主観的多様性

カフェで、男性2人が話をしている。

男1:…というわけでさ、最近規制が強くなったじゃん。その、多様性とか言って女性を性的な文脈で使ってはならないとか。面倒臭くなったんだよね。俺もある程度考慮に入れて入れているはずなんだけど、どうしても批判する人が一定数いてさ。これは性的だとか何とか。どうしても批判が来るんだよな。

男2:ほぉ。

男1:それで俺、考えたわけ。過激に批判した人たちを集めて、そこで話し合いをしませんかと。広告を作ってくだされば、報酬も出しますと。

男2:面白そうだね。

男1:それで、集まってもらったわけよ。

男2:そうしたら?

男1:暫くして乱闘が始まってさ

男2:は?

男1:詳しくは知らないんだけどね。女性に対する考え方が微妙に違ったらしくて。

男2:どう言うこと?

男1:肌を出すのは性的に含まれるか含まれないか、とかだったかな。あまり関心も向かなかったから他にもいくつかあったはずだけど、もう忘れた。面白かったからそのまま止めないでいたんだけど。

男2:悪いね、お前。

男1:でも結局、全員に配慮するにはってことで、肌の露出は極力避け、文字はお洒落にしたんだけど、なんか無難というか面白味のないデザインで。というかそもそも、うちのターゲット層は男性メインで、そんなお洒落さを求めている企業ではないんだよな。

男2:でも、それでどうした?

男1:これで広告を出しますが、自分達が作ったってことは言わないでくださいね、と釘を刺しておいた。そういう話題作りならいらないし、これが知られたらそれはそれで別の炎上を招きそうだし。

男2:それで?

男1:結局全く話題にならなかった。

男2:まぁ、そうか

男1:あまりに話題にならないから、約束を破って自分でツイートした人もいたんだけど炎上もそうしなかった。信じてもらえなかったのかな。デザインがあまりに心惹かれなかったから。つまりは自分の中にしかない多様性をどんなに高々と掲げても、自己満足では他人には響かないよってことだね。自分の多様性を主張する前に、周りの多様性を認めろってことだな…

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