eスポーツプレイヤー・たぬかなは、長時間&遠距離とも戦う
どんな場面においても、ベストのパフォーマンスを出せるかは本番までの準備にかかっています。
本特集企画「準備が8割。勝利のためのルーティーン」では、特にトレーニング・食事・睡眠・休養のサイクルがカギとなるアスリートのルーティーンを取り上げます。
第6回のゲストは、eスポーツプレイヤーのたぬかなさん。レッドブルプレイヤー、そしてCYCLOPS athlete gamingに所属するプロゲーマ―である彼女は、『鉄拳』シリーズの国際大会で好成績を収める実力者です。座った状態で長時間のプレイが求められるeスポーツプレイヤーならではのルーティーンを伺いました。
「コアタイムは深夜」たぬかなの日常
eスポーツプレイヤーが集まるコアタイムは深夜なので、私も22時くらいからゲームを始めて朝になったら寝ることが多いです。チームで練習する時も深夜ですね。それが終わっても惰性で続けて、朝6時くらいに布団に入ります。10時くらいに一度目が覚めるのですが、二度寝をして、なんだかんだ約8時間は寝ています。
一方で、格闘ゲームの大会は土日のお昼に行なわれるので、睡眠時間を調整して準備をする必要があります。大規模な大会は1日約12時間。それが2、3日に及ぶこともあります。その間はずっと緊張状態が続くので、合間に休憩時間はあるのですが、なかなかリラックスできません。そういった大会ではさすがに体がもたないので、前日から体を休めるようにしています。
格闘ゲームは拮抗した展開になると試合時間が長くなる性質があります。オンラインだと接続トラブルも発生しますし、どうしても時間は押してしまうんです。その間、勝ち残っている選手は、控室で自分の出番が来るまでずっと座って待たなければいけない。それがめっちゃキツいですね。食事もゆっくり食べられるような気分ではないので、とりあえずカロリーを取れるものを用意して、合間に無理してもちょっとずつ食べるようにしています。
大会によっては、試合数が少ないことが事前に把握できている場合もあります。そういう時は、徹夜をした状態で臨むこともあります。夜通しゲームをやり続けることで、空気の流れや匂いを読む力が研ぎ澄まされ、普段は対応できない技にも対応できてしまうことがあるんですよ。でも、寝ていない分、思考力が落ちて雑なプレイをしてしまうこともあります。良いか悪いかは微妙なところですね…。
長時間の戦いへ、起きるのは大会直前
大規模な大会の時は、前々日から寝る時間を調節して、大会が始まる直前に起きるようにします。一般的には試合の3時間前くらいに起きて、肩慣らしをしておくのがいいと言いますが、それだと大会の終盤まで体がもちません。
私はプロ選手としてシード権を与えられるので、初戦から強い選手と対戦することは少ないんです。なので、勝ちながら徐々に調子と感覚を上げていっています。待ち時間も控室で練習できる環境は整っているのですが、常に配信を見て大会の進行状況を把握しておく必要があるので、手を動かせるとはいえ気が抜けません。そういう意味でも疲れは溜まりやすい環境かも…。
eスポーツは男女別で行なわれるわけではないので、大会で男女差がでることはありますね。どうしても女性は男性と比べて体力が劣るので、長時間の大会となるとヘロヘロになってしまいます。なので、体力をつけるためにパーソナルトレーニングに取り組んだ時期もありました。ただ、体力はついた一方で肝心のゲームをする前に疲れて眠くなってしまうのでやめました(笑)。
長く活躍するために必要なこと
海外での大会に参加した時は、よく体調を崩していました。遠征は年におよそ20回。多い時は、週に1度は海外に行っていましたね。東南アジア圏に行くことが多いんです。タイやフィリピン、マレーシアなど。このエリアは時間がかからないので大丈夫ですが、ラスベガスは空港での待ち時間も合わせると18時間くらいかかります。
長時間同じ体勢でいるので、現地に到着したら体がバキバキになっています。これはeスポーツ選手の悩みなんですよ。みんな腰の痛みを訴えていて、回復に1日を費やしています(笑)。
また、海外では疲れているのに眠れないことが多くありました。病院でもらった睡眠導入剤服用していたこともあったくらいです。生活習慣に気を配るというよりは、短期間で効果を出すために薬でなんとかしようと。
そうすると、日本へ帰国しても体調を崩してしまうんです。睡眠時間がバラバラなので、ずっと眠い状態のまま。加えて私は海外の食事が合わないので、現地では全く食べられなくて。帰国してからたくさん食べて、胃もたれに苦しむこともありました。こんな風に必ず体調を崩すので、海外には行きたくないと思っていました。
国内外問わず、なかなか眠れず、朝になって眠気に襲われることもよくあります。そういう時はレッドブルを飲んで、昼間の大会に出場していました。20代前半だからできていたことで、今は絶対にできませんね。
長くプレイヤーとして活躍するためには、まず腰を大事にすることですね。インナーマッスルなどを鍛えて、きちんとイスに座っていられる体づくりも必要です。
あとは、飽きることなく、ずっとゲームを楽しむこと。他のゲームで遊ぶなど、息抜きをすることが、飽きずに長続きするために必要かなと思います。座っている時間が長いので、いろいろな商品を試していますが、現時点でしっくりきたものはないですね。
イスも変えたり、今はブランケットを丸めて背中に突っ込んでいます。長時間の移動も多いので、ライズさんが展開する高反発のトラベルグッズはとても助かります。折りたためるものや、コンパクトなところもいいですね。これを使って大会に臨みたいと思います!
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