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北海道旅行記: 4日目 (網走→知床半島→網走)
7月11日(月): 四日目のルート
屈斜路湖
宿は大部屋のため、早朝は周囲の人がまだお休み中です。そろりと仕度をととのえ、朝6時30分に出発。
この日はまた同じ宿に泊まる予定なので、大荷物は置いたまま。
宿でお話したライダーさんに教えてもらった「感動の径」、なだらかな丘陵に田園風景が広がる、まさに北海道という感じの道を通りつつ、第一の目的地である屈斜路湖のほうに向かいます。
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美幌峠という、展望がいいと評判の道を通りましたが例によって霧で見えず……しかし屈斜路湖ほとりの「砂湯」に到着する頃には霧も大分晴れていました。
火山地帯である屈斜路湖近辺では温泉が多く、ここ砂湯もその一つ。
その名前の通り、砂を掘ると温泉がわき出るスポットのようで、実際に砂からは湯気が立ち上ぼり、周囲は仄かに暖かかったです。近くにはキャンプ場もあり、温泉のお陰で暖かく快適に過ごせそうです。
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網走湖付近にもよさげなキャンプ場があったので、次に北海道ツーリングするときはキャンプするのもいいですね~。熊が怖いですが……。
さくらの滝と神の子池と裏摩周
屈斜路湖と火山地帯を越えて摩周湖の東側に向かいます。
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西側が表ルート、東側は裏ルートと言われ、穴場のスポットが結構あるようです。
宿のおかみさんに教えてもらったのは、サクラマスの遡上が見られる「さくらの滝」、透明度が高く神秘的な「神の子池」、そして摩周湖を裏側から眺める「裏摩周展望台」です。北から順にクリアしていきます。
さくらの滝
看板などの案内も控えめで、まさに穴場スポットという感じ。
駐車場を降りてから滝までは少しだけ藪道を通る必要があります。熊出没注意の看板が立っていて普通にびびりましたが、歌ったり声を出しながら50mほど進むうち、すぐに目的の滝に到着しました。ビビって損した。
さくらの滝は高さはないですが横幅のある滝でした。この時期(7月ごろ)はまさに遡上のシーズンだそうで、しばらく滝を眺めているとピョン、ピョンとサクラマスが滝に飛び込んでいるところを見ることができました。
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ちなみに鮭とマスについて、生物学的に明確な差異はないそうです。海にいくのが鮭、川で一生を過ごすのがマスという話もありますがそれも誤解で、サクラマスの場合は海に出て戻ってくる個体→「サクラマス」、川で一生を過ごす個体→「ヤマメ」と区別されているそう。
川での一生、海での一生、魚にとって幸せなのはどちらだろうと少し考えてしまいます。もし私がサクラマスなら、海に出る方を選択したいですが、なんだかんだ川から出れずに一生を終えそうな気がします。人生とはままなりませんね。
淡水と海水、異なる世界を跨いで生きる鮭・マスは不思議な魚です。遠く離れても故郷の川に戻ってこれるところも。生命というのは不思議ですね。
神の子池
名前からしてすごい。摩周湖がアイヌ語で「カムイトー(神の湖)」とされており、そこの伏流水でできているという伝承から「神の子池」と呼ばれているそうです。
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森の奥に佇むこの小さな池を目指すには、道路から林道に入って2kmほど進む必要があり、バイクだと少しきついです。横転しないようヒヤヒヤしながら進み、なんとか駐車場までたどり着きました。
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神の子池は神秘的な深い碧色をした池で、周囲には遊歩道が整備されていて楽に回ることができます。水深は5mほどですが、水が澄んでいて底までくっきり見えるためもっと浅く見えます。
水温は年間通して8℃と低めのため、池の中に倒れた木は腐敗せずそのままの形を保っており、まるで時間が止まってしまったような不思議な印象を受けます。
透明度の高い泉は毒があったりするものですが、この池の周辺は木々が生い茂っており生命を拒む印象はありません。雑然とした生命の傍らにありながら凛然と佇むこの池は、まさに神秘的な美しさがありました。
裏摩周展望台
ごらんのありさまだよ! 展望台への分岐を曲がったあたりから、例によって霧・雨に巻き込まれてこのざまです。
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展望台近くには駐車場と小さな売店があり、雨宿りしていると売店の店員さんに同情してもらえました。とはいえ摩周湖は霧が多いことで有名で、独身者が摩周湖を見ると婚期が遅れるというジンクスがあるのだとか。
私はすでに今さらという感じがしますが、今ここで摩周湖が見れなかったのは、メチャメチャ厳しい北海道がふいに見せた優しさだと思って次に進むことにします。おぼえてやがれ。
地球が丸い開陽台
裏摩周から標津方面に向かう途中、ライダーの聖地と名高い開陽台があります。見渡す限りの草原のなか、小高い丘の上に展望台があり、誇張なしに「地球が丸く見える」のを体感できました。
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普段はライダーが多いとのことですが、この日は平日や曇り模様ということもあり人影はまばら。快晴でないのは少し残念でしたが、人混みに影響されずに圧倒的な絶景を堪能することができました。
周囲に光源のない開陽台は星空の名所としても有名です。展望台横、バイクでやっと通れそうな細いダートの道の先にはキャンプ場があるので、晴れの日にここで宿泊すれば満点の星空を堪能できそうです。
酒でも飲み、誰かと語らいながら、星空を見るなんて憧れますね。次に来るときは是非やってみたい。
知床の戦闘力を甘く見るなよ
どこまでも続く長い道を越え、いよいよ羅臼近辺に近づきます。
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この日の昼食はいかにも味のある風情の「純の番屋」で頂きました。名前の通り、「北の国から」の撮影場所になったそうで、年期が入っていながらどこか落ち着ける雰囲気でした。
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鮭といくらの親子丼を注文。ご飯の熱でとろける鮭と、いくらの食感が最高に旨かったです。
時期によっては「鮭児」や「時知らず」も食べられるそうで、脂が乗っていて大変な珍味なのだとか。この二つは同じものだと思っていたのですが、どうやら異なるそうで「鮭児」のほうが希少なのだそう。いつか食べてみたいものです。
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そこから少し進んだ先、「道の駅知床・らうす」で用足ししていると、トイレの壁にこういうポスターがかかっていました。
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小学三年生の女の子の作らしい。「クマを、たまに見かけますよね」という「え、お前クマも見たことないの?」と言わんばかりの強者オーラがすごい。
関西のクソ田舎で若干ワイルドな幼少期をすごした自分も、ここではシオシオの軟弱なシチーボーイのごとく過ごさざるを得ないのです。
このポスターから感じるのは、知床半島ではクマがいるのが日常であること。また敬意をもって慎重に接すれば、人と自然の不幸な衝突を避けることができるということ。
私はどちらかというと、人の生活圏に入った害獣は駆除すべし、という考えではありますが、むやみな衝突を極力避けるという大前提が欠けていた気がします。
小学生がこうした啓発ポスターを描く羅臼は、真の意味で人と自然が共存する町なのだと、感銘を受けました。
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道の駅羅臼ではほかにも様々な食べ物が売っていました。印象深かったのは「うにふんどし」という料理と、「昆布ソフトクリーム」。
「うにふんどし」は、カニの身(ふんどし)にウニがのっかったもの。うまいもの(カニ)の上にうまいもの(ウニ)を乗せているのですから美味くないはずはない。新鮮なウニは生臭みも何もなく磯の味だけが突き抜けるようでした。間違いのない味。
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「昆布ソフトクリーム」は、ソフトクリームに羅臼名産の昆布茶をかけたもの。昆布茶がのどにはりついて、むせる。まあ旨味が足されて美味しいっちゃ美味しいんですが個人的には単品で食べる方が好きかもです。
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で、まあそのあと羅臼から知床峠を抜けてウトロ方面に向かったわけですが、これまでの流れ的に、高地、低気圧と来れば無事ですむわけがなく、またしても霧が目の前に立ちふさがりまして。
10m先も見えない濃い霧は普通に通るのも怖いですが、さらにいつクマが現れるか予測のつかない状況。怖い話をさんざん聞かされたあと肝試しに挑むようなもので、生きた心地がしなかったです。
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「暑そうだったのでサプライズで少し涼しくしてあげるわ」と、脳内で妖艶な美女に設定した北海道が高笑いしています。余計なお世話だチキショウめ。
ちなみにあとで知ったのですが、私が羅臼を訪れたちょうど前日、周辺で「羅臼太郎」と名付けられ警戒されていた羆が駆除されていたそうです。
もう少しタイミングがずれていたらネームド羆とニアミスするところだったのか……。
フレぺの滝・オシンコシンの滝
知床峠を越えると、緊張の連続でヘトヘトでした。プユニ岬の近くの知床自然センターでコーヒーを飲んで一休み。ここからフレぺの滝まで散策路があるそうなので、散歩がてら向かうことにします。
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フレぺの滝は、地下水が崖から噴出している滝で、「乙女の涙」とも呼ばれています。入り江の崖からさめざめ流れる滝はまさにその名にふさわしく、ひっそりと一本立つ百合の花のように秘められた美しさを感じました。
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ウトロ側には他にも「男の涙」と呼ばれる滝や、知床五湖などもあり、時間が許せば是非回ってみたかったです。
羅臼側にも半島の奥に伸びる車道があり、海岸に切り出された野趣あふれる温泉もあるとのこと。
海と山、手つかずの大自然。大通りをただ通過するだけでは味わえない魅力が、知床半島にはあると思います。知床を中心に、もっと時間をかけて回ってみるのも楽しそうです。
海沿いの道を通って網走の宿へ。
途中に立ち寄ったオシンコシンの滝は高さも横幅もあるダイナミックな滝で、壁面を白く覆うダイナミックな滝しぶきはまさに名瀑と言うにふさわしい風格がありました。海と滝のコントラストがきれいですね。
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明日こそ
この日はこのあと宿に帰って就寝しました。明日の予定は網走監獄博物館、能取岬、エサヌカ線、宗谷岬を目指します。
いよいよたどり着く北の最果て。今日も変わらず霧に泣かされた日でしたが、明日こそ北海道は微笑んでくれるのでしょうか。明日もいい旅になりますように。
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