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人生のイベント 結婚、結婚式、妊娠、流産 〜流産篇②〜

noteには不思議な魅力がある。
自分の体験や興味のあるものから生の声を聞くことができるからだ。
はじめは、身近な体験ではなく小林賢太郎さんを追ってこのアプリに辿り着いた。8年付き合った彼と結婚して、一生に残る結婚式を挙げ、妊娠を経て流産を体験した。このnoteを貪るように読み始めたのはまさに流産した経験からだった。

稽留流産「かも」しれないという言葉に少し希望を持っていた。「かも」は「そうかも」しれないし「違うかも」しれないからだ。でも、それは自分に都合の良い解釈なのはわかっている。
それでもその希望を持っていないと飲み込まれそうな悲しみの渦。

9週目の壁を越えられなかった。1週間後もう一度検査をしにいく。

稽留流産と告げられて、夫とわんわん泣いた後、悲しみを抱いたまま私たちは出かけた。家に居たら出口がない。この気持ちと向き合うために外に出た。夫は何とか耐えていた。私は外に出てもなかなか視界に景色が入ってこない。笑ってみせてもどこか虚しい。稽留流産「かも」しれない。この言葉が私の頭の中を支配していた。

私に欠点があって、育てる資格がなかったのか。それとも、胎児に良くないことをしてしまったのか。喜んでくれてた両家家族。何よりも、夫への思い。私があの時・・・この時・・・そんなことばかり考えて沈んでいた。

外の空気を吸っているうちに、視界がはっきりしてくる。平日休みの旦那さんと奥さんとベビーカーの赤ちゃんの長閑な散歩姿。中高生たち、カップル。色んな組み合わせの人たちとすれ違った。
冬の冷たい空気は私の澱んだ気持ちを入れ替えてくれてるかのようだった。

帰り道、夫が「名前を考えたんだ」と言った。
とても良い名前だった。私たちに希望をくれたこの子は、君たちは親になれるんだぞと告げて一度戻った。しっかり、この子に来てくれてありがとうを言って悲しんだら前を向こう。夫は悲しみの中でも、その子のことを考えて素敵な意味のある名前をつけた。私の気持ちに少し温かみが戻った気がした。

我が子の干支は卯だったから散歩の帰りにひとつウサギの置物を買った。家に帰って写真とウサギの置物を飾った。

1週間、家でも会社でもうわの空。
仕事しながらつわりは続く。1週間後、心拍確認できないものかなぁ。上司に報告して1週間後、夫と一緒に病院へ。夫は初めて訪れたクリニック。結果は変わらず。手術の日を決めて帰宅。日にちは1週間後。

クリニックで初めてリアルに我が子を見た夫は衝撃を受けていた。稽留流産を目の当たりにしたのだ。そして、初めて流産と言われた日のことを「辛かったね」と声をかけてくれた。

こんなにも優しい人をどれだけ悲しませているのだろうか。そのことが辛かった。我が子の設計図はこうして途中で止まってしまった。

続く

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