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ミニーリパートン 『Lovin' you 』からの

始まる前はあれだけ楽しみにしていた夏休みもあっという間に終わってしまいました。

毎回、長期休みの前は心ゆくまで読書に浸ろうと胸を高鳴らせるのですが、準備した本の中から読めるのはほんの一握り。今回も完読したのは2冊ばかりです。
1冊目は原田マハさんの『一分間だけ』。2冊目は夕木春央さんの『方舟』
趣の違う2冊ですが、どちらも読んで良かった、出会えてラッキーと思える本でした。
読後にかなりの時間、本の沼にハマるタイプなので、『一分間だけ』読後は散歩してるワンちゃんを見るだけで愛おしく涙目になり、『方舟』は衝撃的な結末が今でも頭から離れず、しばらくは人間不信に陥りそうでした。

読書をする場所は自分の部屋、図書館、カフェ等様々で、気持ちの良い日は本を持って屋外に出る事もあります。
お休み中、車で15分程の場所にある森林公園に、森林浴&散歩も兼ねて出かけました。休憩用のおやつ(キットカット抹茶)も携えて。

最近は運転中にTVをつけているか、Bluetoothでスマホの中のポッドキャストやアプリを聴く事が多いのですが、今回、自分でも意識せず、久しぶりにFMのボタンを押していました。いつもの通勤とは違う雰囲気を味わいたかったのかもしれません。
ちょうどそのタイミングで「では、次の曲はミニーリパートン Lovin’ you」というDJの声が。この曲を聴くのは恐らく数十年ぶりでしたが、学生時代に、友人とサビのハイトーンボイスがどこまで出せるか何度も練習したり、社会人になりジャネットケイさんのコンサートに行き、彼女の声かけで片方は友人、もう一方は偶然隣になった見知らぬ方と言う風に、会場全体が手を繋ぎ、皆で一緒に歌った曲でした。時を超えて、あの頃の思い出が一瞬にして、甦ってきました。


休日に、森に散歩に行く時のドライブ曲がLovin’ youとは、なんと完璧なシチュエーションなのでしょう!
小鳥の囀りから始まる、この愛に満ちた美しい曲に再会出来た事、FMラジオさんに感謝です。これからも、聴かせて頂きます!

Radio someone still loves you 〜🎵 
by Queen 


一人の車内で、ミニーリパートンより、2オクターブも3オクターブも低い声ですが、ご機嫌にハモリながら、本日の脳内BGMは Lovin’ youに満たされました。

池への小道

この森林公園は県が管理しており、春は桜、夏は紫陽花、秋は紅葉と季節に応じて様々な景観を楽しめます。遊歩道も整備されており、小さなお子さん連れのファミリーから、お一人で散策されている方、数人でおしゃべりしながらウォーキングされているグループ等、老若男女、其々が自然を楽しんでいます。

お気に入りの読書スポット

いつもの遊歩道を脳内BGMなのか、リアル鳥の囀りなのか分からない程の、賑やかな声を聴きながらゆっくり散策し、お気に入りの休憩場所である池の辺りのベンチに腰をおろしました。
ふだんならここに辿り着くまでに数人とすれ違い、挨拶をしたり、時にはベンチに先客がいて、余分にプラプラと歩いて時間をつぶす事もあるのですが、今回はここまで一人も出会う事はありませんでした。
珍しいなと思いつつ、先ずは池を眺めながら、おやつのキットカットと水分補強を。
池は人工池ながら、周囲には沢山の生物が生息しています。コイ、アメンボ、蜘蛛、トンボ、バッタ、蝉、名前を知らない青い美しい野鳥、そしてカラス。

🐦‍⬛🐦‍⬛カラスの行水
そう、つがいのカラスが森の中からトコトコと現れ、池の水で行水を始めました。入浴時間がとても短い事の例えとしても使われる『カラスの行水』、初めて見ましたが、想像と全く違いました。二匹のカラスは鵜かと思う程に、頭の先までたっぷりと水に浸り、ゆっくりと体を清めた後、濡れたままの漆黒の羽根を太陽の光に輝かせながら、ダンスをするように軽やかに森の奥に消えて行きました。

さて、そろそろ読書の世界に入りましょう。今回、屋外読書に選んだ本は、G.ガルシア=マルケス『百年の孤独』です。

恥ずかしながら、私はこの著者の方も、作品についても全く前知識が無く、最初はお酒の本かと思っていました。
書評によると、著者はコロンビアのノーベル賞受賞作家。かなり以前に書かれた本で、日本では1972年に出版されてから、50年以上も人気があったにもかかわらず、今まで文庫化されてなかったそうです。今回、文庫化が決まり、ハードカバーも改めて再注目されたとの事。内容は、ある一族の栄枯盛衰を壮大なスケールで描いた作品らしいです。
以前は海外の翻訳本を好んで読んでいましたが、最近はめっきり減ってしまいました。なんせ人名が長過ぎて覚えれない。。しかも、この本、家系図によると一族で同姓同名の人が、うようよ登場するようです!
久しぶりの翻訳本、不安に思いながら読み始めましたが、異国の薫りまで伝わってきそうな、魅力的な文体に惹かれ、気づけばブエンディア一族と共に壮大な旅へと出発していました。

読書に集中していると、周りの状況をすっかり忘れている事があります。ここはオフィスの昼休みだったか、夜寝る前のベッドの中だったのか。。

ふと我に返ると周りから一切の音が消えていました。鳥の囀りや、あれだけ盛大に鳴いていた蝉の声も、不定期に跳ねていた池の鯉も、全てが一瞬この世界から消えたような静けさでした。

いつもは人混みが嫌いで、ひと気の無い場所を自ら好んで行動していますが、この本物の静けさに、だんだんと不安な気持ちになってきました。世界に一人取り残されたような。。
そう言えば、この日の森は、来た時から何かいつもと雰囲気が違っていました。人間がいない森のこれが本来の姿なのでしょうか。
外者である圧倒的なアウェイ感に耐えきれなくなった瞬間、私の脳内BGMがカチリと切り替わりました。

トンボだって、カラスだって、アメンボだってー🎵みんなみんな、生きているんだ、ともだちなんだー。


流石にいざとなったら、アメンボやトンボに助けてもらえるとは思ってないし、彼らもまさか友達認定されているとは、知る由もないのですが、当時の私の心理状態は、虫にもすがる?程、かなり、ビビっていたのでした。。



自然は時に人に対して、厳しい表情を現します。
普段の優しい側面に甘え、過度な伐採や、埋め立て等、自然を見縊ってはいけないという事なのでしょうね。
それでも、私は自然が好きです。

無事、家に帰り着き、落ち着いて振り返ってみると、あの状況で遭遇したら1番怖いものは何だったのでしょう?
ヘビ?(何処で会ってもイヤだ。)、イノシシ?(ホントに出そう。)、クマ?(多分、このエリアにはいない。)      もしかしたら、1番怖いのは人間かもしれません。

私は未だ『方舟』の沼から抜け出せていないようです。。



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