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幸せになりたくてラーメン啜る

先週も食べる、先々週も食べる、今日食べたら、明日は食べてはいけないだろうか。
伸びた髪をハーフアップにしていくのは、仕事をしやすくする為じゃなくて、昼にラーメンを食らう為だ。

幸せになりたくて、お腹を引き締めようと思った。思っていたけど、我慢を重ねてはいけないの方が勝った。
とかって、いつもそう言っている。

ないてしまいそうな空腹にラーメンをぶち込んで、私はわたしに立ち返る。


家族と月1行ったラーメン博物館、
帰りの車窓からレインボーブリッジを眺めては、楽しかった時間が終わって行くのを寂しく思った日常。

教室でラーメン記事の切り抜きノートを作っていたら、
「あたしもラーメン好きだよ!」と話しかけてくれた子と、
わざわざ隣駅のラーメン街まで出て、小6で初めて子供同士だけでラーメンを啜った。

高校前の売店で買ったカップヌードルにお湯を入れて、部室に戻る頃に丁度3分経った。
女子が何人かでわらわらとスープをこぼさないように信号を待つ、あの時間が愛おしかった。

楽しみにしていたラー博デートの帰りに別れ話をされて、いつまでも泣いて引き留めた。

入りたくない会社の入社書類を出して、その足で1人ラー博梯子した。
その会社蹴って、今の会社の顔合わせで連れて行かれたお店でも、やっぱり私はラーメンを頼んだ。
その店は、今はもうない。


小さい器によそわれたミニラーメンをニコニコ食べてたあの頃から、いけると思って頼んだ大盛りで苦しい胃腸を抱えて過ごす午後も。
ラーメンはわたしを包む愛のベール。
好きだ、好きだよ。ずっと昔から。
幸せはラーメンと共にあり、哀しみもまたラーメンと共にある。


ほら、輝く満月が、どんぶりに見える。

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