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はじまり。

大学を卒業して6年。

その当時、デザイン学部なかの建築インテリアを専攻として「住宅」に関わる仕事に関わることを夢みていました。
卒業をしてそのまま設計事務所で3ヶ月働かせて頂いて、ここで大きな挫折をあじわいました。今思うと私にとって転機だったのかも知れません。

その頃出会った「緑ある暮らし」

この言葉に出会い造園の世界に飛び込んだのだと思います。造園ってなんだ?からはじまり、建築学生にとってはカスミ草が出てきてしまうのですが、なんとなく「住宅」に関わりながらも別のかたちで人の暮らしに関わることにとても魅力を感じました。

約5年間のなかでさまざまなお客様に出会い少しずつこの緑の業界を理解し、知らずうちに家にはいろんなジャンルの庭に関わる本が積み上がりました。いろんな葛藤がありつつも、熱中したのだと思います。そんな日々のなかでもこの緑の世界の奥深さ、幅広さに勝手に途方に暮れた時期がありました。早くスキルを身に付けたいという気持ちと、学ぶことの量の多さが釣り合っていなかったのだと思います。その迷いの答えは、植物が人の衣食住に全て繋がっているということから生まれることだったのだと気付きました。ファッション・食・健康・福祉・インテリア、、、。

料理に意識が高いお客様には、キッチンガーデンの知識が必要です。インテリアには観葉植物の知識、ファッションの中では植物は染料になる。福祉の世界では園芸療法が注目され、保育業界では自然教育がある。

お庭一つのご要望の中で、様々なバックグラウンドとの繋がりあります。全てを把握できるような小さな世界でなく、想像ができないほどの広がりに圧倒された時がありました。スキルだけでなく自分の人間性も会話をするにあたっても引き出しが全然足りませんでした。

ただその一方で、逆を思えば 植物を通してあらゆるジャンルの人と繋がることができる そういった可能性を大きく感じ、そこから私の見えてくる世界が変わり緑との向き合い方が変わりました。

そんな頃、私にとって刺激的な出会いがいくつかありました。それは特に海外からのお客さん、海外を経験されているデザイナーさんとの出会いです。

「庭」一つの中にそれぞれの国の文化的価値が庭に反映される姿を見てきました。「庭」にとどまらず、庭の緑が暮らしの外と中を横断するのです。

外の空間を大切にする文化。

暮らしの中で
人がより深く緑に関わることへの価値観。

庭を通して表現すること。

そんなことが「住宅」に興味をもつ私にとって心から共鳴し、開拓の余地を感じました。その2018年に、初めてニュージーランドを訪れそこで体感したものがなんとも言えないしっくりした感覚をくれたのです。

圧倒される大自然はもちろんですが、様々な国からの移民によってつくられた表情がありつつも、そこには自分たちのスタイルを織り交ぜた文化がありました。イギリスの庭園文化だけでなく、先住民マオリの根源にある自然を尊重したデザイン。またオーガニックへのこだわり、環境保全、エコ、生物多様性、自然を守るための市民の活動が多くあり、日常の暮らしの中でその意識が強く組み込まれていることに衝撃を受けました。「緑」が生活の中でとても深く関わり、大自然を背景に「緑」と「衣食住」がとても濃密に接するのです。

「庭」と「家」まだまだ切り離されていた私の経験の中で、横断することで生まれる魅力や人と緑の距離が近く関わり方が丁寧なことにとても感動をしました。ありのままの自然を受け入れ、独自の生態系を守りそれを大切にする、そのシンプルな文化が私とって強烈に魅力的だったのです。

そこからニュージーランドにはまだ日本にない、まだ浸透していない緑との関わり方のヒントがあるような気がして、環境保全大国としての文化背景には何が支えているのか、教育・価値観が知りたくなったのです。

「人々の緑ある暮らし」今後提案していくにあたってまずは自分が心から動かされたこの衝動を信じニュージーランドへの渡航を決めました。

この業界の幅広さあるように庭づくりだけでなく

その人にあったスタイルで緑ある暮らしの提案がしたいと思うようになりました。庭を作ることにだけに答えを置かない、たくさんの切り口から提案ができる人間でありたいと生意気ながらに思ったのです。

様々な人に出会い、たくさんの視点からの「緑」の楽しみ方を教えていただいたことにとても感謝しています。その価値は、私にとっての財産であり他にかえがたい豊かな感性を頂いたように感じています。

私のスタートは虫も嫌い、きっと見ていた風景は木の違いにも気づかず、ただ一つの緑色の背景としか映っていなかったかもしれません。寒いか暑いかだった四季も、春はじめ、春終わり、より細かく感じるようになり日々の天候や気温の変化、本当に見ている世界が大きく変わったように感じます。

それがどれだけ豊かであり心地良いことであるのか

教えてもらった側としてこれからも学ぶ姿勢を忘れず、少しずつ伝える活動ができたらと思っています。

これが7ヶ月前ニュージーランド渡航前、当時の気持ちを書き残した文章です。

これから少しずつ、経験したこと、気づいたこと
緑をとりまく大きな世界のことを記録していきたいと思います。


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