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【姉妹の恒久の愛】サーミの血

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劇場公開日:2016年 公開時間:1時間48分 スウェーデン、ノルウェー、デンマーク合作
監督:アマンダ・ケンネル 主演女優:レーネ・セシリア・スパルロク


ざっくりとあらすじ(しっかりとネタバレ)

エレ・マリャはトナカイを操る部族の一員。妹のニェンナを連れて寄宿学校へ通います。けれど、サーミ人の血を引く彼女たちはスウェーデン人にひどい差別を受けてしまう。成績もよく、頭のよかったマリャは教師を目指して担当の先生に進学したい旨を告げると、「サーミ人の脳は文明に適応できない」と、やや差別的な表現で彼女に進学はできないと断った。

ある日、マリャは己の民族衣装を脱ぎ、普通の服を着る機会があった。そのとき、マリャはサーミ人としてではなく、ごく普通のスウェーデン人として受け入れられたのであった。そして、彼女は学校には黙ってパーティーに参加した。そこでごくごく普通の青年と恋に落ちた。

そこから、マリャはより進学したいと考える。青年と一緒にどこまでも逃げたい。そんな気持ちからスウェーデンへ向かうが、青年には拒否されてしまう。スウェーデンの学校に転がり込んだが、そこには学費の壁が。故郷に逃げ帰って金の無心をするマリャ。母親は亡くなった父親の銀のベルトを差し出すのであった。


あの……あのさあ……

さて、さてさて。

私はいつもアマプラで映画を探すときは大体タイトルとサムネイルを見て選びます。「サーミの血」を選んだときは「おっ、これはそこそこ怖そうなホラーだ」と……。

まあ違いましたね。差別を考えさせられるヒューマンドラマでした。

まあまあ別に、嫌なわけでは無いんで最後まで見たのですが、これはかなりの当たりだったのではないかなと!思います。

まず、視聴者に考えさせる“間”がとても良い。音の演出がとても良い。

途中、マリャは耳を傷つけられてしまうのですが、そのときに訪れる静寂。自分の立てる音しか聞こえない瞬間。それは幻想的で、痛みの共感をする瞬間であり、考えさせられる瞬間であります。差別。彼女が抵抗しただけなのに圧迫させられる暴力という圧倒的に理不尽で自分ではどうすることもできないに屈してしまう彼女と一体となってその瞬間の環境音を味わうのですわ。こりゃまいった。ちょっと泣きそうな私がいました。

結局、マリャは自分の名前と故郷を捨てて都心での生活を行うのでしたが、故郷に残った妹はずっと彼女の帰りを待っていたのでした。そして月日が流れに流れて彼女たちは老女になった。妹の葬式に参加するマリャ。妹の亡骸に「私を許してね」と泣きながらささやく彼女の姿は本当に本当に美しかった。距離が離れていても、連絡をとっていなくても、心のどこかでは家族のことを思い、愛していたのだと。これが姉妹愛かぁ。深いなぁ。などとしみじみ思いました。映像の色使いも素敵です。静かな寒色の色使いがじんわりと。心にしみこんで来るみたいでした。

そしてなんといってもヨイク!!!!サーミ人が歌うヨイクは、妹の生きがいであり、姉が妹をあやすときに用いられていた音楽でもあった。音楽はどんな状況下でも人々を癒してくれます。エンディングでも歌われたヨイクは長いこと耳に残るメロディでした。今でも口ずさんでしまうほどには!!


これってアナ雪なのか……?

北欧の地、トナカイ、二人の姉妹……これはアナ雪じゃろう。

と、視聴後に気になって調べてみたんですけど、このサーミの血、というよりも「サーミ人」がアナ雪2に出てくるノーサルドラの民族のモデルになっていたらしいです!

なるほどね。たしかにいわれてみれば民族衣装がなんとなく似ているといえば似ているのかもしれない。

ただ、モデルになったのはサーミ人というだけなのでサーミの血とアナ雪の関係性は薄いみたいです。

まったくの無関係というわけではなさそうなのでアナ雪を見てみたらまた違った受け取り方ができそうですね。

それでは今日はこの辺で。

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