サカサマのわたし
ベッドで目を瞑り、暗闇の奥に見えてくるスクリーンのようなものに吸い込まれる。
そこから出た先は、同じ自宅の部屋。わたしは窓の前に立っていた。
でもいつもの部屋とは少し違うかんじ。
一番最近のアストラルトリップの話です。
うちの窓は二重のサッシにしているので、内窓の鍵を開けて、二つ目の窓も開けて、外へ出た。(感触も重さもとってもリアル)
現実の家は3階のベランダのはずだけど、そこは少し高くて、ビルの屋上のような高さだった。そして世界がなんだかセピア色。
夜じゃなくて明るかった。
わたしは明晰夢でもなんでも、まずは飛ぶという習性がある。とりあえず夢で意識が出現したら飛べるかチャレンジする。飛べたらそこは怖いものなしなのだ(笑)
で、飛ぼうと思うのだけれど、けっこう高い。
そしてあまりのリアルさに一瞬躊躇した。
あれ、これほんとに夢だよね?現実じゃないよね?飛び降りて平気だよね?と。
だってさっきも同じ部屋にいたから。でも横になって寝てたはずだ。
アストラルトリップや明晰夢は、思考を働かせすぎると覚醒度合いが高まりすぎて、元の体に起きてしまう。
なので、意図的に意識の可動領域をセーブしているという。(かっこよく書いてますが、要するに思い出しすぎないをします)
なので思考と記憶が少し曖昧。(外の風景が現実とは違うのに、そこまで頭が働かない)
夢の中で飛ぶ時、ジャンプして若干落ちた瞬間に浮力が発生するという、謎のスタイルがあって。(たぶんゲームなどでジャンプボタンを押して滑空するスタイルをイメージしているため)
なので必ずジャンプしないと飛べないという(笑)
それで飛び降りるかどうか迷っていたら、なんと風船のようなものが出現した。
あぁ、そうか、飛び降りなくてもこれに捕まっていけばいいのか!
と思ってふわふわ浮くスタイルで飛べました。
あれ、誰かが助け舟を出してくれたのかしら?風船なんて思い浮かべてないのに。
それで街を探検したような、保育園のようなところへ行ったような、もう夢と同化して忘れてしまいました。
たまに現実世界でも、試しに飛べるかジャンプしてみることがある。やっぱムリか、なんて思ったり。(重力重すぎ)
逆に明晰夢になりかけのうっすら意識が発生してきた夢では、飛んでみて夢か現実か確かめたりする。
自分でも、これで頭がおかしくならないのが不思議に思う。
だけどふとした時に、現実世界の不安の渦に引き込まれそうになる時がある。
数年前まではただの平凡な主婦だったから。
これまでのことが全て妄想で、たんなる思い込みで、ちょっと頭がおかしくなっただけなのかもしれないと。
わたしを後ろから引っ張ろうとする。そっちに行かないように言葉にできない重たい恐怖が、わたしを呼ぶ。
この現実を壊すのか。平凡な日常を破壊するのか。まともな自分と決別するつもりかって。
わたしはずっと、空の飛び回れるあっちの世界に反転させたかった。この世界を終わりにして向こう側に行けたらって思ってた。
たぶんそれはこの世では死を意味するのだけど。それでもぐちゃって頭がおかしくなるくらい自分をバラバラにしてゲシュタルト崩壊させたかった。気付いたら、あちらが現実の世界になってたらいいなって。
何がうそで何がほんとうか、分からなくなるくらい。
だけど行かないでって幼いわたしがわたしを止めている。
この世界を無かったことにしないでって。
わたしはこの先に起こるかもしれない恐怖や悲しみを見たくなかった。苦しみから逃れたかった。失うくらいならいっそ、初めからなければ良かったのだと思おうとした。
全てが幻だったなら、わたしは救われただろうか。
全てが夢であったなら、諦められただろうか。
全てが組み込まれたシステムだったなら、消えても良かったんだろうか。
リセットしても後悔して…、それは本当の終わりじゃなくて…、だからまたここを始めたんじゃなかったか。
同じ人と同じ仲間と嫌いなやつと嫌いなわたしで。
目指したかったゴールがあったから。
誰の犠牲もない、ほんとうの幸せを見つけたくて。
心から笑える、ほんとうの自分を見つけたくて。
この世界の膜を突き破るには恐怖が付き纏う。
けど、もう迷うのはやめよう。
こんなおかしな世界観も笑い飛ばしながら楽しめたら。
胸踊るような未来を描けたなら。
それが空想でもなんでも見てみたいって思うから。
大丈夫、消えないよ。置いていかないよ。
この世界まるごと持っていく。
君といく。
この世界で生きてきたわたしも、大事なわたしの一部だから。
どちらの世界のわたしも、一つなのだから。
投げ銭大歓迎! 喜びは巡り巡って、あなたに何倍にもなって返ってくることでしょう。