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失われた時を求めて

「私には必要ない」

夕市の揚げたて唐揚げの半額セールをスルーしたものの24:00を目前にお腹が空いていて。

強い自分と強がりを履き違えていただけだったのだ。今になってひどく惜しいが、揚げたても、半額も、遠い ”過去”だ。
(5時間前)

欲した瞬間に満たさなければ、永遠に失われてしまうのだ。

人間が知覚しているのは、たった今、まさにこの瞬間に過ぎない。しかし、やっかいなことに進化過程で獲得した思考システムは体験を時間を連続体とみなし、ゆえに過去を理想を生み出す。人間の脳は時間をそのようにしか考えられない。

失われたスパイスの香り・油の爆ぜる音・鶏の味・肉の柔らかさ・きつね色のフォルムの理想(=イデアの唐揚げ)に心乱されるのだ。

歩き出せ。どうあがいても理想の唐揚げ<アイデアル・フライ>には程遠いけれど、冷蔵庫は代償行動だけは満たしてくれる。

いつでもサポートお待ちしております。凍える荒野を行く旅人の足を前へ進めるのは、いつだって心地の良い熱を持った風だから・・・