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ABC/ヴィレッジ・ピープル/ジャクソンズ/カルチャー・クラブ ライヴレポート~Boogietown2024~

2024年9月8日、秋の香り漂うイギリスの昼下がり、私は音楽フェス「Boogietown2024」の会場に辿り着きました。

LondonからもアクセスしやすいSurreyにある会場Apps Courtへ。


9月7日と8日の週末二日間に渡り開催されたこのフェスには、レジェンド・アーティストたちが大集結。私は何とか最終日8日のチケットを手に入れ、ABC、ヴィレッジ・ピープル、ジャクソンズ、カルチャー・クラブの4組を鑑賞しました。本ブログではライヴレポートをお届けします。


①ABCライヴレポート

雨予報を裏切る快晴の空の下、西日を背中に感じながら私はステージ下手側のポジションを陣取っていました。午後4時15分、ABCのバンドメンバーもスタンバイ完了!いよいよ「ABC!」と紹介されると、1曲目「When Smokey Sings」の演奏がスタート!花柄セピア色のジャケットをビシッと着こなすオリジナルメンバーのマーティン・フライが登場し、太くて伸びやかなあの声で歌い始めます。歌声も立ち姿も当時と変わりません。(まあ、私は当時を知らないのですが…。)

マーティン・フライが登場

Poison Arrow

「次の曲はPoison Arrow!」
マーティンによる曲紹介と共に5曲目がスタート。テナーサックスのイントロで、歓声が上がり、観客からはより一層期待が高まります。
「Who broke my heart?」に続く歌詞「You did! You did!」では(私を含む)一部のABCファン勢がマーティンに向かって指を差します。
私の斜め前方に居た男性ファンは、何度もマーティンに矢を放つジェスチャーを取り、興に乗っていました。

The Look of Love

ダンス・ソングのオンパレードで観客も踊り疲れた頃、バラード「All of My Heart」が会場を温かく包み込みます。最後の歌詞「All of My …Heart」を歌い上げると、観客からは「Martin, Don't go!!」の声が。
すると、マーティンが「もう一曲あるよ」と言い、ヒットソング「The Look of Love」の演奏がスタート!会場の高揚感はさらに増していきます。
「If you judge a book by the cover, then you judge the look by the …」の歌詞でマーティンが観客にマイクを向けると、会場からは「Lover!」とレスポンス!大いに盛り上がりました。
「Come on Boogietown!」と観客を煽りながら、最後まで素晴らしい歌声を披露したマーティンでした。

The Look Of Love にて豪華に舞う紙吹雪
変わらない歌声のマーティン

ABCセットリスト

1, When Smokey Sings
2, Show Me
3, Viva Love
4, How To Be A Millionaire
5, Poison Arrow
6, The Flames of Desire
7, That Was Then but This Is Now
8, The Night You Murdered Love
9, King Without a Crown
10, Be Near Me
11, Tears Are Not Enough
12, All of My Heart
13, The Look of Love

②ヴィレッジ・ピープル ライヴレポート

ABCのステージが終わり30分のステージチェンジを挟んで、ヴィレッジ・ピープルのバンドがスタンバイ。私はヴィレッジ・ピープルのコスプレをした中年女性のファン複数名の姿に驚きながら待機し、時刻は定刻をやや過ぎた午後5時48分になりました。

イントロと共にメンバーが一人ずつ登場!ネイティブアメリカン、カウボーイ、革ジャン男、土木作業員、アメリカ兵の順番に各メンバー達がそれぞれのキャラクターにちなんだジェスチャーや振り付けを披露します。そして警官役でオリジナルメンバーのヴィクター・ウィリスが登場。他メンバーがキレのあるダンスを披露する中、ヴィクターは貫録ある出で立ちで歌い始め、ファンからの歓声を浴びていました。

ヴィクター・ウィリスが登場。

Go West

ヴィレッジ・ピープルによる名曲揃いのダンス・ナンバーで会場の熱気は増していきます。振り付けの中には、セクシーさをアピールするものや、軽くメンバーで揉めるような寸劇的なものも含まれ、終始観客を飽きさせません。そして、9曲目「次の曲はペットショップ・ボーイズがカバーした曲"Go West"」とヴィクターから紹介があり、メンバー全員笑顔で歌いあげました。曲が終わると、ステージに向かって両手て作ったハートを掲げるファンの姿が。その光景は、このグループが今でも愛され続けていることを象徴するような、心温まるものに感じました。

ハートを掲げるファン

Y.M.C.A.

そして、最後は「Y.M.C.A.」。この曲が始まる前にメンバーから”ヴィレッジ・ピープル流”の「Y.M.C.A.」の振り付けについて説明タイムが設けられました。
「Mは実は胸元で作るんだ!」という説明に観客は「え~意外」というどよめきがあったり、「Cの作り方は…」と言いながら観客と同じ身体の向きになって説明するなど、懇切丁寧な振り付けレクチャー。この時も少しお尻を振ったりと、彼らのセクシーさの演出には余念がなく、細部に渡って観客を楽しませてくれたのでした。
そして、楽曲スタート。「Y.M.C.A.」の動きをマスターした観衆も一体となって、会場の盛り上がりは最高潮に達したのでした。

みんなでY.M.C.A!!

ヴィレッジ・ピープル セットリスト

1, Intoro~Fire Island
2, All Night Thing(Invisible Man's Band cover)
3, Macho Man
4, Hot Cop
5, San Francisco (You've Got Me)
6, In Hollywood (Everybody Is a Star)
7, I Am What I Am
8, Key West
9, Go West
10, In the Navy
11, Y.M.C.A.

③ジャクソンズ ライヴレポート

時刻は午後7時33分。日もほとんど暮れ、暖かかった日差しの代わりにひんやりとした風が吹いていました。ステージ後方のスクリーンにはジャクソン5及びジャクソンズの活動の足跡を紹介する動画が映し出されました。
動画が終わると「Can you feel it~?!」と絶叫する声が。

メンバーがステージに登場。

Can You Feel It

メンバーが登場し、一曲目「Can You Feel It」がスタート。オリジナルメンバーのマーロン、ジャッキー、ティトの順にリード・ヴォーカルを取っていきます。特にジャッキーは故・マイケルのパートを同じハイトーンヴォイスで再現。
マーロンによるMCでは「私たちが行くところはシンガポールだろうが、日本だろうが、イングランドだろうが、どこでもパーティーになるんだ!」と言い放ち、その後も往年のヒットソングを立て続けに聴かせてくれました。そして、ジャクソンズの見どころと言えばダンス!ジャッキー(73歳)、ギターを弾くティト(70歳)、マーロン(67歳)はたやすくダンスをこなしてみせるのでした。

今でもキレキレのダンスを披露するティト、ジャッキー、マーロン

Jackson 5 メドレー

ジャクソン5時代の名曲メドレーでは、観客も大盛り上がり。「帰ってほしいの(I Want You Back)」に始まり、「ABC」「小さな経験(The Love You Save)」「Dancing Machine」「Never Can Say Goodbye」など、ヒット曲の数々を披露しました。そして、「I'll Be There」のリード・ヴォーカルを取ったのは、ティトの息子で、3Tのメンバーでもあるタリル・ジャクソン。現在はジャクソンズにもヴォーカルの一員として帯同しています。観客も一緒になって「I'll Be There」の大合唱になりました。

「I'll Be There」を歌うタリル・ジャクソン。

まさか自分の人生でジャクソンズを観られる日が来るとは夢にも思っていなかったため感動もひとしおで、私は未だにこの鑑賞体験を現実の出来事だと思えずにいるのでした。

ジャクソンズ セットリスト

1, Can You Feel It
2, Blame It on the Boogie
3, Rock With You(Michael Jackson’s song)
4, Enjoy Yourself
5, Show You the Way to Go
6, Lovely One
7, The Jackson 5 medley (I Want You Back~ABC~The Love You Save~Dancing Machine~Never Can Say Goodbye~I'll Be There)
8, Love One Another(Tito Jackson’s song)
9, Can't Let Her Get Away(Michael Jackson’s song)
10, This Place Hotel(a.k.a.Heartbreak Hotel)
11, Shake Your Body (Down to the Ground)


④カルチャー・クラブ ライヴレポート

時刻は9時10分を回り、司会者が「みんなに質問があるんだ…準備は…いいかい?もう一回聞くよ、準備はいいか~い?!この週末最後の出演者、カルチャー・クラブ!」と叫ぶと、会場も歓声の嵐!
一曲目はローリングストーンズの「Sympathy for the Devil」。まず、ステージ中央の階段からオリジナルメンバーであるベースのマイキーとギターのロイが登場。そして、ボーイ・ジョージも続けて登場!「I love you, George!!」と絶叫するファンたちの多いこと。レジェンドの風格を見せつけながら、ショーがスタートしました。

まずロイとマイキーが登場
そしてボーイ・ジョージが登場

Karma Chameleon

2曲目には代表曲「カーマは気まぐれ(Karma Chameleon)」を惜しげもなく披露。会場は既に最高潮に盛り上がり、曲が終わると、「みんながタンバリンを持ってないなんて。Shame on you!」「みんな、タンバリンを持っているのをイメージして。もしくはトライアングルを。」とボーイ・ジョージらしいMCが繰り広げられたのでした。その後も名曲のオンパレードで、ボーイは何度も「Let me see ya!!」と観客を煽り、ご機嫌でした。

合唱を促すロイとボーイ
アイコニックな衣装のボーイ

Do You Really Want to Hurt Me

「今日はSiaのバージョンで歌ってみるよ。」「残念ながらSiaの頭はエクスペンシブだから真似できないけどね。」「彼女のバージョンを聴いて”We like it!”って言ったんだ。haha!」とボーイ・ジョージからのMCが入り、「Do You Really Want to Hurt Me」の演奏へ。レゲエのリズムは残しながらも、しっとりとした、マイナー調のアレンジで披露されました。

Get It On

「私たちのヒーロー、ストレート(異性愛者)の男、マーク・ボランの曲」「時々ストレートの男ってクィアに影響を与えるよね(笑)」とボーイ・ジョージが言って始まったのはT. Rexの「Get It On」
曲の後半ではバンドのメンバー紹介。それぞれのメンバーがソロを披露します。特にバック・ヴォーカルの若い二人にも彼らの歌の実力の見せ場を設けていて、カルチャー・クラブのバンドの温かさを感じずにはいられませんでした。

ライヴは10時20分ごろ終了。ロイは最後まで客席に手を振り、一番最後にステージから捌けたのでした。

カルチャー・クラブ セットリスト

1, Sympathy for the Devil(The Rolling Stones cover)
2, Karma Chameleon
3, Church of the Poison Mind ~I'm Your Man(Wham! cover)
4, Move Away
5, It's a Miracle
6, I'll Tumble 4 Ya
7, Everything I Own(Bread cover)
8, Planetary Karma
9, Time (Clock of the Heart)
10, Miss Me Blind
11, All I Know
12, Do You Really Want to Hurt Me
13, Get It On(T. Rex cover)

一日にこれだけのレジェンド・アーティストたちを観ることができたという幸せを噛みしめながら、すっかり冷え込んでしまった身体をさすって、私は帰路につきました。


番外編:フェス飯「Papa Jerk」

フェスに来たらご飯も楽しまなくては!と屋台を見ていると、私の目に飛び込んできたのはジャマイカ料理専門の「Caribbean Jerk」というお店。ジャークチキンやお米、野菜がトルティーヤ生地に包まれた”Papa Jerk”を注文しました。旨辛なお味でした。

Papa Jerkを注文!
結構辛かったです。


追記:ティト・ジャクソンの訃報(2024年9月16日)

2024年9月16日、ティト・ジャクソンが亡くなったと各メディアが報じました。本記事でもレポートしたように、わずか1週間前には今回の音楽フェス「Boogietown2024」にて、ジャクソンズの一員としてティトが元気に演奏していました。私はその様子を目にしていたので、今回の訃報がとても信じられません。
ティトのこれまでの功績を称えて、そして最期まで素晴らしいパフォーマンスで観客を楽しませてくれたことに感謝を表して、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

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