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#34 映画は裏側も知ってはじめて完成する

小学生の頃から高校まで、ずっと部下漬けの日々を送っていたため、映画をよく見るようになったのは大学生からである。海外や国内の名作と言われる作品を片っ端からみる生活を送っていた。今思うとそれは結構映画にとっては不名誉なものだったのかもしれない。とにかくいろんなものを見ていただけで、なんの感想も持たず、はい次!と行ってしまっていたのだから。

最近、映画の裏側を知る機会があった。前の記事でも書いた「THE FIRST SLAMDUNK」をなんの前情報も無しに見た。原作ももちろん読んでいない。登場人物も知らない。ちょっと有名なセリフが頭に入っているくらい。

でも、心底感動した。それは、原作ファンが感じるような感動とは違うかもしれないが、純粋に映画の作品として、スラムダンクを始めて観て、感動した。

アニメが原作の映画としては、近年まだあまりみない、CGを使用したアニメーションということもあり、私は純粋に「この映画はどうやって作られているんだろう?」という気持ちになった。

書店に行くと、原作の漫画のそばに、この映画の制作秘話がしたためられている書籍が販売されていた。私は迷わずその書籍を購入した。

作者の井上雄彦のロングインタビュー、映画の構成を考えるためのネームがそのまま載っていたりと読み応え抜群でした。

その中でも、やはり作者のロングインタビューが、一番心に響いた。
何が書かれていたかは、実際にこの書籍を読んで感じてみてほしいが、作品と、それを観てくれる人への愛に溢れている人だと思った。その本を読んでもちろん原作も全部読んだ。

ただ映画を観ただけでも、十分感動することができる。ただ、その制作の裏側や、どうしてここは原作と違うんだろう?とか、どうしてここはこういう表現をしたんだろう?とか、そういった細かい一つ一つの要素にも、全て作者(ここでは監督か)の意図や想いが込められていることを知ることができ、それを知れると自分の中で感じている作品の魅力度が増す。

それからもう一度観に行きたくなる。1回目では目にもつかなかったところが何故か2回目からはすごく目に入って、「あれ、こんなシーンあったけ」みたいな現象が起こったりもする。見るたびに違った作品になるのだ。

書籍を買わなくとも、パンフレットを購入するだけでも、その裏側やキャスト、制作陣の想いは十分感じることができる。

映画は一度まっさらな気持ちで作品を堪能し、その後でその裏側を知る。そうしたら、その映画の捉え方は全く違ったものになるし、自分の中でそんなに面白くないと思っていても、すごくよかった作品に昇格されるかもしれない。

映画は裏側を知って、初めて完成するのだなと、ここ最近思った。
今度から映画を観るときは1作品をじっくりと大事に堪能したい。


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