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p.14【バイアス】加害者と被害者

今回のモヤモヤは、カンボジアで起こった大虐殺の加害者と被害者について

私は、半年間研究していたカンボジアの大虐殺(詳しくは私の過去のnote参照)における加害者はポル・ポト派の人間で被害者は非ポル・ポト派の虐殺された人々と考えていました。(ポル・ポトは自分の一派の仲間でも政権に反する者は殺害したのでその人たちも被害者に入りますが、一旦このことは置いておきます…)
私は昨日、ある動画を見ました。

それが、この動画。

両親の反対を押し切って8歳でポル・ポト派に入った女性で、ポル・ポト派の兵士らに食事を作ったり、彼らの身の回りの世話をしていました。彼女は紛れもなくポル・ポト派の人間でしたし、直接的に人を殺したわけではありませんが、間接的に虐殺に関わっていました。 

彼女はカンボジアとベトナムの国境地帯に住む民族出身です。彼女が8歳の頃、彼女が住む地域をポル・ポト派の人間が訪れました。純粋でまだ何も知らない子供達に「ポル・ポト派に入れば勉強ができる」などと声をかけ、その言葉を信じた子供達が何人もポル・ポト派に入りました。

ポル・ポトらによる支配が終わった現在、カンボジアで元ポル・ポト派の人々が生活するのは容易ではありません。ポル・ポト派だった過去がバレれば酷い嫌がらせを受けます。

実際にこの動画の女性の家族は、カンボジアの中でもまだ地雷がたくさん埋まっているような地域にしか住めず、そこで細々と暮らしています。彼女の旦那さんは、生活費を稼ぐため、毎日、タイに不法入国し、命がけでタイで働いています。なぜ彼がタイで働くかというと、元ポル・ポト派の人間が現在、カンボジアで働くよりも、不法入国をしてでもタイで働いた方が良いとのことです。元ポル・ポト派というだけで、それだけひどい嫌がらせを受けるということですね。

つまり、私は、この動画の女性は、ポル・ポト派の人間に洗脳され、騙され、ポル・ポト派に入ってしまった、言わば、被害者なのではないかと考えました。ポル・ポトらは、純粋無垢なまだ何も知らない子供たちを利用したということです。

私は虐殺をした側とされた側にわけて、それがそれぞれ加害者と被害者に分けられるというとても安直な考えを持っていました。これは私が持っていた、加害者と被害者の境界線を自分で勝手に決めた変なバイアスによるものです。

とても表面的な、"虐殺が起こった→人々はその虐殺をした側とされた側のどちらについていたか"という部分しか見えていない、知らないうちは自分のバイアスが強く出てしまい、物事をいろいろな視点から捉えたりできていないのだなと感じました。

だから、もっと知りたい、知らなきゃいけない、知ることで何かが変わる、変えられると強く感じました。

ポル・ポトが侵した罪・過去は変えられないし、紛れもない事実だけど、そこから派生した現在に残る問題へのアプローチや視点は私たちが作れるし、変えられると思います。私もこの動画を見る前は、ポル・ポトによって殺された知識人を、現在、増やすためにはどうしたらいいか、という被害者である彼らの現在を改善する方法を模索していました。

しかし、この動画を見て、新たな視点や知識・情報を得た後は、加害者であり被害者でもある、現在嫌がらせや差別を受ける元ポル・ポト派の人々の生活の支援も必要だと知ることができました。
そして、現在に残るたくさんの問題を、まだない視点で、アプローチする方法を模索し続ける人間でありたいと感じました。

そして、そして、カンボジアを知れば知るほど、自分の足でカンボジアに行って、自分の目でカンボジアを見たいという思いが強く強く強くなります。コロナがおさまったら私が、1番に行く国は間違いなくカンボジアでしょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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