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2002年からの武術エッセイ

市井に散らばる武林に住む若きひとたちよ。

今日はどんなことがあっただろうか?

上司に叱られただろうか?
会社をやめたくなっただろうか?

彼女にメロメロだろうか?
恋を失い、酒におぼれているだろうか?
肥満を気にしているだろうか?

子供に馬鹿にされて苦笑いをしているだろうか?
力でしかものごとを解決できないひとだと、恋人にたしなめられてうなだれているだろうか?
好きなひとに武術のことを話して、相手が引いてしまったことをいつまでもくやんでいるだろうか?

すこしは家のこと、将来のことかんがえたらどうかと、親にこごとを言われて、やかましいと思っているだろうか?
しょせん武術のことなど、世間にはわからないと、ニヒルな男を演じているだろうか?
自分の技をひけらかして、かえってひとからオタクだと思われてしまっているだろうか?

武術をやっているからといって、けっしてあなたがたは特別な存在なんかじゃない。
等身大の自分を感じながら行こう。

だいじょうぶ、わかっているから・・・・。
いつか、あなた達の力が少しずつ少しずつ未来に浸透していって、この国の文化を支える太くてつよい根っこになる。
でも、それは将来のことであって、今はひそかな自負心をもっていればいい。

うぬぼれてはいけない。
悲しみ、苦しみ、怒り、悩み、怒り、喜び、感謝し、怠け、努力し、必死になり、あたりまえの感情を充分に味わいながら、わいわいがやがやと生きていけばいい。

じぶんだけ特別だなんて、おおきなかんちがいだ。

2005年6月記す。

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