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【本の感想】『さいはての彼女』原田マハさんの考える人情と女性像

美術館や、美術作品、画家を題材とした小説を書かせたらピカイチの素晴らしさ!な原田マハさん。
今回はちょっと美術からは離れたこの小説の感想を。

短編集。四編からなる。
四篇のうち2つは、型としては似ていて
都会でバリバリ働いていた主人公が、とあるきっかけで北海道に行き、なぁんにもないところで、誰かに会って今までの自分の殻を破った!
パターン。

で、ラストの一篇は、最初の話に繋がっていて登場人物は異なれど、まるで一本の道で繋がったかのような構成。

で正直なところ、
都会でバリバリ働いている女性像の描き方が、ちょっと好きじゃなかった。
最初の主人公は、秘書の復讐で北海道の田舎が旅先となってしまい、何にもないし車は軽でポンコツとプンプン怒る。
ま、正直でよろしい。でも結局人との出会いで変わっていく。

あ、もう一つのも。引き抜いて部下にした男性を叱ったら出社拒否&訴えるって言われて、休んでみたら自分がいなくても会社が回っていて。そんならどっか行ったれ!と北海道で丹頂鶴。
そこで出会った自分の仕事ぶりを知ってる元取引相手だったらしい人に、すごい人なんですよこの人って他己紹介され、最後は出社拒否してた部下(主人公が休んだ途端に出社、つまり会いたくないから!ってこと)から、わからないことがあるから教えてって電話もらってムクムクと心が復活。

他人のこと言えない私は、自力ではなく、他者との関わりによって、つまり他人が触媒となって自分の心が立ち直っていく姿、それも田舎という環境のなかで、って構図に素直に感動できなかった。

都合良いじゃん、結局復活して都会に帰っていくんだもの。
じゃあどうすれば良いんだ?って言われると悩んじゃうんだけど。

おそらく原田マハさんは、そこを描きたかったわけじゃないんだと思うんだけど。
拘ってるのは私の方で。

現実の色々なシーンで、都会と地方について考えることがあり、そこに読んだからかなぁ。

さいはてとは、どんな意味なのか。これはぜひ読んでみて欲しい。
ものすごくたくさんの意味を、この本から感じることになると思うので。

ではまた!

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