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短編小説🍸映画BARローマの休日(16)

「無罪?」

ゆき、いや、はるかの口から出た言葉に驚きを隠せず、僕は馬鹿みたいに繰り返した。

「うん、無罪。」

はるかはうなずきながら、カクテルを口に運ぶ。よく見ると紅の豚を飲んでいるようだった。

「僕も、まぁ、執行猶予付、懲役3日って感じだと思いますね。」

と、とっきーが間に入ってくる。少し彼女より厳しめなのがなんともとっきーらしい。

「でも、その後彼女からは何の連絡もないんだ。DMも既読もつかないまま3週間経っちゃったし…」

と続けると、彼女は紅の豚を一気に飲み干してこう言った。

「彼女はあなたに抱かれて、死んだのよ、きっと。」

「え?」

「だから、死んだの。もういない。はい、この話は終わり。次、飲みましょ。はい、飲んで飲んで。」

と強引にすすめられグラスを飲み干す羽目になり、例のごとくまた酔いが回ってきた。彼女の姿がだんだんぼやけてくる。

(17)へつづく(次回、最終回!)


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