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雪とコーヒー

白く曇った窓を見て、
寒いのは嫌いだよ、と呟く。
でも、冬は好きだ。
雪が降り積もるほどの寒い冬は。
全て覆ってしまえば良い。それで何も見えなくなってしまえば良い。
見なくても良いものばかりの世の中が、
少しでも救われたような気がするから。
手に取ったホットコーヒーの湯気が、私の目の前で揺れている。
雪が降っている。
目の前に映る木に花が咲いたときには、
今より少しでも世の中が良くなっていることを期待して、
私は、まだ熱いコーヒーに口をつける。

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