学校の定期試験では高得点なのに、模試では高得点が取れない理由
ある日、中学生の人からこんな質問を受けました。
答えてあげる機会がなかったので、代わりにここで答えを述べようと思います。
noteだといくらでも書けてしまうので、そこそこの分量になってしまいました。
Q. 定期テストでは点が取れるのに、
外部の模試では全く点が取れません。
どうしたらもっと点が取れるようになりますか?
(Y・T 15歳 男性)
A.
あなたには、定期テストと模試との明確な違いが分かりますか?
たぶん、あなたはこの質問には答えられないでしょう。
だって、それが分かっていたらきっと模試でも点が取れているはずだからです。
それと、
「全く点が取れない」というのは、
100点中の20点とか30点とか、
それくらいの得点率であるということでしょうか。
とにかく、これだけでは分からないのでそのていで進めます。
100点の配点があって、その中から20点や30点しか取れないということは、
その100点に含まれている4~5個の主要な分野のうち、3~4個の分野から目を背けてしまっているということなのではないか?と推測できます。
さっきの質問から、
あなたは15歳だから、(たぶん)中学3年生のようです。
なので、中学3年生が受ける模試の内容に合わせて話してみます。
例えば、中学3年生の数学の100点分のテスト(模試)には、
(あんまり覚えてないので適当かもですけど)
文字式(因数分解や平方根など)の計算問題、
2次方程式の問題、
2次関数の問題、
図形(平面や立体、三平方の定理とか)の問題、
などがあると思います。
じゃあ、このそれぞれに25点の配点があったとしましょう。
そして、
あなたはこのテストで30点くらいしか取れなかった、と。
でも、なぜか「定期テストでは点が取れる」そうです。
定期テストで点が取れるということは、
たぶんあなたは真面目なんでしょう。
学校の試験というのは、
基本的に授業の内容を理解すれば7割~8割は簡単に取れるように作られています。
あなたは授業の内容を理解できているから、
学校のテストでは点が取れるのです。
そして、あなたが模試で取った30点のほとんどは、
おそらくあなたが「点が取れる」と話した学校の定期テストの範囲と被っていた箇所だったのではないでしょうか?
それと、これは単なる推測なのですけど、
あなたはつい最近学校の定期テストで点が取れるようになってきたばかりなのではないでしょうか?
それすなわち、それ以前の範囲に関してはほぼ無知ということです。
だから、そこだけは模試でも点数が取れた。
学校の定期テストで点数が取れるようになってきて嬉しくなって、
「自分は勉強ができるようになった!成績良い人たちの仲間になれたんだ!」
と喜んでいるのかもしれません。(もちろん喜ぶことは全く悪いことではありません。)
「だから模試でも結果がよくなっているはずである」と思っていたけど、
何故か点が取れない、と不思議に思っている。
でも、それは当たり前のことです。
何故なら、
あなたが学校のテストで高得点が取れるようになる以前の範囲では、
あなたはいまだに勉強ができない人のままだからです。
なので、
模試での成績を上げたいのであれば、まず、
過去の範囲内では、自分はまだ勉強ができない人のままなのだ
と自覚してください。
そして、その過去の範囲内でも「勉強ができる人」になるべきです。
受け入れるのは嫌かもしれませんが、それが現実です。
現実を見ましょう。
別にこれは、諦めろと言っているわけでは全くありません。
よく「お前には無理だから諦めろ」という意味で「現実を見ろ」と言ってくる人がいますが、
その人は「現実を見る」という言葉の意味を履き違えています。
「現実を見る」というのは、
「自分の理想がどこにあるのか」と、
「現在自分がどれだけ理想から離れているのか」を再確認して、
「理想へ近づくためにはまず何をしたら良いのか」を考え行動を起こすこと
だとぼくは思っています。
思っていますというか、そうです。
諦めるという意味ではありません。
あなたが理想に近づくためには、
まずは目を背けている分野に光を当てなければいけません。
まず、
あなたが勉強する分野は4種類に分けることが出来ると考えています。
1.目を背けているが、実際には難しくない分野
2.目を背けているが、実際には難しい分野
3.実際にやってみて、簡単だと認識している分野
4.実際にやってみて、難しいと認識している分野
これは何も中学生の受験勉強だけに言えることではありません。大学受験にも、社会人になってからやることにも同じように言えることがあります。
あなたには、
実際にやった事がある分野よりも目を背けている分野の方が多いはずです。
したがって、
あなたが模試で点が取れるようになるためには、
あなたが目を背けている分野全てを一通りやる必要があります。
しかし、いきなり全部をやれと言われてもやる気がなくなるでしょう。
だからまずは4種類に分割して、
1.「目を背けているが、実際には難しくない分野」を片っ端からやりましょう。
「目を背けているが、実際には難しくない分野」というのは、
なんとなく分からないなって思ってただけで、実際やってみると遥かに簡単に点が取れるような分野だったりします。
それはもう、拍子抜けするくらいに。
(例えば古文とか)
偏差値が60後半くらいある人は、
こういう「実際には難しくない分野」を全部しっかりできるようにしているだけに過ぎなかったりします。
「そもそも自分とは頭の出来が違う」とか、
「自分にはない才能を持っている」とか、
そういうことでは全くありません。
「中一や中二の時にやったことなんてもう忘れちゃってるし、そんなのまた復習するなんて…」
と大半の人が嫌がってやらない事を彼らはやっているだけです。
才能がないと出来ないことをやっている訳ではありません。
才能がない人だっているかもしれません。
というか、
そもそもほとんどの人には才能なんかありません。
本当に才能がある人は、小学生の時点で大学数学を勉強していたりします。
これはもはや別の次元の話なので、今のあなたやほとんどの受験生には関係ありません。
だから気にしなくていいです。
確かに、過去の全範囲をすべて復習するというのは、
かなり困難なことだと思います。
だから、困難は分けて、ひとつひとつ考えるべきなのです。
さっき4種類に分けられるという話をしましたが、
それはより楽に考える為にやったことです。
難しいものを分かるためには、まず分けることから始めるべきです。
理解するのが難しいのは、そのものごとが抽象的だからです。
なので、分解して次元を下げましょう。
次元を下げると抽象度が下がるので、理解しやすくなります。
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これは数学の問題でも同じです。
たとえば、
ある2次関数上に、2つの点PとP’があって、
PとP’と原点Oを結んだ△PP’Oの面積を求めさせる問題があったとします。
(ただし、PよりP'のほうがy座標が高いとします。)
数学が苦手な人は、この問題の解き方が分かりません。
何から手を付けていいのか分からないからです。
そこで、まず問題に問われている三角形の面積について、
「三角形の面積を求めるためには何が必要か」を考えます。
それは「高さ」と「底辺の長さ」です。
「高さ」とは「線分OP'のy軸上の長さ」で、
「底辺の長さ」とは「線分PP'のx軸上の長さ」です。
つまり、それが分かればこの問題はクリアです。
言い換えれば、
「△PP’Oの面積を求めよ。」という問題は、
「線分OP'のy軸上の長さを求めよ。」
「線分PP'のx軸上の長さを求めよ。」
という簡単な問題に分けられるというわけです。
(※この問題はいま適当に作ったものなので非常に適当です)
数学ができる人からすると当たり前なことを言ってるようにしか聞こえないかもしれませんが、
これは結構大事な考え方だと思っています。
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結論としては、
学校のテストと模試は範囲の広さが全く違います。
そしてあなたは過去の範囲ができていません。
なので、
まずは「自分は以前の範囲の勉強ができない」という現実を見ましょう。
そして、あなたがやるべき分野全てを、
まずは前述した4種類に分けましょう。
難しい問題は分けることによってより分かりやすくなります。
それから、
一番最初に「目を背けているが、実際には難しくない」分野を片っ端から全部勉強しましょう。
(分ける時には、A4用紙などの大きい紙を使うべきです。
整理整頓されるので、起こっている問題や今やるべきことが明確に見えるようになり漠然とした不安が消えます。)
それをやれば、確実に点を取れるようになるはずです。
頑張ってください。
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