戦争を考える 064 前任者の呪縛?
企業でもあり得るが、前任者よりも、優秀、有能なのを見せたいとか、際立った実績を上げたいという欲は、誰でも持つ傾向があり、ついつい頑張ってしまう。それが吉と出るか凶と出るかは、何とも分からない。個人にとっては吉でも、会社にとっては凶になったり、その逆もある。また官庁のように、ミスをせずに、ただただ前任者のやり方を踏襲すれば、安穏に日々が送れるのだ、とする組織もある。むしろ前任者と変わったことをしたり、恥をかかせるような振る舞い、すなわち業績?を上げることは役所倫理?に外れる人間とみなされてしまうかもしれない。明日できることは、今日するなとか、前例主義が、日本の停滞を招いているのは、ほぼ間違いない。
さて政治家についてだが、岸田首相は、安部元首相との違いを見せたり、返り咲きを防ぐために、安部氏の実績を否定しがちな政策、方針を実行しているように見える。前任者は、菅前首相だが、意識しているのは、安部元首相であろう。特に、今回の侵攻では、安部元首相を特使として派遣し、プーチン大統領との会談を目指すべきなのに、どうもそのような動きはない。ことさら、自らを前任者と差別化して、内閣支持率を上げようとしているようだが、一国の首相として、国益を置き忘れ、国民を蔑ろにして、自分の優秀性を証明、強調しようと、無駄な努力をしているようにも思える。一個人の欲望、願望などは、恩讐の彼方に投げ捨て、自らを空しゅうして、この国難に当たるべきなのに、どうも器量の底の浅さと受験秀才の心狭さが透けてしまうのだが…。参議院選挙で勝つと、また調子に乗ってしまうかもしれない。
一方、バイデン大統領だが、これまたトランプ前大統領を意識しすぎている。オセロじゃないが、ほぼことごとく、前任者の実績を覆し、例えば、積年の計画通り、ロシアの弱体化を進めている。ウクライナは、その駒にしか過ぎないし、もしヨーロッパが戦場になっても、おそらく積極的な介入はしないだろう。すでに、アフガン、ミャンマーは見捨てられた。もし中共軍が台湾に侵攻しても、武器を送るだけで、口先介入だけで終わるだろう。バイデンは、中国と事を構えるつもりはなく、強そうなポーズを見せているだけだと思う。何しろ、彼の息子には、かなりの賄賂が共産党系企業から渡し済みとされているからだ。彼には、秋の中間選挙に勝つことイコールトランプ復活阻止しか、頭にはないのではなかろうか?とにかく、トランプを叩き続ければ、選挙に勝てると思っているので、その文脈から、ロシアを制裁、圧迫しているだけにすぎない。個人のルサンチマンをオブラートに包み、いかにも善人ぶって、これまでの問題、責任を前任者に押し付けていないのか?どうも陰湿な感じが漂っている。うーん、二大政党制って、何なのだろう?
いずれにしても、知名度、人気、支持率、学歴、政治歴等に惑わされずに、よくよく目を凝らして、その政治家の人となりを見ていかなければ、大きな国難を招くことになってしまうだろう。前任者の呪縛は、どんな立場、地位にいようとも、付きまとう可能性は排除できない。こういう時期だからこそ、マスメディアによる情報操作と巧みな洗脳に注意しながら、良書、古典を一冊でも多く読み、自らを省みるべきだと思う。写真は、シュトゥットガルトのヘーゲルハウス内。
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