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朝のマック

何もない土曜日の朝、モーニングサービスを食べながら外の光景を眺める。
ここはちょっとした田舎の郊外にあるマクドナルド。
都心であればきっと行き交う多くの人を見ながら、ちょっとした人間観察といったところだが、ここでは行き交う人は皆無、そのかわり朝から車が行き交う道沿いにこのマクドナルドはある。
昔から、マクドナルドの朝食メニューにあるマフィンが好きで、家で作るマフィンとは香ばしさが違うし後片付けをしなくていいこともあって、時々利用している。
この店は初めて訪れたリニューアルしたての綺麗な店内。
人も当然ほとんどいない。
店に来た時は、小さい女の子と若いパパの2人だけだった。
開店と同時に来たのか、もうすでに食べ終わっていてパパのスマホでYoutubeを見て楽しんでいた。
しばらくしたら、その親子も帰り店内には僕の一人だけになっていた。
チキンクリスプマフィンを食べながら外を眺める。
今日の天気は晴れ予報だったが、朝のうちは朝靄がかかっていたこともあって、少しアスファルトが湿っていた。
季節は11月末、この地域は雪は多くないものの気温が低いせいもあって凍結するためか、走っているほとんどの車はスタッドレスに履き替えたのだろう。
車の雰囲気とは明らかに違う新しい感じのタイヤを履いて走っている車が多い。
高収入の家庭が多い地区でもないので、走っている車のほとんどは国産車のいわゆるファミリーカーと呼ばれるミニバンだったり、通勤だからなのだろうか軽自動車に一人で乗っているのがほとんどだ。
僕はそんな光景を見ながら、今日の仕事の段取りだったり他愛もない空想に馳せたりしている。
仕事と言っても、今日は予定していた仕事がここしばらく流行っている「COVID−19」という通称「新型コロナ」と呼ばれている感染症のおかげでキャンセルになり、普段後回しにしている書類整理をしたり新しいプレゼン資料の下準備をするくらいだ。

感染症は、全世界に広がり猛威を奮っている中、ここ日本は他の国に比べたら感染者が少なく、まだまだこの感染症に対しての危機感は低いのだろう。
日本人の習性なのか衛生面であったり感染予防のマスクをしているからなのかもしれない。
そう、この感染症が流行り出してもう少しで1年が経とうとしている。
今は、ちょうど日本は「第三波襲来」みたいに騒いでいて首都圏では連日多くの感染者が現れたとニュースの報道が絶えず、ワイドショーではどうすれば感染症を防ぐ事ができるのか、有効な予防策・グッズ、ワクチンなどなど番組の半分くらい、飽きもせずに毎日繰り広げられている。
とはいえ、1年も経ってくると人々もこの状況になれ始め、生活は確かに気をつけてはいるもののほとんど感染症が現れる前と変わらない状況の場所も多い。
この辺りは、ちょっと前に数十名の感染者が出たものの今は落ち着いていて、地域だけでいうと感染者がほとんどいない状況だし、連日の県から発表される感染者の地域でも該当していないためか、行き交う人の表情もコンビニやここマクドナルドの店員の表情もマスク越しではあるが和やかな感じがしている。

今は、朝8時55分を過ぎたところ。
あと5分で9時というなんとも微妙な時間ではあるが、店内は僕も含め3人の単独男性と小さい子ども1人と夫婦の3人連れ。
少し離れたブースで朝マックしている彼はおそらく20代前半ぐらいだろうか。。。
中肉中背の彼はチキングリドルとマックナゲット15ピースを頬張りながらスマホに指を走らせている。家族づれはこの後遊びに行くのだろうか、早く行きたいという子どもの声を宥めながらホットケーキを食べている。

店の前を10分ほど前に通りかかった50代後半ぐらいの男性が再び戻ってきた。
朝のウォーキングがてら近くのコンビニで新聞を買ってきたらしい。
手袋をした手に新聞が1部握られている。
この辺りは、田舎だから新聞を購読している人の多くは新聞配達を利用しているが、歩いていけるところにコンビニがあると新聞を定期購読せずに購入するのもいいかもしれない。
それとも、休日だから普段の新聞ではなく他の新聞を買いに来たのかもしれない。
競馬新聞とか競艇とか。
僕は、賭け事はほとんどやったことがない。競馬場とか競艇場、競輪場などに足を運んだことはあるが、券は買ったことがない。
賭け事があまり好きではないということもあるが、なぜか買う気にならない。
今は、ソーシャルディスタンスと言って人との距離を空けて生活することが求められるので、競馬場なども入場制限があったりしているのだと思う。
去年までのようなよくテレビに出てくるごった返すような人混みというのは、みんな自主的に避けているようだ。

そんなことを考えながら外を見ていると、この時間は多くの営業車や明らかに仕事という感じの車がドライブスルーに入っていく。
朝食という時間から、この時間は移動中のホットコーヒーの時間になったのだろう。
曇り空だった空の隙間から太陽が時折現れ、僕が座っている席に強い光さ時々差し込むようになった。
まだまだこの時間は、クルーも少ないようでほとんどワンオペなのだろうか、そんな環境に気を配る余裕はないようだ。『眩しいな。。。ブラインド下げてくれないかな』そんなことを思いながら視線を逸らした先には、ちょっと渋滞気味の交差点が見える。
仕事だけではなく、休みで外出する人たちもこの時間だと動き始めるからだろう。

今日の夜、実は体験としては2回目になるが "リモート飲み会" がある。
リモート◯◯というのも、この1年で流行のようになっている。
リモートワークからリモート飲み会、リモート帰省などなど、なんでもリモートで済ませればいいとは思わないが、どうしても飲食を伴う環境で感染者が多く出ているためか、昔は家飲みとか宅飲みなんて言っていたものは家で数名が集まって飲み会をしていたのだが、今は一人でパソコンやタブレットなどの前でカメラに向かって酒をのむと言う側から見たら、とても寂しい光景が繰り広げられている。
まぁ、交通費もかからないし眠くなったらすぐ寝れるという点ではメリットもあるのかもしれないし、なかなかこの状況では会えない仲間と会えるのは楽しみだが、なんとも終わった後の寂しさは、リアル飲み会の比ではないほどだ。
あまり人と会うのは得意ではない僕も、飲み会ぐらいはみんなと会って騒ぎたいと思う光景の一つだ。
気づいたら太陽が上に上がって今は、さっほど眩しくなくなっていた。
あまりここに長いをしても仕方ないので、ホットコーヒーも冷めてしまったことだし。
あと少ししたら出ることにしようかな。

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