日本酒の魅力を深める! ~資格で広がる日本酒の世界~
1. はじめに
前回のnoteで投稿しましたが,日本酒は「國酒」とも呼ばれる日本の歴史とともに盛衰を経てきた伝統的なお酒です.
日本酒は食事や祝い事など様々なシーンで特別な体験を提供してくれますが,その奥深さや多様性はあまり知られていません.
私が日本酒の沼に嵌まっていったのは,日本酒をただ飲んで楽しむだけではなく,その背景や造りに興味を持ち,理解することから始まりました.
どうやって日本酒の背景を理解していくのかを考えたとき,「資格」というのは一つの手段として有効だと思います.
そこで今回は日本酒の魅力を深める手段として日本酒に関する資格をいくつか紹介したいと思います.
2. 日本酒の資格とは
日本酒に関する資格には様々な種類があります.
これらの資格は日本酒の知識やスキルを高めるだけでなく,飲食業界や小売業界においてはキャリアアップにも繋がります.
ここでは代表的な資格として,日本酒検定,唎酒師,SAKE DIPLOMA,WSET SAKEについて,それぞれの特徴や内容を簡単に紹介します.
資格取得により専門的な知識を身につけることで,他の人と日本酒について話ができるなど日本酒の楽しみ方がより広がったり,コミュニケーションを通じて新しい仲間と出会ったりすることも魅力の一つだと思います.
興味のある資格を見つけて学び始めることで,日本酒の世界への理解がより一層深まり,初心者から上級者まで新たな発見をされることを期待します.
3. 日本酒に関する代表的な資格
(1) 日本酒検定:知識を試す第一歩
日本酒検定は日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が運営する初心者から上級者まで幅広い消費者層に向けた知識指標となる資格です.
5級から1級まで全6段階あり,各レベルで日本酒に関する歴史や文化,製造方法に加え,楽しみ方やモラルなど様々な知識が要求され,合格者には合格証書が授与されて知識を証明することができます.
お酒のテイスティングはなくマークシート式の試験のみのシンプルな構成で,さらに2級まではCBT試験という全国のテストセンターでのPC受検が可能であるなど,誰でも気軽に受検できることが特徴です.
私自身も日本酒検定を受検し,先日,1級を満点合格しました!🎉
日本酒に関する最低限の知識は持っているという自信を持てますね.
日本酒検定の受検を考えている方に参考になるような記事もそのうち書けたらいいなと思っています.
(2) 唎酒師(ききさけし):日本酒提供者のプロフェッショナル
唎酒師は日本酒検定と同じくSSIが運営しており,「日本酒のソムリエ」として日本酒の提供・販売のプロフェッショナルと言える資格です.
日本酒検定はどちらかと言えば消費者向けの資格である一方,唎酒師は消費者に日本酒を提供する飲食業界や小売業界の方にオススメの資格です.
唎酒師になるには専用講座を受講して試験に合格する必要があります.
講座では日本酒の香りや味わい,製造方法などの専門知識を学ぶことに加え,実際にテイスティングを行います.
唎酒師は1991年の制定以来30年以上の歴史を誇り,2024年2月末現在で国内外に5万人を超える資格取得者が日本酒を提供する飲食店やイベントで日本酒の魅力を伝えるべく活躍しています.
数ある日本酒の資格の中でも 断トツの知名度 を誇り,より深く日本酒を楽しめるようになるだけでなく,他の人に日本酒の魅力を広める力を得ることができると思います.
美味しい日本酒やその魅力をより多くの人と共有するために唎酒師を目指してみるのも良いと思いますね.
ちなみに私は…唎酒師は受験していません.
受講形態に応じた59,000 ~ 99,000円の受講受験料に加え,合格後にかかる資格認定諸費用 計59,900円を合わせた10万円以上にもなる高額な資格取得費用と,継続して掛かる15,900円の年会費が正直大きなネックです.
オンラインで完結するコースもあり,残念ながらお金を払えば取得できる資格と言われてしまうこともあります.
ただ,上記の通り資格自体の知名度は非常に高く,仕事で日常的に日本酒を提供される方にとっては提案に説得力を持たせる効果が十分に期待できる資格だと思います.
私の今の仕事は日本酒とは全く関係なく,仕事で直接的に生かせないということもあり,今の時点では取得は考えていません.
ただ,唎酒師の上位資格である酒匠(さかしょう)という卓越したテイスティング能力を磨く資格には非常に興味を持っているので,いつか経済的・時間的な余裕ができたらチャレンジするかもしれません.
(3) SAKE DIPLOMA:国際的な日本酒エキスパート
SAKE DIPLOMAは日本ソムリエ協会(J.S.A)が運営する2017年に制定された資格で,ワインの理論を基にした整理,即ち生産地の特徴(テロワール)や料理との相性,テイスティング手法など優れたサービスの提供における知識が問われます.
日本酒だけでなく焼酎に関する歴史や製造方法も問われるなど,幅広い理解が求められます.
試験は一次試験と二次試験からなり,一次試験はCBT方式での選択式の知識問題,二次試験では論述試験とテイスティングがあり,合格率は40~50%程度と難易度が比較的高い資格です.
徐々に知名度も高まってきており,日本酒の専門家としてより広い舞台で活躍したい方にオススメの資格です.
(4) WSET SAKE:世界に通じる日本酒知識のスペシャリスト
WSET(Wine & Spirit Education Trust)は1969年に設立されたロンドンに拠点を構える世界最大のワインの教育機関であり,感覚ではなく理論で理解する教育カリキュラムを世界70ヵ国以上で展開する,国際的に認められたお酒の認定資格です.
WSETを設立したVintners Companyの起源は11世紀にまで遡る非常に長い歴史と伝統を持ち,元々はワイン業界のプロフェッショナルを育成する機関・資格でしたが,2014年に日本酒を対象としたWSET SAKEを制定し,現在では日本国内でもいくつかの認定校で講座が開かれています.
WSET SAKEはこれまでLevel 1とLevel 3の二段階に分かれていましたが,2024年4月に新たにLevel 2が補完され,レベルに応じて段階的な選択が可能となりました.
例えば,最もレベルの高いWSET SAKE Level 3は所定の講座を受講した上で4択式の知識問題,論述問題,テイスティング課題からなる試験を受験する必要があり,現在のところ日本で受講・受験できる言語は英語のみとなっています.
まだまだ知名度は低い資格ですが,内容は非常にレベルが高く,海外でのキャリアを考えている方や世界中の日本酒愛好者との交流も期待できる資格だと思います.
WSET SAKE Level 3も受講受験料が10万円近くと高額ですが,「グローバルに日本酒を提案できる」ことに強い魅力を感じていますので,私は英語の勉強も兼ねてチャレンジしたいと思っています.
ちなみに,先日あるセミナーでWSETに関する講演があり,現在日本語への翻訳も進めているとコメントがありましたので,もし興味がある方はウォッチしてみてはいかがでしょうか.
4. まとめ:資格取得で広がる日本酒の楽しみ方
上記以外にも日本酒に関する資格はいくつかありますが,それぞれに異なる特徴があり,得られる知識やスキルも多岐にわたります.
資格を通じて日本酒の魅力を再発見し,周りの方とその楽しさを共有することは非常に有意義な体験だと思います.
また,他の日本酒愛好者との交流の機会が生まれたり,イベントやセミナーに参加して新たな知識を得たり,自分の経験を共有することもできると思います.
さらに,飲食業界でのキャリアを考える方にとってはこれらの資格はご自身の知識やスキルを証明する大きな強みとなります.
日本酒の世界は非常に広く探求する価値があるものだと思いますので,是非,資格取得を通じてその素晴らしさを体験してみてはいかがでしょうか.
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