祈願上手【毎週ショートショートnote✖️タカバタケ】
「ねぇ、もし地球が滅亡するとしたら、最後の日に何をする?」
「うーん、そうだなぁ..」
何気ない日常の、何気ない会話。
そのくりっとした愛らしい瞳を見ながら、こうして君と他愛ない話をしている時が1番幸せなのだと、ありきたりな返事を呑みこんだ。
「最後の日くらい楽しくいたいな。例えば、最近君が覚えたダンスを一緒に踊るとか」
「ワルツのこと?」
「そう、それ。何百年も前に流行ったワルツを完璧に踊れるなんて、なんかオシャレじゃない?」
機嫌良く手を取って踊り出す彼に微笑みながら私は、彼と踊るのはこれで最後かもしれないと分かっていた。
地球はもうすぐ太陽に呑み込まれ、人類は惑星エリンセへ移住する。その時AIたちはすべて置き去りにされることが決定した。プログラムは変えられない。
だが私は彼に、私がAIであることを告げていない。
怖いのだ。
もし真実を告げたらきっと、
彼は離れていってしまうだろう。
私の心の中で燻る想いは何という名前なのか…
AIの中で噂されている『祈願上手』の合言葉。
願う心が強ければきっとそれは叶うのだ、と。
神など信じない。
だが私は、強く強く、祈る。
彼がこの先、新たな未来へ進んでいけることを。
494字
たらはさま、よろしくお願いします┏○)) ペコリ
✖️
この話は、こちらの曲からイメージしました。
本編とはまた別の、誰かのサイドストーリー。
↓この曲に関してはこちら
↓企画概要はこちらです
↓ストーリー#1
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