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『人』を中心とするインタビュー


「”自分が何かしよう”と思える人を増やしたい。」


 こう熱く語るのは、greens.jpのライターとしてペンを執る池田美砂子さん。
 関係性のデザインを探究して「いかしあうつながりがあふれる幸せな社会」を目指す非営利組織であるgreenz.jpで池田さんは9年以上記事を書き続けている。

 そんな池田さんの記事に惹かれ、今回取材をさせていただいた。池田さんのワークスタイルである「人」を中心としたインタビューへの思いに密着した。


~取材を受けてくれる「人」〜

「”取材は魔法の絨毯”だと思う。『取材』という言葉の力はとても不思議!マンツーマンで2時間、3時間もいろんな方とお話しできるから。」 

と笑顔で語ってくれる池田さん。

 自分のために相手の貴重な時間を使わせてもらえるからこそ、取材を受けてくれるその人自身を知ることが一番大切だそうだ。

 取材に行く前に調べることができる相手の情報は、相手のことを10%も知ることができない。だからこそ、取材をする前に、何回か事業を見学したり、実際に会話して、信頼関係を築いてから取材することを心掛けている。

 初対面の相手と信頼関係を築くためには、自己開示が欠かせないそうだ。

 この言葉を聞き、「相手のことを聞くための取材なのに、自分が話して大丈夫なのだろうか?」
私の頭の中に大きなクエスチョンマークが浮かんだ。

 すると、池田さんは自分についてお話してくださった。
「私は学生時代、”恵まれている”というコンプレックスがあったの…。」
 私は目を見開いた。私も全く同じ悩みを抱えているからだ。

 私も池田さんと同様、育った環境が似たような友達が多く、自分のコミュニティーの狭さについて悩む回数が最近増えている。
 日本や世界で起きている、社会問題を自分事として捉えることが難しい。もっと向き合わなくてはと思っていても、どうしても他人事になってしまう。
 気づくと私は池田さんに、自分の悩んでいたことを話していた。
 (これが自己開示する意味なのか。)
 相手のことを知れば知るほど、話の輪は広がる。特に自分の弱い部分を見せると距離の近さが増す。
自分のことを知ってもらう=相手のことを知るということなのだ。
 これこそが池田さんと大切としている、事業の取材だけでなく、「一人の人」 に注目するために欠かせない方法なのだろう。


~読み手である「人」〜

「閲覧者数・いいね数は気にしない。誰か一人でも心に響いてもらえるような記事を書く。」

 取材を受けてくれる人に向き合うのはもちろん、読み手も一人一人という小単位を意識しながら、記事を書いているそうだ。

 池田さんの記事は確かに、読み手に語り掛けているような文章で、読みだすとカーソルを進める手が止まらなくなる。

 どうして、池田さんは読み手を意識するのか。
それは、ライターとしてのジレンマに答えがあった。

 「作ってみようの声の小ささ」
 これこそ池田さんのジレンマであり、独自の文体で記事を書く原動力の一つである。

 池田さんは自分の経験を語って下さった。
 
 「素晴らしい教育施設の創設者、画期的な事業の発案者など、目を引くような経歴を持つ方々の記事は反響が大きい。その一方、『自分の子どもを通わせたい。』『引っ越したらここに行けるのだろうか』などのコメントがほとんどで、”同じような事業を地元でしてみよう”という声は少なかったの。」

 この記事を読み、このように地元を離れ、通えるようになれるのは、ごく一部の経済的に恵まれた層。
池田さんが取材した場所に所属できる人たちこそが、行動を起こさない限り、一定の所得を上回る家庭のみでしか良い循環が生み出されない。
 自分の書いた記事により、良いサイクルが生まれない現状を改善するために、読み手にも重点を置き記事を書くようになったという。

 必ず、「この記事を読んだあなたは自分に何ができると思いますか?」というメッセージを込めて、記事を結ぶようにする。
 読者が行動をおこすきっかけとなる記事を書くことこそが、ライターとしての役割だと池田さんは教えてくださった。

取材をなさる池田さんの様子

~自分という「人」に向き合う~

”書くことは、新たな「自分」に出会うきっかけとなる。”
 私に最後伝えてくださった言葉だ。

 「取材」を通して、様々な人と出会うことで自分自身のリフレクションをすることができる。自ら発言をたくさんするのが苦手という自分の短所だと思い込んでいた部分が、他人に聞き上手と褒められ自分の長所でもあったと気づく経験もあったという。

 自分のbe(価値観)を知り、自分のdo(役割)に気づく。
 自分を含めた「人」と向き合うことができることこそが、9年以上「記者」として絶えず書き続ける理由なのかもしれない。

~最後に~

『なにをやるか、よりも、どうあるか。
私たちはdoにとらわれすぎているのかもしれません。
beとは、あり方、存在、状態。
「ある」ことを無条件に受け入れ、
「する」を生み出していく姿勢。』

 これは昨年、池田さんが立ち上げた株式会社beのコンセプト。

 池田さんとの出会いは、私のbeに気づいたきっかけとなった。今自分の中にあるモヤモヤをただ”悩み”として完結するのではなく、変えるためにできることを常に考え実行し続けたい

 この記事を最後まで読んで下さった方が、一人でも多く自分の腰を上げ行動を起こすことができたらと思う。

 最後まで読んで下さりありがとうございました。


池田美砂子様
 ・Facebook : https://www.facebook.com/ikedamisako
 ・株式会社beホームページ:https://be-inc.life/


文:並木里乃





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