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本番でどの刀を出すか。サッカー実況・原大悟は睡眠で研ぎ澄ませる

勝負の日の前日は、不安や緊張、興奮が交差するもの。

特に決戦の日に結果が求められるスポーツ関係者は、「眠れない」といった経験も少なくないと思います。


本特集企画「決戦前夜〜眠れない夜の裏話〜」では、スポーツ関係者の“決戦前”のエピソードに迫ります。第3回は、フリーアナウンサーの原大悟さんの裏話です。

これまで多くの試合を実況してきた彼が語る、印象に残る試合と、それまでの準備とは。

J1昇格プレーオフとW杯の共通点

実況者として一番印象に残っている試合は、2019年のJ1昇格プレーオフ第1戦・徳島vs甲府です。この年からJ2を担当することが多くなりましたが、プレーオフはシーズン最後の試合なので、オファーを待ちわびていました(笑)。実際に決まった時は嬉しかったですね。

僕は前泊して、当日に電車でスタジアムへ向かいました。電車には、徳島と甲府のサポーターが入り乱れていました。電車を降りるとお互いに握手して、駅を出て行くんです。どちらのクラブもJ1経験があって、是が非でも復帰したい気持ちがあったと思います。その中で、プレーオフに選ばれしクラブとして、尊重し合っているのだと感じました。

スタジアムに着くと、ツアーバスで来た甲府のサポーターが大勢いました。僕を知っている方もいて、「すごく楽しみにしてきた」「DAZNでも見返します」と言ってくれたんです。その言葉を聞いて、しっかりと伝えないといけないな、と。いつもより緊張感を持って実況に臨みました。

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殺伐とした雰囲気というよりは、違うクラブのサポーターも来ていて、W杯のようなお祭りムードでした。

僕は2018年のロシアW杯で、日本vsベルギーをサポーターとして観戦しました。W杯は選ばれし32カ国の大会なので、敵や味方は関係なく、多くのサポーターが一緒になって盛り上がっています。相手のサポーターとフランクに接したり、ブラジル人が歌って踊っているのを見て楽しんだりしました。

負けた後の反応は、人それぞれでした。コアなサポーターは悔しくて立ち直れないですし、純粋にイベントとして楽しみに来たサポーターは、また4年後に頑張ろう、と。ピッチに向かって何かを叫んでいる方もいましたね。僕は最後に悔しがっている姿が、テレビに抜かれてしまいました(笑)。

その後はベルギーサポーターにタオルマフラーの交換を求められ、「日本の気持ちも持っていくよ」と。快く受け入れて交換し、この悔しさを忘れないようにと、自分でもベルギーのグッズを買いました。サポーター同士での交流という意味では、J1昇格プレーオフにも同じような空気を感じましたね。


実況は一瞬一瞬が勝負。データを用意しすぎない

正直、試合の内容はあまり覚えていないです(笑)。僕は定期テストのように、その場でぐっと詰め込んで、また抜けてしまうタイプ。他の方がどうなのかは分からないですが、記憶に残すべきだとは思います。

試合前には情報収集して、万全の状態で臨みます。ただ、プレーオフの前はあまり詰め込みませんでした。J1昇格がかかっていて、間違いなく面白い試合になるので、現場の高揚感を第一に伝えたかったんです。


僕は普段、試合の資料はパソコンでA4用紙1枚にまとめて、それだけ見れば分かるようにしています。実況は一瞬一瞬が勝負なので、どこにどの記録があるのか、分かりやすくしたくて。カズさん(三浦知良)の最年長ゴール記録がかかっていれば、当然、何年何ヶ月かは把握しておきます。

でも、各選手の詳細なデータはあまり用意していないです。言いたいことを用意しすぎると、変なタイミングで言葉を発してしまったり、目の前の出来事を魅力的に伝えられなくなってしまいます。

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ビッグマッチを実況することはまだまだ少ないですが、Jリーグでは、ある程度担当する範囲が決まっています。J1のみ担当する人もいれば、J1とJ2を兼任する人もいる。僕は国内ではJ2、海外ではベルギーリーグやポルトガルリーグを担当しています。欧州の主要リーグの時も、ビッグマッチではなく中位から下位の試合が多いです。

ただ、今シーズンのラ・リーガ(スペインリーグ)では、バルセロナvsセビージャという好カードが巡ってきました。恐らく、先輩方が担当する予定だったカードが回ってきたな、と(笑)。ラ・リーガでの経験は浅かったですし、不安もあったので、両チームともに5試合ずつくらい見ました。

いくら試合を見ても、すべてを網羅することは不可能です。それよりも、必要なデータをすぐに調べられる体制を整えることが大事だと思います。このサイトのここを見れば良いと分かっていれば、何も怖くありません。


野球のキャッチャーのようなイメージで、どのようなボールでも拾えるように準備しています。解説者が「こんな試合、ありましたよね」と振ってきた時は、即座に対応できるように。気持ちを入れすぎず、余裕を持って取り組んでいます。シーズン最後のJ1昇格プレーオフでも、それは変わりませんでした。

2020-2021シーズンのシント・トロイデン(ベルギーリーグ)は、実況していて少し気持ちが入りました。2部に降格しそうになりながら、鈴木優磨選手の活躍もあって、なんとか残留。日本人選手が活躍していることもありますし、ずっと担当していると応援したくなります。ファンではなくても、情がわいてきてしまうんです。


五感を研ぎ澄ませるために睡眠は重要

欧州サッカーは、国によってもキックオフの時間が異なるので、入り時間も変わってきます。実況者の試合前の過ごし方は、人それぞれだと思います。僕は仮眠を大切にしていますが、どうしても直前になると、不安になってチームの情報を細かいところまで調べたくなってしまいます。

でも、僕はその気持ちを抑えて寝たほうが良いと思っています。いくら情報を持っていても、五感が鈍っていたら、良いタイミングで差し込むことができません。早い段階で点差が開いて、試合が決まってしまうなど、状況によって眠気が生じることもあります。

本番でどの刀を出すかは、反射神経に頼る部分もあります。少しの情報よりも、寝たほうがパフォーマンスは上がると思うので、今後も睡眠を大事にいきたいです。

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