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モデルのスナップ、抜け感はカメラマンだけじゃできません!

最近、某モデル事務所の、モデルの「スナップ」だけを投稿するinstagramアカウントを作りました。

モデル事務所のinstagramはほぼ全て、モデルのテアを投稿して、いかに所属のモデルが良い仕事をしているかを魅せる、ブランディング目的のアカウントです。(テアとはtear、泣くという意味だけでなく、引き裂く・破るという意味もあり、ブックに入れるために、自分が写っている雑誌やカタログを切ることから、世界ではテアと言われています。現在はほとんどデータですね)

スカウティングにおいて、モデル事務所のwebやinstagramだけだと、本人の顔やスタイルがわからないので、モデル事務所からモデル本人のスナップがメールやドライブの共有で送られてきます。さらにモデルの印象を知るために、モデル本人のinstagramもチェックします。検討すべきモデルほど、色々な角度からモデルを検証します。見た目、センス、生活週間など、色々なことが見えてきます。

スカウティングがモデルを選定するにあたり重要なのが、モデルの素の顔とスタイルがわかるスナップです。しかし、クライアントから依頼があり参加する「オーディション」では使用されません。オーディション後にクライアントからスナップを依頼されることもほとんどありません。オーディション会場で本人を見てもらえれば、クライアントにとってスナップは不要なのかもしれませんね。

ですが、オーディションの参加依頼(リクエスト)をもらうために、モデル事務所は色々な努力をします。そこでスナップが活躍する場合があります。特にテアがあまりない新人や、モデルのイメージや方向性を変えたい場合は以前のテアが役立たないので、スナップが重要になります。

スナップは通常、カメラマンではなくモデル自身やモデル事務所が撮影します。簡単にモデルの素がわかれば良いと思っているモデル事務所は多いと思います。または、スナップの重要性を理解していても、カメラマンではないので良いスナップを撮ることは難しいのではないでしょうか。

海外のモデル事務所は違います。所属のモデルをパリ、ミラノ、ロンドン、NY、そして東京などの都市に送りたいので、スナップを真剣に撮ります。事務所内にライティングを組める場所を整えていたり、天井が高く白い壁や天井で光まわりの良い窓際があったり、良いカメラを持っているまたは知り合いのカメラマンに撮ってもらうなど、どこの事務所も全力でスナップを撮ります。

先日アカウントを作ったinstagramでも、スナップのみを投稿しています。場所やカメラも大事ですが、やはりモデルが最も大切になります。どんなスナップが良いのか、ゴールを知らなければ良いスナップは撮れません。私は、たくさんのモデルと、モデル一人当たり10〜100枚ぐらいのスナップを見てきました。「機能的」にかわいい・かっこいいというより、「印象」としてかわいい・かっこいいという方が、確実にクライアントの興味を惹きつけることができます。

「印象」を創り上げるためには、まず、素敵な写真やアート、良質な映画や音楽、漂う空気や流れる水に向けて、どれだけ関心を持ち、どれだけ感性を磨けるかが大切なのだと思います。カメラマンやスタイリスト、ヘアやメイク、ディレクターやファッションフリークの中で、ただのおのぼりさんとして観光気分で撮影するのか、それともクリエイターの方々と共鳴できる感性を持ってプロとして撮影に望むのか、それはモデルを目指す人たちの意識のにかかっていますね。

次に、ゴールがイメージできる様になれば、そのゴールを目指して、ディレクション、カメラ、モデルと同じ答えを探しにいけます。笑顔ひとつとっても、口、目、頬、首、とモデルは微妙に動かしながら表現をしていかなくてはなりません。先日の撮影は、私がゴールの設定と判断をしたので、モデルへの細かい指示などもしましたが、通常は細かい指示はなく、感覚的な曖昧な表現を受け取ってモデル自身が表現しなくてはなりません。そしてイメージの理解、表現するテクニック、感性の共鳴による共作を行います。

スナップにおけるゴールは、先ほど話した「印象」をつくることです。業界では「抜け感」という言葉がよく使われます。抜け感を具体的に表現するのは難しいですが、例えば「存在感のある心地よさ」「華やかな個性」など、類似しすぎない2語で表現する「小気味よさ」といった感じでしょうか。共感してもらえない方々がたくさんいそうです。笑 それぐらい説明が難しく、感覚的な言葉ですが、なぜか共通認識として共鳴できることばでもあります。

長くなってしまいました。いいたいことは、良いモデルになりたいのならば、感性を磨き、ゴールを想像できる力を養い、抜け感のある写真を共作できる表現力を常に探求して欲しいということです。力尽きた感がありますが、今日はこの辺で。

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