。
それだけで凄く幸福なんですよ。
だから、私はこれを守りたい。そう思うんです。
おや、ジョンくんが来ましたよ?」
服の裾に違和感を感じるとそこには金髪の少年が立っていて
「おニーサンも、一緒、楽しむデス」
満面の笑みで誘われる。

『しかし俺には仕事が』
「今日ぐらい楽しみましょうよ。同じ人なんだから、それに。佐藤さんさっきからお腹が鳴ってますよ?」
『っ....そうさせて頂きます』
やったー!と複数の声と共に
気付けば餅つき場、食べる場所に子供たちに連れてかれ、餅に付ける醤油や、きな粉の説明を受ける。
「んとー...これが、チョコでね?おいしーの!」
餅つき大会。悪くない。


1ヶ月後 チラシがポストに投函されていた。
【皆の愛で包み込みます。
welcome to primary school
(小学校へようこそ)】と書かれており
その写真にはその当時の餅つき大会の子供たち数枚と俺の餅を食べてる写真が写っていた。
写っていた....?

『あの先生...やりやがったなぁァァァ?!』
叫び声と共に今日も一日頑張れる。いや
楽しく過ごせる。そんな気がした。





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