夜行バス
初めて夜行バスに乗ったのは大学2回生の頃だった気がする。
忘れもしない名古屋発の中央道経由新宿行き。途中のバス停より乗ってきたいかにも恰幅の良い御仁が私の隣に座ったことから悲劇が始まる。高らかな鼾、暑苦しさ、酒の匂い、就寝スペースの大減少といったコンビネーションが私の睡眠を妨げる。
新宿に着いた頃には疲労度MAXで、ネットカフェに入り体を休めなければとてもこの日の旅程をこなすことは出来なかった。
さて、散々な夜行バスデビューを果たした訳だが、その時のトラウマをものともせずなんだかんだ今日も夜行バスのお世話になる。いや、実際には3列独立シートしか乗れなくなるというささやかなトラウマは残っているが‥
金曜夜の大阪梅田の街。夜10時をも過ぎると帰路に就く人、朝まで飲む勢いで練り歩く人などが夜の街を描いていく。
しかしその風景とはは不釣り合いな大きなキャリーバッグを持つ人が昼間ではあまり見ないような遠方の行き先を示すバスに集ってくる。そのバス乗り場の一角だけが始まりの空気を纏っているのだ。一日を、一週間を終えようとする人々に逆行するような風景を眺めるのもそのなかに入るのも夜行バスの楽しみだったりする。
だがここまでがハイライトだ。夜行バスは全ての窓がカーテンで遮られるので車窓など楽しむことはできない。バスに乗ってしまえば後は寝る。ただそれだけ。
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