見出し画像

新規事業のプロダクト開発のやり方/進め方/流れ/工程 〜フレームワークと一緒にご紹介〜

初めまして。株式会社riplaのCEOを務める張田谷と申します。

私は、ITメガベンチャーで複数の事業開発やプロダクト開発に従事したのち、お客様のプロダクト開発を支援する株式会社riplaを創業し、これまで数多くの新規事業のプロダクト開発に関わってまいりました。

RIPLAの会社ロゴ

弊社でご支援させていただくお客様にとっては、IT新規事業のプロダクト開発は初めてであることが多く、そもそもどんな手順で進めていくものなのか、各手順で何を詰めたら良いのかが分からず、不安に感じている方が多かったため、今回は、その手順や検討事項について、フレームワークも交えて分かりやすく説明していけたらと思います。

これから新規事業のプロダクト開発をご検討されている方にとって、本記事が何か参考になりましたら幸いです。


①はじめに 〜プロダクト開発のよくある間違い〜

まず初めに、お客様からは「新規事業を立ち上げたいので、こんな機能をつけたプロダクトを作りたい」という形でご相談をいただくことが多くあります。ですが、実は一番最初の落とし穴がここにあります。

それは、「どんなプロダクト機能を開発したいか」の話に入る前に、「サービスコンセプトがしっかりと固まりきっているか?」を入念に整理しておく必要があるということです。

その理由として、サービスコンセプトがしっかり固まりきっていないと、開発したい機能がたくさん浮かんできて、何を優先していいか絞れない、という状態になってしまうためです。逆に、しっかりとコンセプトが固まっていれば、目指すべき方向に基づいて、優先すべきプロダクト機能は簡単に決まっていくことが多いです。

また、はじめにサービスコンセプトの整理をオススメするのにはもう一つの理由があります。それは、サービスコンセプトが曖昧なまま開発が進んだプロダクトは、顧客にとっても、何を叶えてくれるサービスなのか分かりづらく、最終的に開発に大きな手戻りを発生させてしまうためです。

そのような事態を防ぐためにも、ふわふわした状態で焦って開発せず、プロダクト開発に入る前に、入念にサービスコンセプトを整理することが重要です。

②サービスコンセプトを詰める

では、具体的にどのようにサービスコンセプトを整理するかについてですが、一般的には初めに、市場調査を行います。プロダクトリリース後に、一定の売上を見込める市場規模があるか、新規参入に顧客獲得をできるほどの市場成長性があるか、などを調べていきます。

そこで、該当市場に参入の魅力があると判断した場合には、競合サービスがどのようなポジショニングをしているかなどの調査を行い、自社の強みを踏まえて、どのようなポジショニングのサービスコンセプトで進めるかを検討していきます。

そして、サービスコンセプトの仮説が見えてきたら、想定するサービスコンセプトが本当に顧客に受け入れられるかどうか、ヒアリングを通してニーズ検証を行います。

弊社では、よりよいプロダクトづくりのために、プロダクト開発前のニーズ検証のヒアリングからご一緒するケースもございます。進め方に不安がある方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

②顧客体験を詰める

そして、サービスのコンセプトが決まったら、次にサービスの実現に必要な顧客体験を詰めていきます。サービスコンセプトが見えたら、次にプロダクト機能の話をしたくなってしまうところですが、ここもグッと堪えて、顧客体験の整理に着手しましょう。

その理由としては、機能の話から入ると、その機能に閉じたディテールの議論になってしまうケースが多く、さらに引きで見たときの全体像の認識ズレや、全体像の理解不足による必要機能の抜け漏れが発生してしまう可能性が高いためです。

開発機能より顧客体験を先に整理することで、ビジネス⇔エンジニアの間で全体像の理解が深まり、開発機能の抜け漏れを防げるだけでなく、さらには、当初想定していたものとは異なる機能による課題解決策が出てきやすいため、よりよい顧客体験を実現できる可能性も高くなります。そのために、まずは顧客体験を主語にして、どのようなものをイメージしているか、丁寧にすり合わせをしていきましょう。

なお、顧客体験を整理するときによく使われる手法として、カスタマージャーニーがあります。

具体的には、①顧客の行動を時系列順に洗い出し、②その行動毎に存在する課題を洗い出し、③さらにその課題を解決する機能を洗い出す、という手順で、プロダクトの全体像を整理していきます。

旅行サービスのユーザーストーリーマップ(イメージ)

③機能を詰める

顧客体験が整理できたら、ここからようやく開発機能の検討に入ります。IT新規事業のプロダクト開発といえば「開発機能の検討」というイメージがありますが、実はすぐに着手するのではなく、その前工程が重要であるということをここまでは説明してきました。そして、ここからがようやく本番です!!

どのような機能を実装していくかについては、先ほど整理した顧客体験を元にエンジニアと一緒に検討していきます。具体的には、顧客の課題に対してどのような開発機能の解決策があるかを、まずはエンジニアに洗い出してもらいます。そしてその中で最も適した方法をビジネスとエンジニアで一緒に選んでいきましょう。

④予算を決める

次に、プロダクト開発にかける初期予算を決めます。これは、次の工程で、開発予算を踏まえながら、どれくらいの ”数” の機能に絞って、どれくらいの ”品質” で実装するかを決めていくためです。

例えば、仮に予算が低い場合には、エンドユーザーから見える画面は丁寧に実装して、管理者が見る画面は軽めに実装するなど、実装の品質を工夫することができます。

また、あくまでイメージですが、最初にリリースするプロダクトの開発費用は、限りなく必要最低限に抑えたプロダクトを作る場合で300万円、しっかりと作り込むと1500万円くらいが相場となります。(作り込み度合いには際限がないため、一つの参考としてご理解いただけますと幸いです。)また、使用する技術や開発手法によってもコストは異なるため、例えば、webサービスよりアプリの方が高いことなどの注意も必要です。

⑤初期の開発機能を決める

予算が決まりましたら、予算内に収めるための開発の手法(先述した開発の "品質" など)や、初期の開発機能の絞り込み(先述した開発の "数")をしていきます。

絞り込む際は、”RICE” というフレームワークを使うことが多く、イメージとしてはROIの考え方に近いもので、各機能の開発費用に対してどれだけのリターンを得られるのかを考えることができます。

具体的には、以下の計算式の頭文字をとったものが ”RICE” であり、このスコアが高いものから優先的に開発を進めていきます。

◾️RICEスコア
    Reach (使われる顧客数)
×  Impact (1人当たりのインパクト)
× Cofidence (その自信度)
÷ Effort (投下コスト)

RICEスコアの計算式

⑥デザインを作成する

初期の開発機能が決まったら、デザインを作っていきます。ここからは構想が形になっていくフェーズです。デザイナーから提案されたデザイン案をもとに、想定しているユーザーの課題を解決できそうか、イメージをすり合わせていきます。

この際に、デザインの良し悪しを判断する基準として、ユーザーの物理的&心理的負担が減っているか、を確認することが重要といわれています。物理的な負担としては ”クリック数が少ないか” など、心理的な負担としては "見慣れないデザインではないか" などがあげられます。このような観点をもとに、デザインの最終イメージをすり合わせしていきましょう。

⑦開発を実装する

デザインのイメージがすりあったら、開発に着手していきます。ここでよくあるのが、開発を進めている中で、これまでに見えていなかった論点が出てくることです。その際は、エンジニアと適宜会話をしながら、当初のイメージと完成形がずれないように調整していきます。(ここでも顧客体験を整理しておいたことが役立ちます。)

また、開発中の調整時に覚えておくべき重要なこととしては、開発にはQCDのトレードオフが発生するという点です。当然ですが、Q(品質)を求めたら、C(コスト)とD(納期)がかさみますし、逆もまた然りです。QCDの中で何を重要視しながら開発を進めているのか、エンジニアと目線を合わせながらコミュニケーションしていくと、より良いプロダクトづくりができます。

⑧テスト&リリースする

開発が完成したら、しっかりとプロダクトが動くかどうかのテストを行い、ついにリリースをします。ここでようやく1つのプロダクトが完成、という流れになります。

⑨リリース後の運用

また、プロダクトをリリースしたら完了ではありません。ビジネスとしては、ここからがスタートになりますので、お客様へのニーズ検証を進めていきます。実際のプロダクトを持ってお客様への営業をおこない、本当に売上を立てられるのか、また、より具体的な課題の発見などを進めていきます。

リリース後も開発実装は継続することが多く、ニーズ検証により得た課題をもとに、必要な開発機能を追加で洗い出ししていきます。プロダクトを通してお客様と会話をすることで、当初は見えなかった課題や必要な機能がイメージできてくるので、開発したい機能一覧はどんどん増えていくことが一般的です。その中で、初期の開発時と同じように、開発優先度を決めて開発を進めていきます。

その後は、①ニーズ検証→②機能の洗い出し→③機能の絞り込み→④デザイン&開発を繰り返して、進めていきます。

⑩最後に

以上が、プロダクト開発の基本的な進め方になります。イメージはつきましたでしょうか?プロダクト開発は想定以上に工程が長く、また開発工程のマネジメントには多くの経験や幅広い知識が必要となります。

RIPLAでは、プロダクト開発のマネジメント経験があるPdM(プロダクトマネージャー)が開発を推進する点が特徴となっており、デザイン作成や開発実装だけでなく、サービスコンセプトや顧客体験、必要機能の整理から伴走して、高品質なプロダクト開発を強みとしております。

もし、プロダクト開発の進め方がわからない、初めてのプロダクト開発で不安がある、といったお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

▼会社HP(お問合せフォームあり)
https://www.ripla.co.jp/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?