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どん底からの出発

 今日はいよいよ八方塞がりのどん底からどのようにして回復していったのか書いてみようと思います。前回の記事はこちらです。

 実家にもインターネットで出会った友達の家にも居られなくなりダルクに助けを求めました。あれだけ嫌だったダルクに助けを求めたのは自分でも意外でした。

 ダルクでの生活が始まりました。

 初めは薬が止まりませんでした。でも仲間は温かく見守ってくれました。ミーティングで使ったと告白するたびに笑顔で拍手をしてくれてハグをしてくれたのです。何度使っても仲間はチャンスを与えてくれました。使ったことを責められたことは一度もありませんでした。僕の回復はそんな空気の中ではじまりました。仲間と大きな力に守られてチャンスを与えてもらったのだと思います。失敗するたびに気づきがあり薬を使わない期間が徐々に伸びていきました。

 仲間はこう言ってくれました。『りおは時間がかかる。とことん付き合うから』そんなダルクでの生活が居心地良くなってきたのです。そのことを仲間に言うと『そうだ。ここがおまえの家なんだよ』と。家族からも突き放されどこにも居場所がなかった僕は涙が出るほど嬉しかったです。今でも思い出すと泣けてきます。

 仲間と毎日、ミーティングに歩いて通いました。今も苦しんでいる仲間と歩む時、その時にはもう薬の事は考えていませんでした。「歩くスピードは速くないかな?」「こいつあの時の自分みたいにヨレてるんだろうな」独りで歩いていた時のようにもう自分の病気と遊んでいません。自分の事は棚に上げてその時に自分が渡せる全ての経験を苦しんでいる仲間に渡そうとしたのです。

 ミーティングでは不思議なことがたくさん起こりました。墓場まで持って行こうと思っていた話がありました。性的コンプレックスのことです。僕はなにを思ったのか少人数のミーティングでそれを話しはじめました。僕はあの時、仲間に対してではなく不思議な力に向かって話したのだと思います。仲間は軽く笑い飛ばしてくれました。闇の中で育った怪物は光を当てたら消え失せたのです。魂が解放された瞬間でした。

 自分の力で気づいたことなんて何一つありません。全部、ミーティングや仲間との関わりの中で気づかせてもらった事です。嫌な光景も見たし嫌な思いもしましたが何度もチャンスを与えてもらって寛容にもされてきました。どんな人間関係も長続きしませんでしたが仲間とだけは不思議と続いています。それがどれだけ凄い事なのか。

 ここに書いたことはもう25年も前のことです。回復の基礎をあの場所で作れたこと、幸運だったし感謝しています。今よりも病気も深かったし調子も悪かったです。生きづらかったです。人としても未熟でした。けれど一生懸命でした。辛いこともありましたが、今残っているのは夢のようなキラキラした思い出だけです。仲間と共に歩んだ僕の人生のセカンドチャンスでした。

 ここまで書いてきましたが、いくら環境が良くて仲間に恵まれていたと言っても生き方がそんなにすぐに変わるはずがありません。ダルクに繋がってからも苦しい思いはたくさんしました。嫌な仲間もいました。でも仲間との間で起こることにはどんなことにも不思議な力が働いていて回復に繋がっているのだと思います。それを信じて仲間と関われるようになったのは大きな進歩です。

 現在も25年前に学んだこの経験をフル活用して毎日を生きています。ダルクとミーティングで学んだ回復のプログラムが身体に染み付いています。あの魔法のような空間には不思議な力が間違いなくあって、その力は今も自分の中で生き続けています。今日を生きる糧となっています。

 どうか助けを求めてください。
 そこにはチャスがあります。

 読んでいただきありがとうございました。

絵も描いているよ♡

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