9月13日

今日は年をとりました。(禅塾生活残り1日)
昨晩は夜中に何度か起きました。時計をみてまた眠るを繰り返しました。どこか時間へのプレッシャーが定着したようです。学校が休みだといつまでも寝ていられることがありますが、久しくそんなこともしていません。起きている時間が過去の夏休みで一番長かったのではないでしょうか。しかし今朝はしっかりと目覚め、レッドブルを飲んで1日をはじめました。誕生日だったので。

朝ごはんの時にGさんからご飯の炊き方で注意を受けました。昨晩雑穀米が切れていて代わりに白米を使ったがために手順を間違えたというものです。自分が勝手な判断で行ったために逆に時間を食うことになりました。「隠した問題は必ず光の下に現れるんだから、公明正大に行かないとだめだよ。」とここ最近の自分にトドメを刺すような一言をもらいました。しばらくはそういうことなので公明正大になりそうです。

今日は雨が降っていたので清掃では老師が住んでいる院寮に初めて入りました。中には骨董品が並んでいたり、書物庫が隣接していたりとかなりいい空間でした。そして禅寺で唯一の二階が存在します。そこから敷地内を見渡すと綺麗に瓦が並んでいて、自分は今までこんなところで生活していたんだと少し感動しました。今日の清掃が今までの清掃を大きく違ったのは、普通に人が生活する家を清掃したことです。いつもは庭や学生寮など一般の家庭では内容なところばかりを掃除していましたが毎日老師が生活している空間を掃除したためにGさんと二人で年末の大掃除でもしているかのようでした。しかし考え方を変えれば毎日それだけの分量を掃除してきたということになります。つまり時間とモチベーションさえあれば日頃から大掃除並みのことができるということです。もちろん一般家庭ではそんなことはしないのですがどうしても部屋の片付けに気が進まない時はこれを思い出したいです。

清掃を終えてGさんから「今日の晩は何を食べたいですか」と聞かれました。以前にもこのようにリクエストを聞かれたことがありましたが、自分は少し申し訳ないと思って断っていました。しかし今日はせっかくの最後のGさんの料理なので何か自分が食べたいものを言おうと思いました。そういう時、いつもならかなり悩むのですが今日はなぜか即答で「オムライスがいいです。」と答えました。後から自分で思いました。「一ヶ月間、自分が食べたいメニューを言わずに我慢した上で、いざ食べたいものを聞かれると、オムライスになるんだな」と。そういえば自分の母親はオムライスの上の卵にかなりこだわりを持っています。まだ実家で生活していた頃、毎回オムライスの日は楽しみでした。そしてオムライスといえば一人暮らしをはじめたから初めて作った料理もオムライスでした。大学で一番に知り合った友達の家で一緒に具材を買って作りました。その思い出から慶應に引っ越した時も一番初めはオムライスを作りました。事あるごとにオムライスを食べています。なぜかわかりませんが、いざ何かの転機になるという時は必ず食べていたように思います。今回の件でこの法則のようなものがはっきりしたので、これからも何かイベントがあれば食べたいと思います。

日中は前から行きたかったファイヤーラーメンに行きました。ファイヤーラーメンをやっている「めん馬鹿一代」は京都の二条城の前にあるので開店前に二条城に寄ってみました。受付口は何台もばすが停まり、修学旅行生を一気に下ろすとまたどこかへ走ってゆくという光景でした。そんな様子から以前、中学校の修学旅行で二条城を訪れたことを思い出しました。しかしその時はゆっくりと中を見ることもなく終わってしまったので今回はゆっくりみれてよかったです。思い返せば修学旅行で二条城にきた時も雨が降っていました。建物を囲む大きな石垣を見たときに当時の記憶が蘇りました。こうして時間をへてまた同じ場所にくることができるとは思っていませんでしたのでより一層印象に残る瞬間でした。ファイヤーラーメンは思ったより小さいお店でした。やはり色々とシステムが独特で面白かったです。お店に入るとメニューはネギラーメンしかなく、セットをつけるかどうかの選択肢があるのみでした。その後は紙エプロンを渡されて注意事項を散々読まされました。スマホ撮影用にワイヤーが用意されていて撮影はスタッフが終始担当するというものでした。それでも実際にファイヤーする瞬間はとても迫力があって、目の前で大きな火花が飛び散りました。今から昼飯として食べるものであると、忘れてしまうほどでした。店員さんはとても陽気で帰り道を丁寧に教えてくれたり、演出を盛り上げてくれたりととてもいい空間でした。ただ、ラーメンそのものにもう少しこだわろうよ、と言いたいです。

帰りはとても眠気を覚えました。電車も特急で乗り過ごし、高槻市というかなり先の駅まで乗ってしまいました。禅塾に戻った後も一気に疲れを感じて気づいたら1時間ほど寝ていました。そしてご飯の時間の鐘がなりました。これまで、時間が来ては起きて、座禅をして、掃除をして、ご飯を食べて、という乱れのない生活をおくっていたため、ついに終わりが前に迫った今日はその緊張の糸をゆっくりと解いているようでした。罪悪感がなく、気候もいい、本当に心地の良い昼寝でした。今日はこれから最後の風呂に入り、最後の施錠にまわり、さっき買って来たおつまみでビールを飲みます。ケーキでもなく、シャンパンでもなく、いたって日常的なものですが、これをしばらく前から楽しみにしていました。この一年も結構ビールにはお世話になりそうです。同時にこうしてこれからも幸せな年の取り方をしたいと思ってしまいました。明日はもちろん4:30に起きます。今後しばらくはこんなに早くに起きることもないと思うので頑張ってやりきりたいです。そして濁りなく、公明正大な自分でこの禅塾を後にしたいです。オムライス。

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