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読んだ本のこと

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子供の頃苦手だった「読書感想文」のリヴェンジです。
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#読書の秋2021

マハじゃない、美術ミステリー

マハじゃない、美術ミステリー

 実は原田マハ以外の美術ものも一作読んでいました。それがたいそう面白かったのです。ケリー・ジョーンズ著『七番目のユニコーン』(訳:松井みどり)です。原題もそのまま <The Seventh Unicorn> です。

6枚の「一角獣と貴婦人」 おそらく(特に中世の)美術に詳しい人なら、「七番目のユニコーン」という題名を見ただけで「はは~ん」と小説のテーマが読めてしまうんじゃないかと心配しました。そ

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読んではいけない

読んではいけない

 万が一、今この記事を読んでいて「私も原田マハ読んでみようかな~」と思っている「マハ未経験者」がいたら、いやもしいたらですよ、この「いちまいの絵~生きているうちに見るべき名画~」から読んではいけません。

ありがちな題名 昨今「生きてるうちに(または死ぬまでに)○○すべき○○」というタイトルが乱発されています。「見るべき絶景」「観るべき映画」「食べるべきピッツァ(?)」「入るべき温泉」等々なんでも

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楽園から地獄へ

楽園から地獄へ

「楽園のカンヴァス」に続いて「暗幕のゲルニカ」を読みました。美術の素人が原田マハにハマっています。

章の日付はちゃんと頭に入れて 「楽園のカンヴァス」と同様、過去と現在が交互に登場しながら物語が進行し、最後にはつながっていきます。そして過去と現在、その両方に生きて登場する人物が一人だけいるのも「楽園…」と同じです。(正確には「楽園…」の方は三つの時代で構成されています)

 主人公は今回も日本人

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いとしの Henri

いとしの Henri

 拙文「美術のド素人が原田マハを読んだら #1 #2 」に続き今回も原田マハ、「楽園のカンヴァス」を読んで感じたことを書いてみます。

燃えよキュレター ある人物が、過去の栄光やスキャンダラスな恋愛、そういったものに蓋をして、今は市井に紛れて静かに暮らしている。しかしひょんなことからその蓋が自分の意思とは関係なくこじ開けられ、その人物の正体を知って周りは驚き興奮する、そしてついには表舞台に引っ張り出

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