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絵本『ぼくは川のように話す』を読んだ

この間、母と実家の近くにある図書館を訪れた。
最近、絵本について記事を書く機会があり、絵本のメッセージ性の強さやかわいらしさに魅力を感じた所で。
何気なく絵本コーナーを見ていたら『ぼくは川のように話す』という絵本を見つけた。

この絵本は、吃音である男の子の頭の中を描いた作品である。
「吃音に関する絵本」という程度に存在は知っていたけれど、これほど直接的に吃音について描かれているとは思ってもみなかったので、とても驚いた。

絵本では吃音に悩む少年の頭の中に、言葉がグルグルグルグル回っていて、当事者にとっては少し呼吸が苦しくなるような、そんな内容かもしれない。
吃音があっても川のように、流れるように、ありのまま話すことが大切だと描かれている。
私は「川のように話す」という言葉から、話すことやコミュニケーションを取ることの本質が心から理解できれば、吃音を受け入れられるようになるのかもしれない、そう感じた。

少年の吃音について描かれている絵本を読んで、自分の子どもの頃の吃音に関する記憶を思い出した。
小学生の低学年の頃、音読をする際「土手」という言葉が出ずに、クラスの一部の男子に笑われたことを、いまだに覚えている。
幼少期の吃音の記憶というとこれだけ。
その当時は吃音について悩んでいたのだろうか、意外と気にしていなかったのだろうか、その当たりの記憶もない。
普通なら幼少期の記憶なんてほとんどないはずなのに、25年以上前のことを覚えているのは、頭の中で何度もそのシーンを再生しているからだろう。
苦しいはずなのに、なぜか自分の心を傷付けにかかっているのだ。
「吃音は心の病」だとある人から聞いたけれど、そうなのかもしれない。

もし今、吃音という「喉に蓋をする黒い何か」にとまどい、悩んでいる子どもがいるとすれば、この絵本に目を通すことで、同じ人がいるんだと救われる気持ちになるかもしれない。その先に進むきっかけにもなるかもしれない。
吃音に悩む子どもを持つ親御さんは、我が子の頭の中がほんの少し見えた気がして、安心できるかもしれない。親子で少し前に進めるかもしれない。

この絵本の初版が発行されたのは2021年7月。
やっぱり少しずつだけれど、吃音という目に見えにくい悩みは、色んな人に知ってもらえるようになってきている。

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