朗読「地球のバトン」やまぐちりりこ

地球のバトン


赤ちゃんが うまれた
赤ちゃんは ちいさなこぶしをぎゅっとして
まるで みえないバトンをにぎっているみたい
 
いったい だれからわたされたのだろう
おとうさんと おかあさんから
おじいさんと おばあさんから
そのおじいさんと おばあさんには
さらにおとうさんと おかあさんがいて
いくつもの時代をこえ
とほうもない数の先祖をたどっていけば

その先にあったのは
ただひとつの いのちそのもの 
そして
いのちをやさしくつつみこむ地球だった
 
だからきっと 
すべてがつまってるんだ
赤ちゃんがにぎりしめているバトンには

地球という 
おおきなひとつの家にうまれたこどもたちへ
連綿とうけつがれてきたものが
今もまた、あたらしい手のなかへ

赤ちゃんがうまれた
この瞬間にも 
どこかで
赤ちゃんがうまれている

やわらかいちいさな手で
この星のすべてがつまったバトンを
にぎりしめて

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