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「窮鼠はチーズの夢を見る」を観て考える、同性愛の在り方(ネタばれあり)

2020年9月11日(金)公開の映画「窮鼠はチーズの夢を見る」を、公開初日の21:15開始のレイトショーで観てきた。

正直、私はこの映画を知った時、原作漫画の存在すら知らなかった。
この映画を知ったきっかけは、朝のニュース番組での近日公開予定映画の紹介コーナーを見たから。

「これは絶対に観に行かなくては」

なぜか予告ムービーを見た瞬間に、「絶対に観に行かなきゃ」という衝動的な、ある意味半ば強迫的な観念に飲み込まれた。

とっさにケータイで映画館の予約画面を開き、公開初日のレイトショー(なぜレイトショーなのかは、子供を寝かしつけ家事をすべて終わらせてから観に行くためだったから)の予約を完了させた。

そうして私は、その日の日中の仕事を終わらせ、子供を寝かしつけ、旦那の夜のおつまみを作り、家事をすべて終わらせて、一人夜に車を走らせ映画館へ向かった。

この映画を観に行けることの高揚感と、久しぶりに一人夜出歩いている解放感に、なんとも言えない充実感を感じてワクワクが止まらなかった。

窮鼠はチーズの夢を見る

本映画「窮鼠はチーズの夢を見る」は、2006年2月に初版が発行された、水城せとな作の男性同士の恋愛を描いた大人気漫画「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」を原作に実写化された作品である。

恋愛に対して常に受け身で、「流され侍」の異名を持つ主人公 大伴恭一を、関ジャニ∞のビジュアル担当でジャニーズでも屈指の美形である大倉忠義

一途に大伴に片想いをし続け、7年越しに大伴と再会を果たすもう一人の主人公 今ヶ瀬渉を、メンズノンノ現役モデルで日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめとする数々の受賞歴のある成田凌

2名の魅力的な俳優が演じている。(ちなみに私は成田凌のファンで、同い年なのでいろんな意味で嬉しい)

この映画は、これまで受け身ばかりの恋愛をしてきた大伴恭一が、大伴の妻に頼まれて浮気の調査をし、その証拠を突き付けるというなんとも驚きの境遇で後輩の今ヶ瀬渉と7年ぶりに再会を果たし、「ずっと好きでした」という突然の今ヶ瀬からの告白によって恋に翻弄されていきながらも、本当の愛を知っていく二人の男性の胸が苦しくなるほどの恋愛を描いた作品である。

苦しい、辛い、でも幸せ

成田凌演じる今ヶ瀬は、7年もの間、大伴に会うことすらできないのに想いを寄せ続けて、偶然だろうか、はたまた必然なのだろうか、大好きな大伴先輩に再会することができる。

この時点でまず私は、7年もの間片想いはできない。

今ヶ瀬自身も、この7年の間に別の男を作って(書いていなかったが、今ヶ瀬はゲイである。ゲイという表現は、私はあまり好きではないが…)恋愛をしているが、きっと心のどこかに大伴が存在し、再会したその瞬間に自分の想いが爆発したのだろう。

7年と言えば、高校に入学したばかりの子が、社会人として働き出す年齢になるくらい長い。子供が大人になるほどなのだ。

それほどまでに長い間、私は片想いできないと思った。

ここまで深い恋心は、ある一種の執念であり、「辛さ」の大きさを示してるとも感じた。

しかし、浮気調査の証拠を突き付ける形で今ヶ瀬は大伴と再会することができ、半ば強引に大伴を自分の欲に溺れさせていくのだ。

それは、一目惚れしたその時には叶わなかった、「大伴との触れ合い」を実現することができ、幸せな時間でもあった。

だが、大伴はノンケ、今ヶ瀬はゲイ。

徐々に大伴は今ヶ瀬に対して心を許す素振りを見せつつも、「俺はゲイではない」という固定概念、そして世間からの評価を気にし、今ヶ瀬の気持ちに対して完全に応えることはできずにいたのだ。

これは本当に、現代のLGBTQの恋愛の問題をそのままに描いているもののように感じた。


※「窮鼠はチーズの夢を見る」を観て考える、同性愛の在り方2(ネタばれあり)に続きます
ちなみに私は、10月2日に2回目を観に行くので、そこでさらに深くこの映画について考えたいと思います。

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